防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1061号 (2021年10月15日発行)
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第5回航空自衛隊QCサークル大会
全159のサークルの中から10サークルが発表

 「QCサークル活動」の成果を発表する第5回航空自衛隊QCサークル大会(会長・井筒俊司空幕長)が9月30日に開催された。
 今大会は、コロナ禍の中ということもあり、航空幕僚監部のある市ヶ谷基地をはじめ、航空自衛隊全74基地を通信回線で結んだ、初めてのオンライン形式による開催となった。
 全159サークルの応募の中から、書面による予選審査を経て選ばれた10サークルが発表を行い、第2航空団整備補給群装備隊「パワーズ2020」(千歳)、北部航空警戒管制団第33警戒隊「なないろ電子」(加茂)、作戦情報隊電波情報収集群第4収集隊「nexus」(春日)の3サークルがゴールド賞、その他の7サークルがシルバー賞を受賞した。閉会式では、受賞サークルから結果や本大会出場に対する喜びなどのコメントが寄せられた。
 井筒空幕長は大会訓示において、発表サークルの真摯な改善への取り組みを讃えるとともに、QCサークル活動は空自の真の価値を発揮する取り組みであることを強調された上で、発表サークルに対しQCサークル活動のけん引役となり、空自の進化に寄与することを要望された。
 また、大会担当者は、「初のオンライン開催が無事に実施できたのは、運営部隊である第3補給処(入間)をはじめとする関係各位のおかげ、今回のQCサークル大会で得られた成果等を空自内で共有し、他の競技会におけるオンライン開催の参考にしていただけたら」と話している。
【補足内容】
 2空団装備隊「パワーズ2020」は「ANT-B作業時におけるヒューマンエラーの低減」をテーマに活動し、航空機用備品の故障診断装置の操作ミスを防止するため、システムの問題に着目し、見える化及び作業手順の簡素化を行い、エラーの低減を達成した。
 北警団33警戒隊「なないろ電子」は「計測器の安全確実な運用要領を確立しよう」をテーマに、手持ちで行っていた急な階段における高重量の計測器の運搬を、専用の背負子を作成し使用することにより、体力差関係なく誰でも楽に行えるようにした。
 作情隊4収隊「nexus」は「フリーアクセスフロアの清掃の改善」をテーマに分散統計プログラムを使用し、清掃ムラを数値化し、様々な道具や溶剤の組み合わせを検証することで時間がかからずムラなく清掃できる方法を導出した。
 シルバー賞を受賞した所属、サークル名は次の通り。
(発表順)▽3補品質管理課(入間)「QCハニー」▽作情隊4収隊(春日)「ハチミツ」▽5空団修理隊(新田原)「POWER PLANT」▽6空団修理隊(小松)「スパークス」▽救難団秋田救難隊(秋田)「れすきゅー戦隊やるんじゃー」▽5空団装備隊(新田原)「ソリューションズ」▽北警団警通隊(三沢)「OPERATION FIRST」


大ヒット!コラボ缶詰発売中
全種揃えて6缶編隊も
<松島基地>
 松島基地(司令・増田友晴空将補)は宮城県石巻市の水産加工メーカー「木の屋石巻水産」とコラボ企画し、お土産用の缶詰を作製、基地売店限定で販売を開始した。
 缶詰の種類は宮城県を代表する特産品である金華さば、くじら、ほや、銀鮭等の魚介類加工品、仙台名物牛たんのデミグラスソース煮込みなど全6種類。中でも「金華さば味噌煮」は、水揚げされた金華さばを冷凍せずにすぐ加工しているため、その美味しさと加工技術に驚き、リピート購入する人も多い。今年5月の販売からわずか1か月で6種類合計1000缶を売り上げ、大ヒット商品となっている。
 デザインは松島基地の青空をイメージしたスカイブルーにT-4ブルーを大きく描いたオリジナルラベル。各缶で番機が異なることから、全種類を揃えると1番機から6番機の「6缶編隊」が完成するとあって、ブルーインパルスファンにとってはたまらない商品だ。売店では、1番缶から6番缶をセットにしたオリジナルボックスも用意されている。
 企画を担当した4空団業務隊厚生班長は「缶詰で長期保存が可能なので飾って眺めてもよし、非常食としても利用できるのでお勧めです。基地にお越しの際には、ぜひお買い求め下さい」と話している。

