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自衛隊ニュース   2013年8月1日号
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18ヵ国2組織から80名が参加
APSC2013
潜水艦救難と安全に関する会議
海自と米海軍で共催

 7月21〜24日、横須賀市で第13回アジア太平洋潜水艦会議(Asia-Pacific Submarine Conference 以下、APSC2013)が開催された。APSCは、2000年8月のロシアの原子力潜水艦K—141クルスクの事故をきっかけに、参加国の意見交換等を通じて潜水艦救難と潜水艦の安全に関する協力態勢の構築及び相互理解を促進するため、2001年から毎年開催されており、今回は第6回以来2度目の日本開催、海上自衛隊主催(今回は日米共催)となった。
 APSC2013には、主にアジア太平洋諸国から日・米・豪・加・韓・中等18ヵ国(※1)と、欧米諸国を中心とした国際組織ISMERLO(※2)、NATO内の作業部会SMERWG(※3)の2組織から、潜水艦運用及び潜水医学に携わる大佐、中佐クラスを中心に計約80名が参加。海上自衛隊は潜水艦隊司令官・矢野一樹海将をはじめ潜水艦隊司令部、第2潜水隊群、潜水医学実験隊等から計約30名が参加した。
 22〜24日にかけ横須賀市内のホテルで行われた会議では各国参加者から潜水医学の研究成果、潜水艦事故の事例、新規装備に関する発表等があり、海上自衛隊は潜水艦救難訓練の過去の実績、今後の訓練予定等について発表を行った。
 22日午後は横須賀基地田浦地区の潜水医学実験隊で深海潜水訓練装置・訓練水槽・潜水病治療用の設備、同基地楠ヶ浦地区の横須賀潜水艦教育訓練分遣隊で深海救難艇DSRVのシミュレーター等の施設研修がそれぞれ行われた。
(※1)日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、中国、エクアドル、フランス、インド、インドネシア、マレーシア、ノルウェー、パキスタン、ペルー、韓国、シンガポール、タイ、イギリス、ベトナム
(※2)International Submarine Escape and Rescue Liaison Office欧米諸国を主体とした国際組織で、潜水艦運用国の共通認識の醸成と潜水艦救難に関わる国際標準の推進を目的とする組織。日本は未加盟
(※3)Submarine Escape and Rescue Working Group NATO諸国間の潜水艦脱出手順の標準化、問題点の討議等を目的とする、NATO内の作業部会


海自—米海軍の航空隊で姉妹部隊が誕生
第73航空隊

 第21航空群所属の第73航空隊(司令・飯塚祥平1海佐:本隊=館山)と米海軍太平洋艦隊第12飛行隊(指揮官・ベイリー中佐=在厚木、以下HSC—12)は6月10日シスター・スコードロン締結行事を実施した。
 海上自衛隊航空部隊は平成19年度末に大きな部隊改編を実施し、従前の米海軍との姉妹部隊関係が不透明になっていたが、上級司令部の調整に基づき、同種の航空機(H—60型ヘリ)を運用し、一部共通する任務(救難等)を有する73空とHSC—12が「姉妹部隊」を締結する事となった。
 当日は、9時過ぎにベイリー中佐以下6名の米軍人が搭乗した指揮官用塗装の施されたMH—60Sが館山に着陸。ベイリー中佐と出迎えた飯塚1佐が固い握手を交わして、一連のイベントがスタートした。21空群司令・中田芳基海将補への表敬の後、73空ブリーフィングルームで締結式が行われた。飯塚1佐、ベイリー中佐のショートスピーチ、それぞれの部隊概要についてのプレゼンテーションに続き、締結する協定書の内容を読み合わせた後、多くの隊員が見守る中で両指揮官が署名を行った。
 締結式の後にはエプロンに並んで駐機された双方の航空機(HSC—12:MH60S多用途ヘリ、73空:UH—60J救難輸送ヘリ)を見学しあったが、その際は館山基地所在の他部隊の隊員も大勢集まり、身振り手振りのコミュニケーションを大いに楽しんだ。引き続き、親善行事として館山市内で6対6の日米ボーリング対決、海鮮料理店での昼食会を行った。昼食を終えて基地に戻った一行は、思い思いにワッペンの交換などを行い、近いうちの再会を約束しあった。最後は73空総員でエプロンに並び、厚木に向けて離陸する米軍ヘリを見送り、有意義だった一連の行事を終えた。


