防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1058号 (2021年9月1日発行)
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知恩報恩<1>
東京海上日動火災保険(株)顧問
武内 誠一
「いざ」に備える

 損保会社は、人々や企業等あるいは地域社会の「いざという時」に対応することが使命です。そのために、あらゆるリスクを考えそれに備える商品やサービスを準備し、いざという時に適切に対応することが求められています。私は、東日本大震災の際、統合任務部隊司令部で勤務しておりました。指定公共機関等の活動は承知しておりましたが、当社も発災と同時に活動を始め、極めて重要な役割を果たしていたことを入社後知りました。発災直後に対策本部を立ち上げ、その日のうちに支援物資と共に人員を被災地に差し向け、現地における支援に当たっておりました。「いざ」に備えることは、正に安全保障そのものです。安全保障に携わった者が、この組織で担っている役割の一端をご紹介したいと思います。
 現役時代に常に意識していた「任務分析」特に「地位・役割」を自分なりに分析し勤務しております。私は、防衛省出身の顧問であり会社全般の顧問でもあるという地位にあります。その具体的な役割は、(1)現在ある商品・サービスのユーザー目線でのチェック (2)環境の変化に応じたリスク・課題への対応(提言) (3)商品・サービスを必要な相手に届ける工夫 (4)人材育成と考え勤務を始めました。以下、具体的にご紹介いたします。
 隊員が海外訓練に参加したり留学する際の保険を当社が取り扱っておりますが、公務で補償されない事案に対応するためその増額プランを新規開発することになりました。担当者のサポートとして、過去の経験等に基づき課題等を整理し、補償すべき対象や補償額の検討をいたしました。プランが確定した後は、本制度の普及に努めて参りました。このプランは、海外訓練や海外勤務そして留学において公務として補償されない分野をカバーするもので、隊員やその家族のために大変重要なものであり、その開発と普及に携われていることは防衛省出身として誇りに思っております。
 損害サービス部門では、現在多くの元自衛隊員が勤務しております。この部署は、「いざ」に対応している部門であり、担当者が適切に対応できることは顧客を守る上で大変重要です。そのためまず現状を知ることが大事であり、営業関連で地方に出張した折に損害サービス部門の方と懇談をしております。また同期が勤務する損害サービス課での研修の機会を頂き、課長はじめ指導に当たる人達、損害サービス業務に当たる人達と懇談し課題の把握に努めました。これらを他の顧問と共有するとともに担当部署に伝え、改善につなげる手助けをしております。
 商品・サービスを必要な相手に届けるために、当社の使命(隊員とその家族を全力で守る)や商品・サービスの特徴を説明するための媒体やコンテンツの工夫を重視しております。最近では、自動車保険の特約としてドライブレコーダーを紹介しており、AIによる事故状況再現システムにより事故を起こした隊員の負担軽減に繋がると評価されております。
 気候変動、サイバーリスク、働き方改革、女性活躍等社会が抱えるリスク・課題は広範・多岐にわたります。自然災害だけを見ても頻度が増し激甚化が進んでおります。当社が持つ情報等を災害に対処する自衛隊等に提供することは極めて有益です。その他多くの分野での価値提供も重要と考えております。人材育成としては、所属部署での講話をはじめ、経営陣、役員クラス、部長クラスに対する講話、地方支店での講話、あるいは他部署からの依頼を受け取引先企業での講話など行っております。主として統率、危機管理をテーマにしておりますが、東日本大震災対応など自衛隊の活動や中国情勢等国際情勢も紹介しております。また、縁あって自治体からの研修生に対しても講話をする機会を頂き、社内の幅広い方たちとの交流につながっております。余談ですが、皇居ランチームの顧問も務めており、月一度、皇居の周りを走った後、参加者と懇親を深めております。自治体からの研修生も多く参加し、私の所属部署以外の参加者も多く、交流を深めるいい機会になっております。また、懇親の場は社員の悩みを聞きアドバイスもする社員教育(人材育成)の場にもなっております。
 また、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「新型コロナウイルスに何故自衛隊は適切に対応できたのか(自衛隊中央病院の例)」をテーマとした講話も行っております。医療に無関係な私ですが、メディアでは取り上げられない視点「備え、組織力、徹底」をキーワードに自衛隊中央病院でのインタビューを重ね、危機管理と組織論をベースに幅広い分野の方々に講話する機会を頂きました。
 以上私の活動の一端を紹介させて頂きました。顧問の役割は、所属企業・部署あるいは顧問の経歴によりまちまちです。本稿が、広く企業の皆様や顧問の職に就く現役幹部の皆様に少しでも参考となれば幸いです。

