防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1017号 (2019年12月15日発行)
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ノーサイド
北原巖男
防衛大学校卒業留学生

 11月28日、総理大臣公邸。
 開催されたのは、「防衛大学校本科卒業留学生交流会レセプション」。それぞれの国軍の制服を着用した12カ国約50名の防衛大学校卒業留学生の皆さんそして在学生が招かれました。防衛大学校を卒業した留学生とのネットワークを図る初めての試みです。
 安倍総理は、彼らを前に熱く語りかけました。(首相官邸HPより抜粋)
 「1958年、タイ海軍の青年を防衛大学校に初めて受け入れて以来、防衛省・自衛隊は、ASEAN地域を中心として留学生派遣国の拡大に努め、これまでに2千名以上の留学生を受け入れてまいりました」
 「我が国を取り巻く安全保障環境は、国際社会のパワーバランスが大きく変化しつつある中、格段に速いスピードで、厳しさと不確実性を増していることも事実です。防衛大学校を卒業され、防衛省・自衛隊と各国をつなぐ橋渡し役として、各国で活躍されている皆様や、これから防衛大学校を卒業し、そのような役割を担うことになる皆様と強い絆で結ばれていることは、このような安全保障環境において、不可欠であります」
 「今後ともこのような機会を通じ、我が国と留学生派遣国との間の、相互理解や信頼関係が深まっていくこと、そして、このような一つ一つのつながりが、縦にも横にも拡大していき、将来的には、アジア太平洋地域全体を覆う、大きな安全保障のネットワークとなることを期待しているところでございます」
 「皆様が、各国のために、そして、アジアの平和のために、世界の平和のために、大いに貢献されますことを期待して、私のご挨拶とさせていただきたいと思います」
 防衛大学校に留学生を派遣している国々の中で、最も歴史が浅く2010年に初めて入校し2015年に卒業したのは東ティモール。卒業1期生と在学中の4年生が招待されました。
 1期生の一人は、防衛大学校創設以来初の女子留学卒業生。現在、陸軍少尉として軍本部におけるロジスティックス業務に取り組んでいます。更に東ティモール唯一の東ティモール国立大学(UNTL)にて、日本語講座の講師も務めています。各国留学生が生涯忘れることの無い木下哲生先生の超厳しく親身な日本語指導で身に着けた卓越した日本語能力は、こうした非軍事の分野でもフルに発揮されています。
 当日、安倍首相の前で流ちょうな日本語で挨拶したのは、1期生の海軍中尉。2015年3月防衛大学校卒業と共に江田島の海上自衛隊幹部候補生学校に進み、その後、東ティモール海軍の艇長等も務めた後、本年4月から防衛大学校研究科に入校しています。
 曰く「防衛大学校で学んだことは、今の勤務につながっており、卒業した東ティモールの学生は、防衛大学校で学んだことを活かしておのおのの立場で勤務しています。…防衛大学校で作った先輩、後輩、同期との関係をずっと続けて行きたいと思います。東ティモールは、独立してまだ17年になったばかりで、まだまだ新しい国です。様々な面で人材育成が必要だと私は思っています。…将来、我々のように防衛大学校から卒業した学生は、日本と東ティモールの架け橋として、防衛・安全保障に限らず、政治・外交・経済・観光・労働力・人材育成など幅広い分野での協力に関わって行くことを期待しています」
 レセプションに参加した4年生自身も、架け橋になる決意等を強く語ってくれました。
 一貫して留学生に寄り添い、士官としての育成に尽力されている國分良成防衛大学校長は、母校を訪問した卒業留学生の皆さんを強く激励されると共に、防衛大学校を世界一の士官学校にするため邁進している目標は、母国における留学卒業生の皆さんの活躍無くしては達成し得ない旨訴えています。
 こうした中、新たに「防衛大学校卒業留学生用徽章」が作製されました。防衛大学校留学卒業生の皆さんが、卒業生としての誇りと責任を胸に、それぞれの任務遂行に頑張って行く姿が浮かんで来るようです。
 そんな皆さんに心から力いっぱいのエールを送りたいと思います!

北原 巖男
(きたはらいわお)
元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


防衛大学校本科卒業留学生等交流会
 11月28日から29日にかけて防衛省、総理公邸、防衛大学校において、「防衛大学校本科卒業留学生等交流会」が開催された。中期防衛力整備計画において「防衛大学校等を卒業した留学生のネットワーク化を図り、防衛協力・交流の強化の一助とする」とされているとおり、この具体的な事業として、防衛大学校本科の留学生約50名による交流会が初めて催された。
 11月28日は14時頃から防衛省で防衛大臣等と懇談後、18時から総理大臣公邸で安倍総理主催のレセプションが開催された。翌29日は母校防衛大学校を訪問した。
 河野防衛大臣は懇談の冒頭、「各国でそれぞれ状況は違いますが、各国が防衛協力をして様々な事態に、あるいは災害対策その他にこの(防衛大学卒業生)ネットワークを利用していただくことは非常に有意義です。ぜひ絆を作っていただいて、ネットワークを構築してください」と挨拶し、交流会の開催を歓迎した。

