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自衛隊ニュース   1049号 (2021年4月15日発行)
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ノーサイド
北原巖男
女性の活躍

 月刊誌「MAMOR」(扶桑社刊)5月号は、2011年の "東日本大震災「史上最大の作戦」から10年 さらに先へ! 変化と進化を続ける自衛隊の災害派遣活動" と題して特集を組んでいます。
 その中で、2011年から2021年の間に「変化を遂げた自衛隊」として、(1)女性自衛官の配置制限(2)自衛官の採用年齢(3)自衛官の定年(4)防衛関係費(5)自衛隊の防衛態勢の5項目を取り上げ、それぞれに時代の趨勢に合わせて変化をしているとしています。
 ここでは、女性自衛官の配置制限について触れてみたいと思います。
 同誌は、1993年に隊員の配置制度の見直しを始めて以降、任務の多様化などに的確に対応し、女性が活躍できるフィールドを拡大するため配置制限は徐々に緩和されていたが、2011年当時、普通科中隊・戦車中隊・偵察隊・潜水艦・ミサイル艇・掃海艇・戦闘機の職域については、女性自衛官の配置制限があった、その後、2015年に戦闘機、2018年に潜水艦について制限が解除され、母性の保護の観点から女性を配置できない部隊(陸上自衛隊の特殊武器(化学)防護隊の現場部隊や粉じんが発生する陸自坑道中隊)を除き原則として制限が解除されたことを紹介しています。
 これにより、2018年には女性初の戦闘機パイロットが、2019年には女性初のイージス艦長が誕生し、2020年3月には女性初の空挺隊員、同年10月には女性初の潜水艦乗組員が誕生しています。
 2020年度防衛白書は、「女性自衛官の採用・登用に際しては、機会均等のさらなる徹底を図るとともに、本人の意欲と能力・適性に基づく適材適所の配置に努めることを、人事管理の方針としている」と明言。
 2020年3月末現在、女性自衛官は約1.7万人。全自衛官の約7.4%。防衛省・自衛隊では、その比率を2027年度までに9%以上とすることを目標としています。
 筆者が赴任していたアジアで一番新しい小さな途上国東ティモールの場合、国軍に占める女性隊員の比率は9%。日本の目標を既に達成しています。(「TIMOR-LESTE'S ROADMAP FOR THE IMPLEMENTATION OF THE 2030 AGENDA AND THE SDGs」より)
 このROADMAPは、更に女性警察官の比率についても言及し、16%という高い数字を示しています。日本警察の女性警察官の比率は、都道府県によって差異があるものの、概ね10%程度。各都道府県は、それぞれその比率の向上に努めていますが、この分野でも東ティモールが先行しています。
 東ティモールでは、国の安全を守る国防分野そして国民の日常生活の安全を守る治安分野における女性の参画・活用に力を入れ、その活躍を期待していることが分かります。
 防衛省・自衛隊には、2020年3月末現在、約3,400人の女性の事務官・技官・教官の皆さんもいます。その比率は全事務官などの約25・2%。既に地方機関の長等として最前線で、或いは本省課長、室長、係長等として、日々懸命に頑張っています。今後共、登用増は続いて行くことでしょう。
 女性自衛官・事務官・技官・教官等の皆さんの、更なる挑戦と活躍を期待し、心からエールを送りたいと思います。
 こうした中、大変嬉しいニュースに接しました。
 主人公は、現在、国連安保理の専門家パネルの最先任委員として諸外国政府との協議や調査等に主導的役割を果たすと共に、国連による平和の取り組みに対する理解の取り付け等に尽力している埼玉県出身の知人の日本人女性。3月22日に、「さいたま輝き荻野吟子賞」を受賞されたのです。日本初の公認女性医師となった、あの荻野吟子さんの不屈の精神を受け継ぎ、男女共同参画社会の実現に向けて先駆的な活動を行っている方に贈られる真に栄えある賞です。今この時も、遠くニューヨークの地で活躍している一人の日本人女性がいます。そんな彼女にも心からエールを送りたいと思います。
 ところで、今年の秋には衆議院議員の任期満了を迎えることから、コロナ禍の中でも解散・選挙の時期等について様々な報道がなされています。
 東ティモールでは、国民議会(一院制)65名に占める女性議員は25名、その比率は38%。前掲ROADMAPは、これはアジアで一番高い比率であると胸を張っています。
 これに比し、日本の場合、前回の衆議院選挙(2018年10月)では、当選者465名中、女性は47名であり、その比率は僅かに10・1%に過ぎません。
 3月31日に発表された「世界男女格差指数ランキング2021年版」(World Economic Forum)。東ティモールの総合順位は156カ国中64位。女性の「政治への関与」は62位。他方、日本の総合順位はG7の中でも最低、東ティモールよりも遥かに悪い120位。とりわけ女性の「政治への関与」に至っては147位と、世界の中でもボトムのジェンダーギャップの惨状が続いています・・・
 
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

自衛隊高級課程合同入校式
 目黒地区に所在する統合幕僚学校(学校長・田尻祐介陸将)、陸上自衛隊教育訓練研究本部(本部長・田中重伸陸将)、海上自衛隊幹部学校(学校長・真殿知彦海将)および航空自衛隊幹部学校(学校長・柿原国治空将)は、3月30日に合同で自衛隊高級課程の入校式を行った。
 式典には統合・陸・海・空幕長代理の副長をはじめ、部内来賓、学校職員ら約30名が臨席した。今期入校したのは、陸自17名、海自12名、空自14名、インドネシア、韓国、パキスタンからの留学生各1名、合わせて46名。入校の申告は学生長の幸津真悟1陸佐が行った。
 26日に着任したばかりの田尻統幕学校長は式辞で、「1年間もの新たな研鑽の機会を得たことに思いを致し、飽くなき向上心を堅持して研究に励んで欲しい」「多様な経歴を持つ学生同士、自己に足らざるものを積極的に吸収し合い、幅広い視野とバランス感覚を兼ね備えた人材に成長してもらいたい」と要望した。
 1佐・2佐の中から選抜された学生たちは、各自衛隊の幹部高級課程で上級指揮官および幕僚に必要な知識・技能を修得した後、第31期統合高級課程学生として、自衛隊の統合運用、関係省庁との連携、日米同盟、諸外国との協力等、広範な知識及び技能を統合的に修得する。

硫黄島戦没者遺骨帰還送迎行事
<入間基地>
 3月24日16時過ぎ、航空自衛隊入間基地(司令・津曲明一空将補)において硫黄島戦没者遺骨帰還送迎行事が行われた。
 46柱の御遺骨は、コロナ禍のため、津曲基地司令をはじめ約50名の限られた数の隊員ではあったが、硫黄島からの帰還を心からお迎えし、基地からの出発をお見送りした。
 今年は基地メイン通り沿いの桜も既に満開に近く、ご遺骨の英霊も喜ばれたのではないかと思っている。そして、歴史を風化させないように努力をしていきたいと、携わった隊員たちは決意を新たにした。

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