(著者略歴)
 防大24期生・第4普通科連隊中隊長(帯広)・第25普通科連隊長(遠軽)・第1混成団長(沖縄)・防衛研究所副所長(目黒)・東北方面総監部幕僚長(仙台)・統合任務部隊司令部幕僚長(東日本大震災)・第4師団長・富士学校長等を歴任


読史随感
神田淳
<第84回>

自虐史観の弊害

 故渡部昇一上智大名誉教授が、面白い話を著書の一つで紹介している。「イギリス人を自慢しているやつはイギリス人だ。ドイツ人の悪口を言っているやつはフランス人だ。スペイン人の悪口を言っているやつはスペイン人に決まっている」という小噺がヨーロッパにあるという。大航海時代(16世紀)、スペインのコルテスとかピサロといった探検家や武将が中南米に出かけてインディオを殺し、マヤ文明やインカ文明を滅ぼした。そのため、インディオを殺害するスペイン人の想像画や報告書がばらまかれ、「スペイン人は極悪非道だ」、「残酷だ」といった悪評が世界中に定着してしまった。スペイン人は自己嫌悪に陥り、自分の国の悪口を言うようになった。自国に自信がもてなくなったスペインは元気を失い、歴史の敗北者となっていった。自虐し、自国を嘲笑する国民は衰退するしか道はない、と。
 大東亜戦争(太平洋戦争)の敗北は日本人に自信を失わしめた。日本の戦争は一方的な侵略戦争と断罪された。歴史、修身、地理の教科が極端な軍国主義を生んだとして、学校教育で禁止された。連合国は東京裁判で日本の戦争を文明に対する罪として裁いた。アメリカは日本との戦争を正当化する基準に、文明と民主主義を置いた。憲法は民主主義を標榜する憲法に変えさせた。太平洋戦争の敗北によって日本は国家を否定され、否定は文明、文化、そしてこれを培った日本の歴史にまで及んだ。
 自信を失った戦後の日本人は、日本の国家と歴史を否定的にみるようになった。学校教育では、イギリスの名誉革命、フランス革命、中国革命等は無条件に肯定され、一方、明治維新による日本の近代化は上からの改革だから不十分であり、日本は封建的な遅れた社会だと教えられた。近代史だけでなく、古代・中世史にも日本の歴史に誇りを感じさせるような教育はなかった。
 日本の歴史を否定的に見、日本を劣った国だと卑下する人(いわゆる自虐史観の持ち主)は、マスメディア、文化人、教育界、大学、官庁など、いわゆるインテリに多い。そしてこの史観が根強く生き続けていることは、最近、自由社出版の教科書が文科省検定で不合格になったことなどでわかる。自由社の教科書は、自虐史観を正そうとする「新しい歴史教科書をつくる会」によって編纂されたもので、バランスのとれた良い教科書だと私は思う。
 私は自虐史観をやはり、偏向した間違った史観だと思う。この史観は、日本人は文明的に遅れた民族であり、日本は侵略戦争をした悪い国である、という前提からスタートする。そして、日本の歴史をこの前提(この前提がおそらく間違っている)に沿って解釈し、あるいは西洋と比較して、だから日本はだめなのだと、上から目線で結論する。夜郎自大的な日本礼賛論と結論は逆だが、軽薄さが共通している。
 祖先がつくり成してきた歴史を、つぶさに見ずにこれを貶めて自虐する。そんな資格は現代人にはない。歴史は叡智の宝庫である。自虐史観からは叡智は得られない。芭蕉の言う「古人の跡を求めず、古人の求めたるところを求めよ」といった精神で歴史を見れば、我々の祖先が立派であり、日本が誇るに足る歴史をもつことがわかる。渡部先生が言うように、自国を蔑むような国は衰退していくだろう。我々は、誇るに足りる日本の歴史をよく知り、子供や孫に伝えていきたい。
(令和3年9月1日)

