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自衛隊ニュース   893号 (2014年10月15日発行)
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統合幕僚長に河野克俊海将
写真(紙面を御覧ください)=新統合幕僚長・河野克俊海将は昭和29年生まれ。神奈川県出身。昭和52年に防大を卒業し海自入隊。護衛艦隊司令官、統合幕僚副長、自衛艦隊司令官、海上幕僚長を歴任。

御嶽山噴火で災害派遣
困難な状況下で懸命の捜索続く
 9月27日午前11時52分、長野県と岐阜県にまたがる標高3067mの御嶽山の頂上付近で噴火が発生した。好天に恵まれた土曜日の正午前に起きた突然の噴火は、頂上付近で紅葉を楽しみながら昼食をとる多くの登山客を直撃した。頂上付近に取り残されたり、負傷した登山客が多数のため同日午後2時31分、阿部守一長野県知事から陸自第13普通科連隊長・後藤孝1陸佐に人命救助に係る災害派遣要請が出された。
 災害派遣要請を受けて同日午後3時14分に第12ヘリコプター隊のUH—60が情報収集活動を開始し、同15時25分に松本駐屯地を出発した13普連のFAST—Force(初動対処部隊)を皮切りに、13普連・第12偵察隊・富士教導団が27日夕刻から28日にかけ登山道田の原口及び黒沢口へ進出した。
 28日に第12旅団が王滝村役場に前方指揮所を設置するとともに、東部方面航空隊のUH—1(映像伝送機)が山頂付近等の情報収集を開始、連日貴重な静止画や動画を送り続けている。同日未明から警察、消防と共に捜索・救援活動を開始し、UH—60ヘリが頂上付近から次々と要救助者や心肺停止者を吊り上げ、麓に運んだ。その後、捜索・救援活動には大型輸送ヘリCH—47が投入され、麓から頂上付近まで捜索隊を運搬するとともに、地上から徒歩で頂上を目指す部隊により連日、精力的に実施された。しかし、頂上付近は火山性ガスの影響が風向きにより時に危険レベルに達して一時中断を余儀なくされるなど過酷な状況が続いた。
 頂上付近は降り積もった火山灰による視界悪化や呼吸器への悪影響という悪条件も重なったが、防塵マスク、火山性ガス検知器などを装備して10月4日までに要救助者23人、心配停止者51人を搬送した。
 5日以降、台風の影響などによる降雨で中止されていた捜索・救助活動は7日から再開されたが、雨で泥濘化した堆積火山灰が足場を悪くするなど厳しい環境となっている。「山岳レンジャー」として日頃から山岳部で厳しい訓練に耐えてきた松本13普連を主軸とした捜索・救援部隊は「行方不明者の最後の1人まで必ず見つける」との思いでの活動を続けている。
【派遣部隊】▽陸自 第12ヘリコプター隊(相馬原、北宇都宮)、東部方面航空隊(立川)、富士教導団(滝ヶ原)、第13普通科連隊(松本)、第12偵察隊(相馬原)、第2普通科連隊(高田)、東部方面混成団(駒門)、第12化学防護隊(相馬原)、第12後方支援隊(神町)、中央特殊武器防護隊(大宮)、第12施設隊(神町)、第30普通科連隊(新発田)▽空自 浜松救難隊(浜松)、救難教育隊(小牧)、偵察航空隊(百里)【派遣規模】延べ人員約3990人、車両約1035両、航空機166機(10月8日現在)

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