防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1045号 (2021年2月15日発行)
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読史随感
神田淳
<第71回>

偉大な思想家石田梅岩

 石田梅岩(1685-1744)は江戸時代丹波の国東懸村の中農の次男として生まれた。11歳のとき京の商家に奉公に出たが奉公先の没落により数年で帰郷。23歳のとき再度上京して呉服商の奉公人となり、やがて番頭となったが、43歳のとき奉公先を辞し、学問に専心。45歳のとき京都の自宅で誰でも自由に聴講できる心学(=人の人たる道)の講義を始めた。最初のうちほとんどゼロだった聴衆も、数年後には男女群れをなすようになった。
 梅岩は人の人たる道として、正直、倹約、勤勉を説いた。人は本来もっている正直な心で、私欲を自制し、倹約を実践して勤勉に生活すれば家はととのい子孫は繁栄する。梅岩は、士農工商は階級の差ではなく、職分の相違であると言い、商人が正直に売買して利益を得ることの正当性を説いた。こうした梅岩の教えは京の商人たちに歓迎されたが、梅岩の死後、弟子たちによって「石門心学」として体系化され、江戸時代中・後期には武士も含む全国民に広がった。石門心学の正直・倹約・勤勉の精神は、江戸時代に日本の国民的道徳意識の形成に寄与し、明治以降近代化に必要な資本主義の精神となり、現在なお日本人の道徳意識の根底にあるとされる。
 梅岩の心学の根本に人間の本性(これを性という)を知るということがあった。人間の本性を究明し、それを知れば、そこから自然に人の人たる道が明らかになる。梅岩は「性というは我が心に存する理、ただこの道理を天より受け、我に有(たも)つところとなす」と、儒教(宋学)の教えをそのまま説くが、梅岩の特筆すべきところは、性の何たるかを理論だけでなく、体験的に知る一つの覚りに到達したことである。
 梅岩の覚りの内容は、「その性というは禽獣草木まで、天に受得して生ずる理なり、松は緑にして桜は花、羽根あるものは空を飛び、鱗あるものは水を泳ぎ、日月天に懸かるも皆一個の理なり」、「元来形あるものは形を直に心と知るべきなり」、「人の心性と天(地)は本質的に一つであり、人は一箇の小天地である」といった梅岩の言葉から推定するしかないが、性(人の本性)を知った確信と悦びが梅岩の大衆教化活動の原動力であった。
 梅岩の性を知る体験は、儒教による知的認識の仏教的な覚りへの深化でもあった。梅岩は儒教も仏教も根本の要諦としているのは性理を会得することであり、共通していると言う。また、教えの根本である正直は神道の最も重視するところである。日本では神道、儒教、仏教が習合しているが、梅岩は神儒仏の三教いずれにも偏ることなく、三者の根元にある唯一のものを尊び、重んじた。
 経営の神様と言われた松下幸之助は梅岩の主著『都鄙問答』を座右の書としていたという。松下は商人道とは正しい経営のことであると言う。商人道とは、基本的に「何が正しいか」ということを考え、実行することによって共存共栄、繁栄に結びつくものである。この商人道の正しい理念は万国共通であるから、それを実践する企業は海外でも必ず受け入れられると思うと述べている。
 梅岩も松下も人間の本質を考えて商人の在り方、経営の在り方を説いた。人間の本質から考えるのは世界のすべての偉大な思想家に共通している。
 『都鄙問答』を読むと石田梅岩がいかに大思想家であるかがわかる。江戸時代の梅岩の思想から、閉塞と停滞に沈む現代日本経済の処方箋が得られるかもしれない。
(令和3年2月15日)

