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自衛隊ニュース   974号 (2018年3月1日発行)
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「頑張っています」新しい職場
活躍するOBシリーズ
  和歌山県橋本市役所 危機管理室 嶋田 肇
嶋田氏は平成28年9月に信太山駐屯地業務隊演習場対策室を1陸尉(特別昇任3陸佐)で定年退官。54歳(記事作成時)
 自衛隊退職後、市役所の危機管理室で勤務できるようになりましたのは、就職補導教育で「危機管理教育」を受講し、和歌山地方協力本部に就職の援助をしていただいたことがきっかけでした。
 危機管理室の業務は、大きく分けると国民保護と災害対策の二つです。国民保護は、主にテロ・ゲリラ攻撃・ミサイル攻撃等が起こったときに市民を守る為に対策を立てることです。災害対策は、平時と発生時の二つの業務があり、平時の業務では防災訓練の実施、防災協定の締結(災害時における水の提供協定等)、地元自主防災会との連携態勢の維持強化、地域防災計画の整備等を行っております。災害発生時の業務においては、避難勧告等の発令、災害対策本部の立ち上げ、県を通じた自衛隊への災害派遣の要請、避難者の把握・対応、市民への情報伝達等が挙げられます。
 これらの業務は経験と専門的知識が豊富な危機管理室職員で日々遂行されています。では「元自衛官として貢献するにはどうすればいいのか?」と考えてみました。「あらゆる想定に基づいた実戦的な訓練による災害対応能力の向上」との結論に至りました。
 現在、室長でもある危機管理監の指導を受けながら、台風接近、大雨という場の設定による「災害対策本部立ち上げ要領、本部機能の行動要領、和歌山地方気象台との連携による結節時の判断力の養成」を主要演練項目とした訓練計画の作成、実行を進めております。
 これから地方自治体へ就職される方への注意点といたしましては、「自衛隊で幹部勤務をしてきた経験の発揮と破棄」です。発揮とは当然、戦術、指揮統率、訓練企画指導等の能力で貢献することです。破棄とは「自分はもう自衛隊の幹部ではない。ここでは新米なのだ」という心構えです。右も左もわからないのだから、良い意味でプライドは捨てる必要があると思います。

海自生徒関東OB会
 去る2月17日、冬晴れの横浜市において平成29年度海上自衛隊生徒関東OB会が開催されました。本年度の幹事は第37期生が務めることとなっており、昨年春に第36期生から申継ぎを受けて以来、市ヶ谷地区在勤の4名を中心に準備を進めて来ました。
 OB会当日、現職及び民間で活躍している第37期生12名は、正午過ぎには会場に集まり、計画に従って準備作業を開始しました。開場時刻の15時、この日を心待ちにしていた参加者が、幹事間君が取り仕切る受付に押し寄せました。開場から開会までの間、会場内には旧・新の生徒隊歌が放送され、参加者に往時を振り返ってもらうのに一役買っていました。この旧・新生徒隊歌は、いずれも楽譜が呉音楽隊に保存されていたところ、関東OB会のために東京音楽隊有志により新規録音されたものです。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 さて、15時30分、第1期生から第52期生まで150人余りの参加者が着席し、いよいよ開会です。会場のブラインドが下り、照明が消灯。幹事大野君の渾身の力作オープニングムービーに引き続き、ラッパ『総員起こし』。照明が点灯し、司会田口君による開会の辞、幹事期代表による挨拶と続きます。今回は、第21期生から最後の第53期生まで生徒普通学科教官として国語及び書道の教鞭をとられた村田知英子様を来賓としてお招きしており、江田島の近況などを交えた楽しく、懐かしい祝辞を頂きました。続いて、本年度定年退官の期に当たる第25期生佐々木則夫様ご発声の乾杯で、皆様お待ちかねの歓談の始まりです。記念写真の撮影後、平成3年、当時1年生であった我々第37期生を関西テレビが取材・放映した「江田島グラフィティ」を余興として鑑賞しました。往時の江田島の情景、登場する懐かしい顔ぶれを目にし、感慨にふける方がちらほら見られました。「江田島グラフィティ」の後は、本年度還暦に当たる第20期生、古希に当たる第10期生に対し、それぞれ記念品を次期幹事期となる第38期生から贈呈してもらいました。還暦・古希ともに代表の方からますます意気軒高なコメントを頂き、我々現職の方がかえって元気づけられました。その後は、幹事野元君と呉の第37期生向井君とが、第1術科学校広報係の支援を得て収集した第1期生から第53期生までの期別写真を、スライドショーとしてスクリーンに映写しました。時間の関係上全ての期をお見せできませんでしたが、かつての自分や同期の姿を食い入るように見つめる参加者がとても印象的でした。会も終盤に入ると、恒例の「一つとせ〜、人に知られし海幕の〜」で始まる「生徒数え歌」の熱唱です。「生徒数え歌」は、卒業式の後、七つボタンの制服を3等海曹のダブルの制服に着替えた卒業生たちが一列縦隊で行進して江田島の正面玄関である表桟橋から巣立つその直前に、第1グラウンド付近で円陣を組んで歌っていたものです。今回のOB会では、親子以上に年の離れた参加者が肩を組みながら歌う様子が見られ、生徒の絆の深さを感じさせられました。最後は次期幹事期である第38期生による挨拶、それに引き続く万歳三唱。ラッパ『巡検』が鳴り響く中、お開きとなりました。おそらく、2次会として同期会が開催されるのでしょう、参加者はみな足取り軽く次の目的地へ向かっているようでした。我々幹事期も、撤収作業の後、反省会の名の下同期会を実施したことは言うまでもありません。
 今回、OB会の幹事を担当して感じたのは、絆を大切にしなければならないということです。一人ひとりの能力には限界がありますが、支えあい、励ましあうことでより大きな成果を生むことはよく知られています。今回、先輩からの励ましや同期間の連携等によって無事にOB会を運営できたのはまさに絆のなせる業であり、これはOB会の運営に限定されるものではないと思います。現在、各地で海自生徒OB会が開催されていると承知しておりますが、「絆」を強化しそれにより我々の能力を更に高度に発揮するという観点からも、是非OB会を活性化していただきたいと思います。また、OB会が実施されていない地区では、その実施を検討いただければと思っております。
 なお、平成29年度海上自衛隊生徒関東OB会にて撮影された記念写真、音源等の一部につきましては、次のQRコードからアクセスできます。

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