防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
スペーサー
自衛隊ニュース   1052号 (2021年6月1日発行)
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うちの子は自衛官

新たな一歩
札幌市自衛隊家族会支部 会員 野崎美千
 「行って来ます」、そう言って緊張した顔で全く振り返る事なくまっすぐ前を向いて真駒内駐屯地の門へ向かって行った娘の背中を今でもハッキリと覚えています。私はとても心配で涙が止まりませんでした。
 娘は小さい頃からおっとりしていて、ほんわかしたそのキャラクターでいつも家族を和ませてくれる子でした。
 入隊を決めてからは徐々に自分の進む世界への不安が膨らんで悩んでいる姿を見て、私はとても切なく、見守るしかありませんでした。そんな時、入隊説明会で家族会の皆様と出会い、不安な気持ちに共感してくださり、色々な助言もいただいて、本当にありがたかったです。
 入隊してからの娘は、同期の仲間に恵まれ、辛い時も同期と助け合い、一緒に乗り越えることが出来たそうです。
 部隊配属後の初めての実家帰省の時のことです。私が台所仕事をしていると、娘は私が何も言わなくても手伝ってくれたり、私にいたわりの言葉をかけてくれました。また、周囲への感謝の言葉を口にするようになりました。集団生活を通して周囲への気遣いが身についたようでした。
 一緒に暮らしていた時は当たり前と思っていたことが、実はそうではないことに気づいた、と娘は言いました。家族やたくさんの人に支えられて今の自分があるとも話していました。
 その結果でしょう、年齢層を超えた人付き合いができるようになり、社会常識が身についたことは大きな収穫だと思います。思いがけない娘の成長を実感し、とても嬉しく恩いました。

銃剣道・給食・車両操縦で戦技競技会等
<第2施設群>
 第2施設群(群長・前原幸雄1陸佐=飯塚)は、3月23日〜3月25日までの間、銃剣道、給食及び車両操縦の3種目で競技会等を実施した。
 銃剣道競技においては、各中隊の勤務特性から、練成時間の確保に中隊間でばらつきが生じたため、団体戦は優勝中隊の決定を行わない紅白試合(エキシビションマッチ)として実施、大将として各中隊長が参加したこともあり、コロナ禍を吹き飛ばすような熱戦が繰り広げられた。また、有技者発掘と底辺拡充の観点から、陸士隊員による個人戦も実施し、未熟ながらも白熱した試合を行い、各中隊の幹部・陸曹の応援にも熱が入った。
 車両操縦競技会においては、指定選手と抽選により選出された選手が難易度の高いコースで操縦技術を遺憾なく発揮した。なお、抽選選手の中には中隊の先任上級曹長を含めた「超」ベテラン曹長も多くおり、若手隊員達は、普段あまり目にすることのない大先輩の操縦に過激な声援を飛ばして盛り上がりを見せた。
 給食競技会においては、「レーションのみだった野営終盤、上級部隊から提供を受けた食材をフル活用して、隊員を喜ばせるために考えたパスタ」という設定テーマに基づき、各中隊は創意を凝らしたパスタを調理した。高いレベルでの接戦になったため、審査員を大いに悩ませる競技会となった。
 本競技会等の終始を通じ、群長は、「コロナ禍においてもやるべきことは変わらない」、「勝ちにこだわれ」、「あらゆる競技を通じ、全ての隊員が輝け」を隊員に呼びかけ、群全隊員が感染防止対策を万全にしつつ、最後まで勝ちにこだわり、多くの成果を得ることができた。

令和3年度 第1回 師団統裁バトラ戦闘訓練
<第3師団>
 第3師団(師団長・山根寿一陸将=千僧)は、4月1日から15日までの間、青野ヶ原演習場(兵庫県)において、「令和3年度第1回師団統裁バトラ戦闘訓練」を実施した。
 バトラとは、交戦訓練装置(Battle Training Apparatus)の略称でレーザー光線等により実弾を使用することなく実際的な交戦訓練ができる機材のことであり、本訓練ではこの装置を活用し、実際に近い環境下において、中隊対抗方式で行った。訓練開始式において統裁官は、訓練部隊に対して「How to fight(戦い方)」の検証にとどまらず、「How to win(勝ち方)」を貪欲に追求せよと述べた上で「全力を出し切って戦え」「結果を次に繋げよ」等を要望した。
 戦車、特科、施設科等の配属を受けた各普通科中隊は、攻撃側及び防御側に分かれ、それぞれが考え抜いた勝ち方をもって「本気」で戦い、部隊の戦闘能力・諸職種協同能力を向上させることができた。
 また、バトラ戦闘訓練終盤には、中部方面総監(野澤真陸将)による訓練状況の視察を受けた。本訓練に参加した中隊長の一人は、「相手の行動をリアルに見積ることが、非常に重要であると認識できた。また、勝利の追求により隊員の団結及び規律心が育成され、戦いながら中隊が強くなるという実感を得た」と所見を語った。次回の師団統裁バトラ訓練は、来年2月に実施する予定である。

令和3年度第1次隊炊事訓練
<西部方面戦車隊>
 西部方面戦車隊(隊長・山口行徳1陸佐=玖珠)は、隊の炊事能力向上のため、5月10日から14日までの間、「令和3年度第1次隊炊事訓練」を実施した。
 今回の訓練では補給小隊以外に、各中隊から炊事要員養成のため選抜された若年隊員も加えて編成され、補給小隊長の指揮の下、整斉と訓練を開始した。
 炊事車の取扱操作要領、包丁の使い方、米の研ぎ方等まで基本的な事項をベテランの陸曹が若年隊員に丁寧に指導しながら、材料の下ごしらえ、味付け等の調理をしていた。
 また、駐屯地業務隊衛生科長及び栄養担当官から、野外炊事における食品衛生等に関する指導・助言の支援を受け調理に対する注意事項や、食中毒予防に関する事項についてもアドバイスをもらった。
 なお、臨床心理士も隊員の訓練状況を確認し、カウンセリング業務の資とすることができた。
 本訓練を通じ、炊事経験が全くなかった若年隊員たちも、錬成を重ねた結果、しっかりと自分の役割を理解し、スムーズで安全な動作で調理している姿に飛躍的な成長が見受けられた。
 今回炊事訓練に参加した隊員たちは、有事又は災害派遣等における炊事要員として立派に勤務し、任務遂行に貢献してくれることだろう。
 西部方面戦車隊は、今後も弛まない各種錬成に努める所存である。

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