インド・パシフィックウィーク
<防衛大学校>
 防衛大学校(國分良成学校長)は、令和元年10月11日から17日までの間、「インド・パシフィックウィーク」として、自由で開かれたインド・パシフィック地域の士官候補生を招聘し、多国間プログラムを実施した。同地域のパートナーシップを発展させ、将来の世界の安定・繁栄をもたらすべく、その一翼を担うことを目的とした本プログラムには、米空軍、豪国防軍、タイ陸海空軍及びシンガポール軍の士官候補生が参加した。
 安全保障に関するセッションにおいては、(1)地政学及び地経学的側面から見た安全保障上の問題点、(2)インド・パシフィック地域内に存在する国際秩序の問題点、(3)インド・パシフィック地域の平和と安定のために必要なもの、に関する議論を実施し、それぞれの国の現状、課題そして役割について認識を共有した。
 参加した各国士官候補生は、討議以外にも文化研修として浅草を訪問し日本文化への理解を深めるとともに、防衛大学校学生との学生舎での共同生活を通じて信頼関係をよりいっそう深化させることが出来た。

家族と共に 留学生交流会
<航空自衛隊幹部学校>
 11月26日、東京都目黒基地敷地内にある留学生会館で、航空自衛隊幹部学校(学校長・阿部睦晴空将)に入校している留学生との交流会が行われた。
 航空自衛隊幹部学校後援会(会長・平間文男氏)が、留学生とその家族に喜んでもらいたいとの思いから発案し、企画されたもの。
 留学生は、韓国・インドネシア・タイ・インド・ミャンマー・パキスタンの6か国から留学し、家族とともに日本に滞在。幹部学校後援会員、関係者、防衛大学校を卒業した留学生や7ヶ国語を操る8歳の子供を含む留学生とその家族、約60名が参加した。
 留学生の自己紹介では、「日本と自国との架け橋となれるように」、「日本の文化に触れていきたい」など、上手な日本語で語られ、日本に対する親しみが感じられた。
 テーブルに置かれた料理は、それぞれ、チキン、ポーク、ビーフなど、イラスト付きの説明があり、宗教上の配慮がなされていたほか、プロのマジシャンによるマジックショーが行われ、子供から大人まで盛り上がりを見せるなど、きめ細やかな工夫が施された。
 終了時間になっても記念写真の交流が続き、和やかな雰囲気のまま盛会に会を終えた。
 留学生からは、「本当に楽しかった。家族も呼んでくれて感激した」と大喜び。阿部学校長も「留学生同士の交流会はあるが、家族を含めたのは初めて。皆さんとても楽しんでくれて有意義な時間だった」と会の成功を喜んだ。

「祝賀御列の儀」に参列
 令和元年11月10日、即位の礼「祝賀御列の儀」が執り行われ、と列要員として連隊から52名の隊員(内WAC4名)が参列した。
 陸上自衛隊のと列部隊として第32普通科連隊と第34普通科連隊の2コ連隊が即位の礼に臨み、と列長として第32普通科連隊長(横山裕之1陸佐)が指揮を執った。
 天皇陛下の即位を披露するパレード「祝賀御列の儀」は皇居を出発し桜田門、国会議事堂、青山通り等を通り赤坂御所までの約4・6キロで行われ、沿道には約11万9000人が詰めかけた。
 連隊は14時50分、絵画館前を前進、赤坂御所の北側に通ずる414号線沿いに整列、天皇・皇后両陛下に対し挙手の敬礼をもって敬意を表し、目迎目送を実施した。対面にはボーイスカウト・ガールスカウトが並び日本国旗を振って祝福した。
 天皇・皇后両陛下は特注のオープンカーから、にこやかに手を振り続け赤坂御所に入られた。

祝賀御列の儀を終えて
第32普通科連隊(大宮) 陸士長 鈴木 静華
 一生に一度あるかないかという天皇のご即位にかかわることができ、とても光栄でした。
 即位パレードのと列に自分が参加すると聞いたとき、自衛隊の代表として天皇・皇后両陛下に敬礼をすることができると考えたら身が引き締まりました。訓練では、靴擦れに悩まされました。しかし、女性自衛官の陸曹の先輩にアドバイスをもらい、絆創膏やコットン等を使って靴擦れを防止し、個癖の矯正や、号令に反応することに集中ができました。また、日頃の訓練で、長時間同じ姿勢をとり続けることがあり、腕や足などが痺れて辛いときがありました。しかし、「私達は自衛隊の代表であり、天皇・皇后両陛下への祝福の気持ちを持ってと列に参加をする事が任務」と連隊長がおっしゃっていたのでそれを思い、一生懸命頑張りました。
 11月10日の本番の日、人の多さに驚きましたが、緊張はあまりしていませんでした。現地に着き、御列の車列が近づき、今までの訓練通りに敬礼を行うことができましたが、天皇・皇后両陛下を前にして鳥肌が止まりませんでした。
 今回、このような貴重な経験をさせていただき、無事任務を完遂することができて良かったです。また、連隊長のお言葉であった、自衛隊の代表として自覚を持ち、天皇・皇后両陛下へ祝福の気持ちを持ってと列に参加する事ができ、今後の自衛隊生活でも活かせるようにしていきたいと思います。

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