溺れた男児救出
あまぎり砂田2曹
とっさの措置に感謝状

 第2護衛隊護衛艦あまぎり(艦長・矢野浩美2海佐)の砲雷科・砂田智司2海曹は川で溺れて心肺停止状態となった男児に適切な処置を施し人命救助に貢献したとして6月27日、佐世保市消防局長から感謝状が贈呈された(写真)。砂田2曹は6月16日、家族らとともに佐世保市の相浦川に遊びに来ていたところ、うつぶせの状態で浮いている男児(5歳)を発見。意識不明だったため妻に消防署に通報するよう指示するとともに、救急隊の到着まで心臓マッサージなどの救急救命措置を実施した。迅速な救命措置により男児は意識を取り戻し、現在は回復している。
 感謝状贈呈は佐世保市中央消防署で実施され、伊東次雄消防局長が「大変素晴らしい行為で大いに評価される。救命リレーの模範となるもの。同僚や市民にも伝えて貰いたい」と讃えた。砂田2曹は、「体が勝手に動いた、日頃の訓練が役立って良かった」と語った。


〜中央即応集団〜
魁の風
Central Readiness Force
ジブチ拠点で不在者投票
派行空13次要員
艦上で投票
派遣海賊対処行動水上部隊15次要員

 7月21日に実施された参議院議員選挙より一足早い7月13日、ジブチにおいて海外派遣任務などで居住地での投票ができない自衛隊員に対する事前の不在者投票が行われた。ジブチ自衛隊活動拠点では、派遣海賊対処行動航空隊第13次要員(司令・山形文則1海佐)として勤務する海上自衛官約120名、陸上自衛官約70名の計約190名が活動拠点内の会議室に特設された投票所で午前7時から午後6時までの間に全員が不在者投票を行った。また、派遣海賊対処行動水上部隊第15次要員(指揮官・岩澤努1海佐)はジブチ港停泊中の護衛艦「あけぼの」(艦長・本山勝善2海佐)護衛艦「はまぎり」(艦長・佐藤哲郎2海佐)内に設けた投票所で乗員合計約380名が不在者投票を行った。

▽初投票の新成人
 「人生での初めての選挙を、日本から遠く離れたジブチで投票できるとは思いませんでした。これからは社会人として自覚のある行動をとっていきたいと思います」(大場陸士長)

▽派遣元部隊(厚木)周辺出身者
 「アフリカという遠い地でも公正な選挙ができるよう環境を整えて頂き、無事不在者投票を終えることができました。ありがとうございました」(丸山3陸曹)
 「海外での投票は初体験です。今回、日本から遠く離れたアフリカでの投票の機会を頂き、大変ありがたく思っております」(野津2海曹)
 「海外からの選挙は今回が初めてでした。今回の選挙から解禁されたインターネットを利用し、不在者投票の参考にしました」(井上2海曹)

▽初投票の新成人
 「人生初めての選挙を海外で投票するとは思っておりませんでした。大事な選挙なので、よく考えた上で一票を投票しました」 (堂園海士長)
 「任務中それも海外で投票するとは思いもしませんでした。自分なりに一生懸命考え、投票しました。派遣任務の残り期間、任務遂行に努力します」(増田海士長)


雪月花

 ニホンウナギの蒲焼が日本の食卓から消えるかもしれなくなってきた、環境省が7月にニホンウナギを絶滅危惧種に指定したのだ。さらに環境団体「国際自然保護連合(IUCN)」がワシントン条約と連動するブラックリストに入れることも検討している。50年前には3千トン獲れたものが今や3百トンしかとれなくなったらしい。その当時、家の近くの川では筆者たち子どもでも簡単にウナギは捕まえることができた。竹ヒゴの先にみみずをつけた針を川の中の岩や石垣の割れ目に差し込むと必ずと言っていいほどウナギが食いついて出てきた、魚篭に暴れるウナギを入れるのに大格闘するのも楽しかった。また、竹筒にエサを入れて一晩川に沈めておき翌朝、学校に行く前に行くとぎゅうぎゅう鳴きながらうなぎが入っていた。家に持ち帰り自慢する小さな漁師と一緒に祖父母たちは賑やかに喜んでくれた。これほど沢山いたうなぎがよもや絶滅危惧種になるとは。たしかにあれから間もなくして河口でシラスウナギの密漁が始まったようだ。高度成長期で日本中の養鰻業者が高いお金で買い漁ったのだ。漁師でもない勤め人、農家の人までが暗い河口に浸かりシラスを獲ったらしい。まるで砂金を掬うように現金がはいったと聞いたこともある。あの立派な家はシラス御殿だとも聞いた。無尽蔵ではない資源を食い潰す我われ、極限まで来なければ気が付かないことを恥じるばかりだ。


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