神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


航空自衛隊 JASDF
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成人行事
【芦屋基地】
 1月20日、芦屋基地(司令・岩城公隆空将補)に所属及び入校中の新成人31名を対象に祝賀会を行った。基地司令から記念品とともにお祝いの言葉が贈られた。新成人代表はお礼の言葉を述べるとともに、宮沢賢治の「雨ニモマケズ風ニモマケズ」の言葉を借り「ウイルスにも負けず己にも負けず日々精進してまいります」と今後の決意を語った。会の結びには、基地太鼓部がお祝いに駆けつけ盛大な演舞でエールを贈った。今年の抱負をしたためた書初めを掲げ記念写真を撮った新成人たちは、今後、更なる活躍を見せてくれるだろう。
【熊谷基地】
 1月22日、熊谷基地(司令・小野打泰子空将補)は、成人祝賀行事を基地体育館で行った。今年は新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発令されたため、来賓の臨席はなかったが基地太鼓部桜舞會による祝賀演奏により、基地所在部隊及び入校学生の中で新たに成人となった30名の門出を祝福した。
 開会に際しては、小野打基地司令から祝辞と激励の言葉が贈られた。新成人隊員たちは当初、緊張のあまり固い印象であったが、山下副校長、井上業務部長も参加し、太鼓部の素晴らしい演奏とともに緊張もほぐれてきた様子で表情も緩んでいった。最後に新成人を代表して第4術科学校業務部の大高士長が力強く抱負を語り成人祝賀行事を締め括った。
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幹校の養田3空佐が韓国軍事大学校総長賞を受賞
 12月4日、空自幹部学校(学校長・柿原国治空将=目黒)所属の養田智宏3空佐は、大韓民国合同軍事大学指揮幕僚課程(所在地・テジョン)を卒業した。卒業に際し、「我が国の防衛装備品の開発に係る課題」をテーマとした(1)研究報告書の成果及び(2)課程教育全般を通しての総合成績がそれぞれ24カ国の留学生中、最優秀であったとして軍事大学校総長賞を受賞した。
 養田3空佐は、韓国の安全保障政策及び韓国軍の軍事戦略等に関する知識を修得するとともに、韓国を含め25カ国の将校と朝鮮半島のみならず世界規模の安全保障環境に関する意見交換を行うことで、国際的な視野の涵養に努めた。
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むつみ野外総合訓練を終えて
第75期航空学生(防府北)大迫士長
 私は、むつみ野外総合訓練を通じて自衛官という職について改めて多くのことを感じました。なぜならば、我々は入隊と同時に自分の指で人を傷つけてしまう武器が貸与されているからです。訓練を通じてその責任感や重圧を実感することができました。また、分隊長としての指揮能力の重要性や身体的、精神的な強さの必要性など多くのことを心と体に刻むことができました。将来、パイロットになるにあたり、経験や知識は必要不可欠であり、さらに迅速かつ適切な判断力が求められます。これらの能力を身に着けるために、今後1秒も無駄にせず、与えられた課程履修に精励したいと思います。
 また、私は60km徒歩行進訓練で、休止時に毎回腕立て伏せを行うことに挑戦しました。回数は、むつみにちなんで623回。訓練を終えて、達成感を感じることができましたが、体力的にまだ余裕があり何かできたと後悔しています。後悔は、時にベストな判断をしても振り返れば必ず更によい方法がみつかることがあります。だから私は、後悔というものは、成長の種だと思います。後悔があるからこそ更に成長することができるということを本訓練を通じて感じることができました。
 最後にこの訓練は多くの方々の協力があって実施できています。そのことに感謝し、我々の行動で恩返しをしていきたいと思います。
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「防大及び一般課程」統合後初の卒業式
<幹部候補生学校>
 幹部候補生学校(学校長・藤永国博空将補=奈良)は、國分良成防衛大学校長、引田淳航空教育集団司令官及び小笠原卓人航空幕僚監部人事教育部長らが列席のもと、「防大及び一般課程」並びに「3尉候補者課程」の卒業式を行った。「防大及び一般課程」は、これまで「防大課程」と「一般課程」に分かれていた課程を今年度から統合した課程であり、今回が初めての卒業式となる。「防大及び一般課程」並びに「3尉候補者課程」の卒業者は、全国の部隊等に配属され、今後、配属先の中核として活躍することとなる。

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