防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1048号 (2021年4月1日発行)
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読史随感
神田淳
<第74回>

米中衝突

 アメリカの中国を敵視する政策が進んでいる。トランプ政権の国務長官ポンペオは、「中国共産党は、いずれ自由を蝕み、民主主義社会が苦労して築き上げてきたルールベースの秩序を破壊する」、「中国は米国の重要な知的財産、企業秘密を奪っている」、「中国は国内への西側企業の進出を認める代わりとして、人権侵害には触れないよう要求した」、「習近平総書記は破綻した全体主義思想の真の信奉者だ」、「中国政府の行動が自由を愛する国の人々の繁栄の脅威となっている」、「これまでの米国の対中政策は間違いだった」、と述べた。
 アメリカの中国敵視政策は、政権交代後も変わらぬ流れとなっている。バイデン政権のブリンケン国務長官は、「中国は国際秩序に重大な挑戦する力をもつ唯一の国」、「中国には強い立場から対処する。そのためには同盟国や友好国との連携が必要」と述べる。
 中国が経済大国化、軍事大国化して世界を動かし、アメリカは中国に強い脅威を感じるようになった。2030年までに中国はアメリカを抜き、世界一の経済大国、軍事大国になるという予測もある。
 アメリカは、中国共産党の支配する中国が自由主義世界と共存できないと断定したように見える。中国共産党は選挙を認めない独裁政権である。国民の自由な政治活動を認めず、民主主義を完全に否定する。信仰の自由や言論の自由もない。統治のために人権を無視する。中国共産党の統治は、法によらぬ上意下達(人治)である。中国は国際社会のルールを守らず、自国の都合で平然と変える。こんな中国が国際社会の覇権を握ることなどあってはならない、と。
 しかし中国は自由と民主主義を普遍的な価値とは考えない。中国には、アヘン戦争以来の現代史は、中国が西欧列強によって半植民地化される屈辱の時代だったとの認識がある。本来天下(=世界)の中心である中国が屈辱を受けたのは中国が弱かったためである。今中国は強い本来の大国になったので、百年以上の屈辱を晴らし、西欧主体の国際秩序をあるべき中国秩序に変えて当然と考える。習近平が「中華民族の偉大な復興」、「中国の栄光を取り戻す」、「中華民族が世界の諸民族の中にそびえ立つ」などと語る根底に、屈辱の時代に成長した強いナショナリズムと、伝統の中華思想が横たわっている。
 しかし、中国は欧米や日本でいうところの法治国家ではない。中国には法は権力者にも一市民にも平等に適用されるという考え方はなかったし、今もない。そして中国は社会も文化も経済も思想もすべて政治が支配する。権力に偏重した多元性のない国である。政治思想は最高権力者の意向で一変する。中国共産党は神を否定し、徹底的な物質主義である。これが中国社会の道徳を劣化させている。
 私はこうした中国共産党の支配する中国が覇権国家化し、日本と世界に影響力を強めるのを好まない。覇権なら自由と民主主義の国アメリカによる覇権をよしとする。ほとんどの日本人がそう考えると思う。私は太平洋戦争を経験して日本は文明的に成熟したと思っている。
 トランプ以降、アメリカ民主主義の将来を不安視する論調が現れているが、私はアメリカの自由と民主主義の伝統にはなお強いものがあると思っている。
 米中対立は日本の安全保障の根幹を左右する。日本はアメリカと結び、中国と対立することを恐れてはならない。
(令和3年4月1日)

神田 淳(かんだすなお)
 元高知工科大学客員教授。著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


防衛省・自衛隊 地方協力本部
親子で活躍!

