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   2006年1月1日号
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雪月花
 新しい年を読者の方々はどのような形で誰とどこで迎えられたのでしょうか。新年に希望と決意を新たにされていることは間違いないと思います。筆者は毎年高知の実家で、暮れの餅つきから新年モードに入ります。平素誰もいない百年を越える古家です。紅白が終わると同時に真っ暗な裏の神社を目指し、懐中電燈を持って300の石段を登ります。以前は多勢で先陣争いをしたものですが、そのときの先輩や仲間の姿は今ありません、筆者ひとりのさびしい一番乗りです。昨年末にエリザベスタウンという映画をみました。オーランド・ブルームという俳優が演じる主人公が父の死でふるさとに帰り葬儀の仕方に悩んだり親戚との再会を喜んだり、ふるさとの暖かさを爽やかなラブストーリにからませて描いていました。スクリーンを見ながら素晴らしい人たちだ、素晴らしい所だと感じながら思い出したのがわが故郷でした。映画に映る村は道路も広場も何の変哲もない所、アメリカならどこにでも見られる風景ですが登場人物の優しさ親切さは日本の田舎であり昔の日本でした。そして筆者の田舎をもオーバーラップさせました。村じゅうの人は全員顔見知り、お嫁さんの実家や嫁ぎ先まで全部知っているのも同じ。映画の主人公が靴のデザインで成功したことも皆が祝福しているのです、全44戸のわが故郷からも長者番付に載ったり外務省の公使、全農のトップ、市長になった人も出ていますがみんなが喜んで応援しています。エリザベスタウンに負けない故郷、いつ帰っても暖かいふるさと、鮭のように最後は皆なここに戻ってきたいのです。

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