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自衛隊ニュース   2013年6月15日号
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防災体制作りで連携
九州・沖縄地区防衛協議会を開催
西方総監部

 西部方面総監部(総監・宮下寿広陸将)は5月20、21の両日、宮崎市内施設および空自新田原基地などで平成25年度「九州・沖縄地区防衛協議会」を開催した。
 九州各県などの各自治体や指定行政機関から九州管区警察局など8機関、指定公共機関から九州電力や宮崎県医師会など7機関、防衛省・自衛隊からは内局、統幕をはじめ、陸自の各師団・旅団司令部と各隊区担任部隊、海自からは呉および佐世保地方総監部、空自から西部航空方面隊司令部、南西航空混成団司令部、第5航空団が参加。また、九州・沖縄各県の地方協力本部、九州防衛局、沖縄防衛局など部内外の関係機関などが一堂に会した。
 主催者側を代表して幕僚副長(防衛)の原田智総陸将補が「防衛・災害などの各種事態における対応の実効性を向上させるため自治体、関係機関、自衛隊が一堂に会する本協議会は関係機関相互の理解の促進、より一層の連携強化を図ることができる絶好の場である」旨の挨拶をして、会議の充実発展を要望した。
 会議は「広域災害に備えた防災体制作りのために」と「自衛隊の人材確保のための協力依頼について」をテーマに進行。今年の災害予想や被害見積、昨年度発生した九州北部豪雨での陸自の活動と教訓、南海トラフ巨大地震における自衛隊の対応、また自治体などの広域防災能力強化の一手段として退職自衛官の防災・危機管理分野への採用状況の紹介や意見交換などが活発に行われた。
 元陸上自衛官で宮城県総務部危機管理課の危機管理企画専門監・小松宏行氏が「東日本大震災の教訓を防災対策にどう活かすか」と題して講話を行い、日頃からの実践的な防災訓練の重要性や情報共有の在り方などを改めて考えさせられる機会となった。
 翌21日には、空自新田原基地で災害装備品の展示や南海トラフ巨大地震で被害が予想される地域を陸自のヘリコプターで航空偵察したほか、災害発生時に施設として利用可能な海自護衛艦「いせ」の内部を見学、自衛隊の災害対処能力の一端を紹介した。


子供連れの家族が列
缶バッジ目の前で作成
空自浜松広報館がプレゼント

 空自浜松広報館は5月18、19の両日、高校生以下を対象に航空自衛隊機の写真入り缶バッジプレゼントを行った。午前9時の開館と同時に子供連れの家族が受付に列をなす盛況となった。
 来館者が30数種のデザインの中から好みのものを選び、スタッフが缶バッジを目前で作成して=写真=プレゼントした。完成したバッジを手にすると嬉しそうにして、中には歓声を上げる子供たちもいた。
 浜松広報館は「今回、缶バッジをプレゼントさせていただいた子供たちに、思い出とともに航空自衛隊への関心が長く残ることになれば大変ありがたいと思います」としている。


統合スピリット醸成へ
陸自幹候校の学生が海自で研修

 陸自幹部候補生学校(学校長・田浦正人陸将補)の第94期一般幹部候補生(BU)課程は5月28、29の両日、統合運用教育の一環として広島県江田島にある海自幹部候補生学校と海自呉基地を研修した。
 海上自衛隊の編成・装備、運用について認識させるとともに、3幹候(陸海空の幹部候補生学校)交流による統合スピリット醸成を目的とし、スポーツ交流や懇親会を行い相互の交流を深めた。
 防衛大学校出身のB課程や、同じ地本採用のU課程の候補生たちは陸海空それぞれの道を歩む同期との久々の再会を果たし、館内では歓喜の声が上がり、消灯まで話尽きることなく交流を深めた。
 翌日、海上幹部候補生の帽ふれにより見送られ「お互いに頑張ろう」と相互に刺激を受け海幹候校を後にした。その後、候補生たちは海自呉史料館や大和ミュージアム、呉基地内の護衛艦を研修し海自の装備や運用について学んだ。


「いま行くぞ、必ず助けるぞ」
負傷者救護の要領を修得
13旅団が補助担架員集合訓練

 第13旅団(旅団長・掛川壽一陸将補=海田市)は5月13日から駐屯地で補助担架員集合訓練を行っている。
 これまでの訓練に参加した隊員21名は、徒手と担架による搬送要領や傷病者観察(バイタルサイン)、状況評価、初期評価とトリアージ、心肺蘇生法などの担架班に必要な基礎的事項を徹底して演練した。