神田 淳(かんだすなお)
 元高知工科大学客員教授。著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


「防衛省・自衛隊高級幹部等名簿」について
「防衛ホーム」をいつもご愛読頂きまして誠にありがとうございます。9月15日号恒例の「防衛省・自衛隊高級幹部等名簿」(紙面) の掲載は延期します。ご理解の程、よろしくお願い致します。ー防衛ホーム新聞社ー

うちの子は自衛官
自衛隊家族会 札幌市東区支部会員 横山 昌子
 私達家族は10年前の震災で福島から札幌に避難して来ました。北海道の皆様に受け入れていただけたお蔭で、末娘は中学3年初日から東区の中学校に通う事ができ、部活もソフトテニスを大学まで続けることができました。福島にいたらできなかった普通の当たり前の生活ができました事に、家族全員感謝しております。
 娘には震災時のトラウマがあり、地震がある度に過呼吸になりそうになり、自衛隊に入隊することが決まった時は務まるのかどうか心配でした。でもソフトテニスでの厳しい練習に泣き言も言わなかった芯の強い子でしたので、きっと克服できるのではないかと信じて見送ったのを思い出します。もう入隊から3年目になりました。コロナが心配で連絡してみると、真駒内駐屯地で新人教育に携わっていると聞き驚きましたが誇らしく思いました。きっと苦戦していると思いますが、先輩として新隊員の支えになれるよう頑張っているだろうと陰ながら応援しています。
 あまり実家に帰ってこないので、主人と孫(長女の娘)が待ちわびるのを通り越して怒っています。(笑)
 私も会える日を楽しみに、帰って来たらいっぱい手料理をごちそうしてあげたいと思います。

延期されていた成人祝賀行事を実施
<青森駐屯地>
 青森駐屯地(司令・高木勝也陸将補)は7月20日、駐屯地において延期となっていた「令和2年度駐屯地成人祝賀行事」を実施して、新成人61名の門出を祝福した。
 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため規模を縮小し、また国歌斉唱は黙唱とするなど対策が講じられた。来賓や駐屯地各部隊長等が参列するなか新成人者は緊張した面持ちで整列。駐屯地司令は「成人という人生の大きな節目を迎え、権利を与えられ義務を課されます。そして、社会人としての自覚と責任ある行動が求められます。また、社会への貢献も期待されます」と式辞を述べた。この後、新成人を代表して第5普通科連隊の奈良岡士長が、「成人者としてこれまで以上に責任を自覚し、自衛官として、また一社会人として、一層精励し自己の人格形成に努めるとともに、日本の防人として日本郷土の平和と発展に日々精進する決意であります」と力強く決意を表明した。

クリーン作戦実施
<関東補給処用賀支処>
 関東補給処用賀支処(支処長・白石智将1陸佐)は、7月23日〜8月6日の間、クリーン作戦を実施した。
 用賀駐屯地の近傍にある馬事公苑では、東京2020オリンピックの馬術等の競技が行われ、この間、隊員は連日の猛暑の中、地域住民やオリンピック関係者の方が気持ち良く正門前を往来いただける様、駐屯地正面の歩道(約200m)のゴミ拾いや生垣に生えた雑草除去に大粒の汗を流した。

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