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予備自衛官(5日間)招集訓練
親子2組の活躍に期待
<熊本>
 熊本地方協力本部(本部長・ 本賦1陸佐)は、2月19日から2月23日の5日間、北熊本駐屯地で実施された予備自衛官(5日間)招集訓練を支援した。今年度は、令和2年7月豪雨や新型コロナウイルス感染拡大の影響で2回の訓練が中止となり、今回が5回目の訓練となった。
 当日、2月19日は、早朝から寒さで身体を震わせながらも熱い気持ちの入った予備自衛官たちが出頭し、検温・消毒・健康状態の確認後、ソーシャルディスタンスを守りながら受付を開始した。
 訓練担当部隊(第8後方支援連隊)は、新型コロナウィルス感染防止の観点から綿密な計画、調整・点検及び行動計画を策定し訓練を実施した。
 訓練参加者は、制限を受けた訓練となったものの精一杯訓練に取り組んでいた。訓練3日目からは、2日目までとは打って変わり嘘のように温かく梅の花も開花を始めていた。それにつられるように訓練参加者も昔話に花を咲かせ、満面の笑みを浮かべながら楽しそうに訓練に励んでいた。
 また、今回の訓練には同じ顔をした予備自衛官が2人。なんと、「親子で予備自衛官」が2組も参加しており、親子共々、今後の活躍を期待されるところである。
 熊本地本は、コロナ禍でありながらもより良い訓練環境の構築のため関係各所との連携を密にし、今後も予備自衛官に寄り添い、堅固な関係を維持していく所存である。
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若手幹部が魅力を発信
親子で自衛隊をPR!
<大阪>
 大阪地方協力本部(本部長・濱田博之陸将補)は、来春卒業する大学生に対する募集が解禁となった3月1日から4日間、リクナビ及びマイナビが実施した合同企業説明会に参加し自衛隊の魅力を発信した。
 会場に設置されたブースには就活中の学生184名が訪れるとともに、Webによる説明も同会場で開催され、多くの学生に対して自衛隊の活動や採用制度の概要等について説明を行った。
 今回は、就活中の学生が自衛隊をより身近に感じてもらい志願者の獲得につながるよう、第3師団からリクルータの支援を受け懇談や質疑応答を中心に説明会を実施した。
 リクルータには、一般幹部候補生として採用され部隊で活躍する第36普通科連隊の田中3尉、第3後方支援連隊の平山3尉、第3通信大隊の濱田曹長(現3尉)の3名が参加した。質疑応答においては、一般幹部候補生の採用試験内容や学生生活、卒業後の職種選定、若手幹部の勤務内容等について多くの質問が聞かれた。
 今回支援を行ったリクルータの一人は、濱田本部長の長男であり、親子で自衛隊を広報する機会となった。濱田曹長は、照れながらも一般幹部候補生の魅力や幹部候補生学校での生活、教育内容について丁寧に説明を実施していた。
 ブースを訪れた学生からは、「より具体的に話が聞けて良かった」「採用試験に向けた勉強の取組方が理解できた」「幹部候補生学校での生活や教育内容がわかり不安が解消された」等の感想や「もっと自衛隊の活動、職種、職域等について知りたい」などの声が聞かれた。
 大阪地本では、引き続き新型コロナ感染症対策を万全にして、就活生のニーズに合った説明会の開催を企画するとともに、リクルータを積極的に活用して募集対象者に対し魅力を発信し、一人でも多くの優秀な人材の確保につながるよう募集活動に取り組んでいくとしてる。
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令和2年度航空学生説明会
親子二代で広報活動を実施
<宮崎>

 宮崎地方協力本部(本部長・石原信也1空佐)は、2月11日に宮崎地本本部庁舎において令和2年度航空学生説明会を実施した。
 説明会は、入校前の不安事項の排除、入校手続き等の説明を目的とし、毎年実施しているもので、今回、海上自衛隊航空学生入校予定者19名及び父兄に対して実施した。
 説明会には、海上自衛隊第31航空群(岩国航空基地)の航空学生出身パイロット坂元大将3海尉(以下「坂元3尉」という)を講師として招き、海上自衛隊航空学生時代での生活や、入校から卒業までの体験談等を紹介した。
 坂元3尉は、宮崎地方協力本部都城地域事務所広報官・坂元成止陸曹長(以下「坂元曹長」という)の子息で、宮崎県出身の海上自衛隊航空学生卒業生として説明会に協力してもらった。また、宮崎に帰省の度、出身高校に赴き、優秀な航空学生確保のため広報活動を積極的に行ってくれている。
 体験談の中で坂元3尉は、「幼い頃から自衛官である父の姿を見てきて、物心ついた時から自分は自衛官になるんだと決めていました」「航空学生の試験に合格した時、父は、自分以上に喜んでいました」と笑みを見せながら話していた。「パイロットになって親孝行できたかな?」とコメントする息子を眺める坂元曹長は、「息子が努力して無事にパイロットに合格し、親として大変誇りに思います。常に危険と隣り合わせの任務は心配な部分がありますが、頑張ってほしい」とエールを贈っていた。
 宮崎地本は、引き続き学生及び保護者に対し、自衛隊の魅力を紹介する場を設けるとともに、募集広報を積極的に行っていく。

 *坂元曹長は、これまで優秀広報官として陸上幕僚長表彰を3回、西部方面総監表彰を1回、国民の自衛官(フジサンケイグループ主催)表彰を1回、計5回受賞され、628名の若者を自衛隊に導いている。

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不安解消・安心して入隊
女性自衛官教育隊見学
<埼玉>
 埼玉地方協力本部さいたま地域事務所(所長・足立貴康1陸尉)は、1月18日から25日の間で朝霞駐屯地において、女性自衛官教育隊の支援を受け部隊見学を実施した。
 これは、女性対象者及び保護者らに対し部隊見学を実施することにより、不安を解消して入隊意欲を高めるという趣旨のもと開催されたもので29名の対象者及びその保護者らが参加した。
 女性自衛官教育隊長の挨拶の後、同部隊担当より部隊の歴史や各教育課程について説明があり参加者らは熱心に耳を傾けていた。また、女性隊員と対象者との面談の時間も設けられ、活発な質疑応答が行われた。施設見学では、入隊後実際に使用する浴場や隊舎などの説明が行われ、初めて自衛隊の施設を見たという参加者もいて、見るものすべてが新鮮に映っていたようだ。
 対象者からは「子育てや介護の支援制度が充実していることを知り安心しました」といった声が聞かれた。保護者からは「自衛隊への理解が深まりました。親としても一層応援したいと思います」等の感想が上がった。
 埼玉地本では、今後とも女性対象者の不安を解消し、安心して入隊してもらえるイベントを実施していくとしている。

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