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自衛隊ニュース   926号 (2016年3月1日発行)
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LR−1ラストフライト
最後の一機、日本の空から消える
〈陸自第1ヘリコプター団〉
 2月15日、木更津駐屯地(第1ヘリコプター団長兼て木更津駐屯地司令・田尻祐介陸将補)で連絡偵察機LR―1の飛行可能な最後の一機、19号機(操縦士・高市克己3陸佐、副操縦士・柳田智徳3陸佐、機付長・岡本裕1陸士)の用途廃止行事が行われ木更津港沿いなどを10数分間フライトした。LR―1は三菱重工業が開発した戦後初の国産ビジネス用小型双発プロペラ機MU―2の陸自仕様。国内外で約750機が販売され国内では陸自及び空自のほか報道や輸送用途で民間企業が導入。官民計64機が運用されたが19号機を除き既に全機退役済みで、MU―2が日本の空から姿を消す歴史的フライトだった。
 LR―1は1967年の陸自初納入以来、各方面航空隊・1ヘリ団・第15ヘリコプター隊(那覇駐屯地)、航空学校宇都宮分校などに計20機が配備され、長距離指揮連絡、雲仙普賢岳噴火時に代表される特殊カメラを搭載した災害現場での航空偵察、更には、STOL特性を生かし、特に沖縄の数多くの離島で緊急患者空輸等の任に当たり幾多の人命を救ってきた(19号機は18年間で約340件)。当日は田尻団長以下1ヘリ団隊員、三菱関係者のほか最後の瞬間を見届けるべく全国のOBや現役隊員が多数駆け付けた。列席者は「陸自の任務遂行、国民のため大きな功績を残したLR―1を大いなる感謝を持ち見送りたい」との田尻団長の式辞や、OB野村氏(幹部固定翼操縦課程第1期生)の思い出話に感慨深げに耳を傾けていた。ラストフライト前後は常時厚い雲に覆われていたものの離陸の瞬間を待っていたかのように光が刺す。19号機が積み重ねた総飛行時間7490時間の最後でもあるだけに雲間から青空を背景に雄姿を見ることも出来たのは幸いだった。
 フライトを担った高市操縦士は19号機とは沖縄以来の付き合い。「急患空輸は夜間が多く暗闇を沢山飛びました」と、遠くを見つめ感無量の様子。愛機の花道を無事に飾り終始笑顔で、その表情は一つの道をやりきった満足感に満ちていた。

航空管制講座
〈浜松広報館〉
 浜松広報館は、1月31日、航空保安管制群浜松管制隊の支援を得て航空管制講座を実施した。航空機基礎講座、航空管制講座そして航空気象講座と年3つの講座を実施しているが今回も午前・午後とも満席。午前、午後それぞれ40名、小学生から70歳を超える年配者まで幅広い層が参加した。講座は航空管制の概要説明・管制要領・管制官の資格取得方法など受講者が知りたい内容について2名の航空管制官を講師として丁寧な解説により進められた。航空管制の重要性、管制時に注意していることなど航空機運航の安全を確保するため常に気を抜くことができない航空管制官の様々な業務について真剣に聞き入る受講者の姿が伺えた。真面目な話が多く緊張感が漂う室内の雰囲気を察し、講師のアドリブか事前準備していたのか室内全体が爆笑に包まれる小ネタも時折登場し受講者もリラックスできる講座に。最後の質疑応答では受講者から基礎的なことから専門的な内容に関する質問も多く寄せられ、管制業務への関心の高さが感じられた。受講者の満足する表情も伺えたところで約1時間半に及ぶ講座は終了した。
 管制業務及び交信要領に興味のある市民だけが申し込まれているものと思っていたが中には、将来絶対に航空管制官になる強い気持ちでこの講座のためだけに香川県から参加した中学生も。受講者から「勉強になった」、「また来年も是非参加したい」といった意見や、将来を真剣に考えている学生たちへの進路の指針となったことから、改めて講座を実施する意義を再度認識することができた。受講者は受講記念のオリジナル缶バッジが手渡され、笑顔で帰途についた。

T−4ブルー
20周年記念行事
松島基地
 航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルー・インパルス」が現在のT―4になり第11飛行隊が誕生してから20周年を迎えたことを記念し、2月6日(土)松島基地(基地司令・時藤和夫空将補)において式典が開かれた。関係者やファンが見守るなか、ダイナミックなアクロバット飛行を披露し、東松島の空に記念の舞を描いた。 
 記念式典には隊員やOBら約160人が参加。20周年記念塗装が施された機体をバッグに第11飛行隊長・日熨蜊1空佐が「『未来への翼 更なる高みへの挑戦』をキャッチフレーズに我々が創造への挑戦をし続けることで、日本の未来へ少しでも貢献できるように」と今後の更なる飛躍を誓った。 
 記念式典後には11飛行隊庁舎前において、東日本大震災の津波で被災し、用途廃止になったT―4ブルー・インパルスの垂直尾翼を再利用したモニュメントが披露され、伝統の継承、永久の飛行安全を祈願したほか、震災の記憶を風化させないことなど願いを込めた。
 展示飛行では、5機のT―4が宙返りや背面飛行といった華麗な技を披露し、 基地上空で21演目が繰り広げられた。この日は、基地開放は行っていなかったが、基地周辺に集まっていた観衆から大きな拍手や歓喜が上がっていた。
 第11飛行隊が発足したのは、1995年(平成7年)12月、これまで長野五輪、2002ワールドカップ、国立競技場のファイナルイベント等で展示飛行を実施し、その数なんと359回。今後も多くの人達に夢や希望を与え、みんなを笑顔にしてくれるだろう。

LR-1
ラストフライト
〈宇都宮〉
 2月10日、航空学校宇都宮分校(分校長・佐々木博茂1陸佐=兼・北宇都宮駐屯地司令)での、連絡偵察機LR―1のラストフライトが行われた。
 宇都宮分校では、平成24年11月13日にLR―1による教育を終了させており、平成25年からは平成10年に導入したLR―2による幹部LR操縦課程が始まった。岩沼分校(宮城県)から宇都宮分校へと引き継ぎ昭和39年から始まった固定翼操縦教育は、平成27年1月に終了し、第1ヘリコプター団(木更津)へ教育移転した。LR―1の勇姿を宇都宮分校で見られるのもこの日が最後。LR―1操縦資格取得者は累計で140名になる。
 陸上自衛隊航空学校は、明野駐屯地に本校があり、そこで航空科職種の幹部自衛官に対し部隊運用の教育やヘリコプター操縦教育等を行っている。霞ヶ関分校では、航空機や通信器材の整備及び補給に関する教育・訓練を、宇都宮分校で陸曹航空操縦課程学生の教育を行っている。

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