ヘリと協同で

 23日には第13飛行隊(隊長・北山隆茂2陸佐)の支援を受けヘリとの協同訓練を行った。
 「患者輸送における緊急後送手段である航空機後送について、実機による患者搭載・卸下とホイストによる患者の吊り上げを実施または研修させることにより補助担架員として必要な知識と技術の向上を図る」ことが目的。最初はエンジン停止間での患者搭載・卸下とヘリの誘導訓練。隊員たちは訓練機での搭載・卸下要領を一つ一つ思い出しながら、慎重に患者の搬送・搭載・卸下までの流れを実施。その後ヘリのローターがまわる中、患者を搭載し離陸、別のポイントで着陸し卸下・搬送を行った。
 ホイスト訓練ではピックアップ・スリング、レスキューシート、ストレッチャーを使用したヘリへの搭載訓練を行った。
 隊員たちは、ヘリが巻き起こす凄まじい風(ダウンウォッシュ)が体に砂や小石を叩きつけることや、ヘリの騒音下で声による実員指揮の難しさを体感。手信号の伝達要領の重要性を認識し、迅速かつ安全な航空機後送要領を修得した。

リアリティ

 28日には原村演習場で今までの訓練の練度を判定するための総合訓練。第一線救護(戦闘負傷者救護)と生地を活用した担架班の一連の行動(応用)について演練した。
 第一線の攻撃行動の際、砲弾や銃弾で負傷した隊員を射撃援護下、現場から安全を確保できる後方まで下げ当初、隊員相互で救急処置を行うとともに担架班に通報、駆けつけた担架班に複数いる負傷者の怪我の状況や応急手当の詳細な状況を確実に申し送った。担架班は負傷者の初期トリアージを行い、搬送する順番などを瞬時に判断。時間経過に伴う病態の悪化を防ぐため担架搬送中も逐次隊員の状況を確認。また患者集合点に搬送し衛生科隊員に申し送るまで声かけにより負傷者を激励し続けた。隊員たちはリアリティある訓練を通じて負傷者救護の概要を修得した。


河川の増水に備える
別府41普連が大分川・大野川水防演習に参加

 第41普通科連隊(連隊長・岡本良貴1陸佐=別府)は5月19日、大分市の大分川河川敷を会場として行われた平成25年度「大分川・大野川水防演習」に副連隊長・山崎真一2陸佐以下34名と車両10両、航空機1機で参加した。
 この演習は、国土交通省で定めた水防月間(5月1日から31日まで)の活動の一環として全国の各ブロックで行われ九州では毎年、梅雨時期の台風・大雨の備えとして各県持ち回りで実施されている。
 今年度は国交省九州地方整備局と大分県の主催で、陸自をはじめ大分市や別府市など6市の消防団(水防団)、気象庁大分地方気象台、大分県警察本部、大分市消防局、大分DMATおよび地元自治会など19機関、約850名が参加。平成18年度以来7年ぶりに大分県で行われた。
 演習は「大雨のため河川が増水し、孤立者(要救助者)が発生したため、県から災害要請を受けた」との状況で行われた。41普連は速やかに災害派遣部隊を出動させ、情報小隊により現地での目撃情報に基づく情報収集を実施。大分川の中州に2名の孤立者を発見すると、第4中隊(大分市災害派遣隊区担任部隊)の救護班が救助ボートで、対岸に待機する大分DMATへ引き渡した。
 また、第4飛行隊のヘリコプターUH—1Jが大分川上流の山川地区で1名の孤立者を確認し、ホイストによる吊り上げで救助した。
 防災展示会場では、人命救助システムと東日本大震災での災害派遣の活動パネルを展示した。
 41普連は「水害における災害対処能力と、現地における関係機関との調整・協同能力の向上を図るとともに力強く、きびきびとした動きにより自衛隊に対する信頼を獲得することができた」としている。


震災などに備え消防と連携強化を図る
普通科教導連隊衛生小隊の隊員が救急車同乗訓練

 普通科教導連隊(連隊長・麻生竜伸1陸佐=滝ヶ原)は5月14日から22日の間、三島市消防本部と三島市消防署の協力を得て、救急車同乗実習訓練を行った。
 この訓練は「有事の際の第一線救護に必要な資質と識能の向上」を目的とし、衛生小隊の隊員が三島市消防署の救急車に同乗して、救急救命医療の現場を実体験するもの。併せて「震災などに備え、消防との連携強化を図る」ことを狙いとしている。昨年から行われ今回で3度目となる。
 今回は永野和幸3陸曹と曽我僚之3陸曹が交互に各計3日、訓練を体験。当初、永野3陸曹が要員交代時に行われる交代式に参加して所要の申し送り、申し受け、救急車の迅速確実な機能点検要領などを実習し訓練開始となった。
 24時間態勢の勤務の中で4回の救急出動を経験した永野3陸曹は「救急隊員はチームワークもさることながら、個人の"心技体"のレベルの高さが印象に残った。特に搬送では、こまめに患者の経過観察をとり、何よりも同乗している家族に対し、懇切丁寧に容態説明し不安解消に努め、常に沈着冷静に対応していた。このように豊富な現場経験と高度な救急医療知識に基づく活動を直接目にすることができ大編参考になった。この体験を自衛隊での救護活動に活かしていきたい」と感想を述べた。


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