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   2006年4月1日号
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統合幕僚監部を新設
 穏やかな春の日差しに恵まれ、桜も満開に近づいた3月27日、防衛庁統合幕僚監部の新体制が発足した。午前11時半、初代統合幕僚長に着任した先崎一陸将(前統合幕僚会議議長)がA棟前儀仗広場で第302保安中隊による儀仗を受けたあと、大講堂で統合幕僚監部の新幹部を前に力強く訓示した。引き続き、午後から記念式典が大講堂で開催され、木村太郎副長官、高木毅政務官、守屋武昌事務次官をはじめ陸海空各幕僚長、在日米軍司令官、歴代長官、歴代統幕議長・各幕僚長、自衛隊支援団体の長、関係者ら多数が陪席した。最初に、全員で国家を斉唱したあと、統合幕僚監部の職員約250名を前に額賀福志郎長官訓示を木村副長官が代読、自衛隊における統合運用の重要性を強調した(写真)。また、先崎統幕長が式辞の中で「責務の重要性に思いを致し、国民とともにある統合体制を目指す」と述べた。来賓を代表して山崎拓元長官と中村龍平元統幕議長が心温まる祝辞を述べたあと、壇上の来賓が順次紹介され、式典を終えた。(新統幕人事は紙面の2面をご覧ください)

50期351名、幹部自衛官の道へ
防大卒業式
小泉首相「陸・海・空統合運用の理念持って任務遂行を」
 防衛大学校(神奈川県横須賀市)の本科50期学生、理工学研究科前期課程第43期学生、理工学研究科後期課程第3期学生及び総合安全保障研究科第8期学生の卒業式が3月19日、自衛隊最高指揮官の小泉純一郎首相を迎え、同校記念講堂で盛大に挙行された。式では、西原正学校長が50期卒業生380名(うち女子24、留学生14)一人ひとりに卒業証書を手渡したあと、小泉首相、額賀福志郎長官の訓示、平川祐弘東大名誉教授の来賓代表祝辞などが順次行われた。(訓示、式辞、祝辞の全文は9面に掲載)
強く宣誓したあと、小泉首相に書を託す卒業生代表
晴れ渡った防大上空をF-15が祝賀飛行
任官後の観閲式で、制服姿の卒業生(右端)が在校生の観閲パレードを暖かく見守った
 午前10時、壇上に額賀長官をはじめ防衛庁・自衛隊の高級幹部、衆参国会議員、各国駐在武官、来賓多数が陪席する中、小泉首相が臨場、防大儀仗隊による栄誉礼を受けた。全員で国家を斉唱したあと、西原学校長が本科学生全員と研究科学生代表3名に卒業証書を授与した。学位授与に続いて、西原学校長が小泉首相に謝意を表するとともに卒業生に対して「世界に羽ばたく武人として力強く生きてくれることを願う」と式辞を述べた。次いで、小泉首相が訓示の中で防大の歴史について触れ、「陸・海・空統合を基本とする自衛隊の運用理念に想いを致し、国家防衛の志を共有しながら、それぞれの分野で活躍するよう」要望した。また、額賀長官が「寛容の精神」と「進取の精神」を持って「今後も不断の精進を重ね、堂々たる幹部自衛官として大きく成長するよう」訓示した。来賓を代表して平川東大名誉教授が祝辞を述べたあと、西原学校長に対して卒業生代表が力強く答辞。最後に、全学生が声高らかに学生歌を斉唱し卒業式を終えた。
 引き続き、一般幹部候補生任命・宣誓が行われ、森勉陸幕長が陸上要員163名(うち女子7)、齋藤隆海幕長が海上要員97名(同7)、吉田正空幕長が航空要員91名(同8)をそれぞれ任命、陸海空各代表が力強く宣誓したあと、壇上の小泉首相に宣誓書を託した。
 次いで、同校陸上競技場に場所を移して観閲式が行われた。朝方からの雨も上がり、卒業生の門出を祝うかのような穏やかな晴天に恵まれ、来賓や家族、関係者ら多数が見守る中、観閲パレードや祝賀飛行が整斉と実施された。

イラク派遣隊員から防大50期卒業生へ
 防大50期卒業生に対して、今なおイラクで活動を続ける第9次復興支援群長の小野寺靖1陸佐(25期)と、第5次復興業務支援隊の西村修2陸佐(35期)の両先輩からメッセージが寄せられましたのでご紹介します。
イラク復興支援群長 小野寺 靖
 ご卒業おめでとうございます。第9次イラク復興支援群長の1等陸佐小野寺靖です。
 ここイラクでは3月21日はナウルーズとよばれ、日本の「春分の日」にあたります。気温も上がってきましたが、湿度が低くすごしやすい今日この頃です。私たちが所在するサマーワ宿営地周辺では緑も多く見られ、羊が草を食べる風景は平穏そのものです。サマーワはイラク国内でも比較的治安が安定しており、いたるところで住宅が建設され、復興の息吹を感じます。
 私たち第9次復興支援群は、サマーワを中心とするムサンナ県において医療支援、学校等公共施設の復旧・整備を実施しています。特に外務省との密接な連携のもと、住民の皆様から要望の高い水、電気、雇用問題を焦点として取り組んでいます。
 活動にあたっては、「献身・友情・誠実」をスローガンに掲げています。「献身」とはイラクの人々の視点に立ち、現地に根ざした支援を尽くすこと、「友情」とは、イラクの人々に敬意を表し、これまで築かれた信頼関係を深めること、そして、「誠実」とはイラクの人々と礼節を持って接し、日本人の心を伝えることを意味しています。単に施設を建設・補修するだけではなく、日本の善意を伝えイラクの方々に受け入れられながら復興を支援する我々のやり方は、ムサンナ県で広く支持され、多国籍軍からも高く評価されています。私たちの活動はイラクの復興や中東の安定に貢献するばかりでなく、世界に日本の真摯な姿を示し、もって日本を取り巻く良好な環境を醸成するため寄与していると考えています。何よりも、イラクの子供達の純粋な笑顔に接するとき、一人の人間として、復興支援活動の意義と重要性を強く感じます。
 ここ数年、世界情勢の変化はめまぐるしく、自衛隊も急速に変化しています。国内においては弾道ミサイル防衛、ゲリラコマンドウ対処、国民保護など幅広く現実的な役割が自衛隊に課される一方、国際的な安全保障環境を改善するための積極的な取り組みとして自衛隊が海外で活動する場面も多くなってきました。イラク復興支援群やゴラン高原のPKOといった陸上自衛隊の活動はもちろん、クウェートに展開する航空自衛隊、インド洋で活動する海上自衛隊など、各自衛隊が中東の安定に貢献しています。
 防大卒業生の皆様は、4年間の修学を通じて多くの知識・技術を身につけ様々な経験を積まれたことと思います。今後は幹部候補生学校を経て各部隊に赴任し、活躍されることでしょうが、これからも、幅広い知識と国際感覚を養い、陸・海・空の絆を大切にして、国内外の幅広い分野で活躍されることを期待しております。

部隊の中で鍛える 西村 修2陸佐
 防衛大学校50期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんは防大卒業後、陸海空それぞれの初級幹部として第一歩を踏み出すことになります。初級幹部時代の原隊における経験は、じ後の自衛隊勤務における柱となるべき重要な時期でもあります。新進気鋭の小隊長として、元気溌剌として陣頭に立ち、失敗することを恐れず、いろいろな経験を積んで部隊の中で鍛えられることが重要であると思います。
 皆さんの部隊への着任を今から楽しみにしております。

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