善行褒賞隊員2名を表彰
<航空機動衛生隊>
 航空機動衛生隊(隊長・田村信介1空佐=小牧)では4月15日と7月15日に善行褒賞隊員の表彰を実施した。4月15日は、我が隊のヒロイン小田2空曹が受賞した。
 小田2空曹は令和3年1月6日8時頃、通勤前にお子さんを保育園へ送る途中で倒れている方がいることに気付き、下車し声を掛けた。倒れていた方は心肺停止状態であり、消防及び警察に連絡するとともに、直ちに心臓マッサージを始めた。その甲斐があり、倒れていた方は息を取り戻し、到着した救急車で病院へ運ばれた。医療従事者だから当たり前ということではなく、常日頃から周囲を気遣う心と勇気がなければなしえない行動であった。尚、今回の表彰は航空機動衛生隊創設以来、初となる記念すべき善行褒章となった。
 また7月15日は、我が隊のヒーロー中西1空曹が受賞した。本人に話を聞いたところ、5月28日17時頃に正門ゲート付近を駅に向かっていた時に、人だかりに気が付き近づき乗用車が歩道に乗り上げているのを発見!車から液体が漏れている事を確認し、消防や警察への連絡の有無、怪我人の人数等を掌握し、車内に扉が開かず乗車したままだった運転手を後部座席から救出しました。この時ハンドル付近からは煙も確認しており、危険な状態も予期させており、勇敢な行動であった。自衛官の鏡の様な姿である。中西1空曹は「勇気を出し行動した結果が人助けに繋がり嬉しく思います」と受賞の喜びを語った。

「宇宙領域における対中テーラード抑止」
自衛隊初!米国ランド研究所とオンライン討論会
航空自衛隊幹部学校航空研究センター
 9月15日と29日の2日間、航空自衛隊幹部学校航空研究センターと米国ランド研究所は、「宇宙領域における対中テーラード抑止」についてオンライン討論会を実施した。航空研究センターからは、航空研究センター長の杉山公俊1空佐、同研究員の卜部泰三2空佐及び中谷寛士3空佐が参加し、諸外国からの多数の参加者も交え活発な意見交換を行った。本意見交換会は、航空研究センターと米国ランド研究所との研究協力の一環であり、米国ランド研究所は本年7月下旬、「宇宙領域における対中テーラード抑止」と題するレポートを公表している。
 同レポートの作成過程において、航空研究センターの研究員が著者であるランド研究所クリスタ・ランゲランド研究員及びデレック・グロスマン研究員との間でお互いの研究成果を基にした意見交換を実施しており、その貢献は謝辞において言及され、本文中にも中谷3空佐の論文「テーラード抑止の可能性と限界」が引用及び参照されている。
 研究プロジェクトリーダーとしてランド研究所との研究協力を推進した中谷3佐は、入隊前はイギリスの大学院(レディング大学)で戦略史の泰斗であるベアトリス・ホイザー教授に師事し、戦略研究に従事した。同大学院留学中、空自幹部学校長の副官と航空研究センター研究員を兼務する伊藤3佐の紹介で空自に興味を持ち、同大学院で博士号(PhD in Politics)を取得後、令和元年に公募幹部として空自に入隊した戦略の専門家である。中谷3佐は、安全保障部門で採用され、日々、日本を取り巻く安全保障環境や航空防衛力の整備・運用に関する調査研究及び普及教育等を行っている。
 今般の意見交換会及び米国ランド研究所との研究協力を振り返り、中谷3佐は、「まずは、私を自分の家族のように常に暖かい目で見て下さり、毎回話す度に多くの知的刺激を与えてくれる柿原学校長に感謝申し上げたい。そして、いつも全面的に私を信頼してくれる杉山センター長及び常に前向きで行動力のある卜部2佐とこのような重要な機会に共に支え合いながら、取り組めたことを光栄に思う。調査研究面に関しては、米国ランド研究所との研究協力を通し、国際的にも航空研究センターに求められている研究水準は高く、また、既に多くの知的貢献ができる水準にあると感じる」と述懐した。
 同じく意見交換会に参加した卜部2佐は、航空研究センターで宇宙を含む安全保障について精力的に調査研究を行っているが、以前から宇宙への思いが強く、京都大学理学部で宇宙物理学を専攻していた。「米ソ競争の中で軍事主導の宇宙開発を進めてきた米国と、昭和44年のいわゆる宇宙平和利用決議以降、非軍事で宇宙開発を進めてきた日本とでは、宇宙に対する視点も宇宙における活動主体も異なっており、今回のように日米が意見交換することの意義は大きい」と述べている。
 航空研究センター長の杉山1佐は、「航空研究センターは、航空防衛力の整備から部隊等の運用までに至る一連の活動を支える研究を一元的かつ専門的に行う機関として平成26年に新設されてから7年を経て、着実に研究能力を高めていることを実感する」と話す。コロナ禍において、同センターは、この1年だけでもオンラインを活用したシンポジウム等を3回開催した他、米空軍、豪空軍、仏空軍の研究機関や国内外の様々な研究機関との研究交流を活発に実施している。今後とも、航空研究センターは、世界の研究機関との研究協力を積極的に進め、航空自衛隊の知的レベルの深化を加速させる。

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