防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1041号 (2020年12月15日発行)
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海上自衛隊 JMSDF

「三上の工夫」!! 隊員の学習等に
<海幕人事教育部>
 海上幕僚監部人事教育部では、「三上の工夫」として、トイレの時間を隊員の学習等に活用する試みを行っているので紹介する。
 「三上」とは、枕上、馬上、厠上のことだ。その工夫とは現代的に言えば、就寝前の時間、通勤時間、トイレの時間の有効活用のことといえる。三上の工夫については、東洋哲学者で歴代首相の指南役といわれた安岡正篤氏が紹介している。安岡氏曰く、「時間というものは長い時間を取ろうと思うとなかなか取れるものではない。それこそ仕事がある。多忙である。邪魔が入る。だから閑を得たら思うのは何にもならない。けれども、どんな多忙人でも寸陰というものはある。そのちょっとした時間をつかむ。これに熟練すれば、案外時間というものはあるものだ。昔から一芸一能に精進した人々は、皆これを体験している」とのこと。慧眼でろう。
 本試みは、この三上の工夫を踏まえて、隊員に共有すべき事項や基本素養となる内容等を簡潔に表現し、それらを海上幕僚監部のトイレの各個室の見やすい位置に掲示するというもの。通常、ロビー等にある掲示板では、なかなか見てもらえないところ、トイレにおいては、多くの人が一定の時間をかけ、まさに "腰を据えて" 見ることができるという利点がある。これまでにメンタルヘルス施策強化期間を活用し、古今東西の格言・金言やマインドフルネスをはじめとした各種のメンタルヘルス技法を掲示し、多くの隊員からポジティブな反応を得た。また11月からは、リーダーシップの向上や組織の活性化を図るために、平成15年度から海自幹部中級課程に導入している「7つの習慣」に関して、各週間の内容や留意事項等を掲示している。昨今のコロナ禍において、新しい生活様式とともに、個人の習慣を見直してみる良い機会である。
 本試みは、防衛省の一隅を照らすようなものかもしれないが、トイレにおける、身体の免疫力を向上させる "腸活の努力" と併せ、個人の知的態度や心の免疫力向上に資するものとなれば、一石二鳥である。

"動く" 海上幕僚監部!! 海幕勤務を動画で紹介
 11月4日、海上幕僚監部人事計画課募集推進室が海上自衛隊公式Twitterアカウントで史上初となる、海幕勤務者のインタビュー動画を公開した。本動画は11月13日にYouTubeの海上自衛隊公式チャンネルにも掲載されている。
 この動画公開は、就職活動をされている方々の一部に "海上自衛官は誰でもが定年退職のその日まで24時間365日艦艇している" という根強い誤解があるとの認識の下、そのような誤解を払拭すべく、防衛省で事務官とともにデスクワークをする海上自衛官の姿にスポットを当てたものだ。動画作成に当たっては、人事計画課募集推進室の自衛官と事務官が一致団結し、企画、撮影、さらには編集までを独自に行った。特に作成の主担当である小林事務官は入省3年目の若手事務官だ。小林事務官はその思いを「防衛省での海上自衛官の多様な勤務ぶりを動画として公開することで、多くの人に海上自衛官の仕事が、艦艇勤務だけではなく、非常に多様性に富み、幅広い選択が可能なものだと理解してもらえれば、そして特に海上自衛隊への就職を考えている方々の参考になれば幸い」と語ってくれた。募集推進室では今後も海幕内の紹介動画を作成する予定だ。

日本赤十字社社長感謝状授賞式
<下総航空基地>
 11月12日、海上自衛隊下総航空基地において、日本赤十字社社長感謝状授賞式が実施された。栄誉あるこの「日本赤十字社社長感謝状」は、選考条件として日本赤十字社金色有功賞(活動20年以上対象)を受賞後、さらに10年以上献血に協力している団体が受賞対象であり、過去に下総航空基地は平成20年に厚生労働大臣表彰も受賞している。
 下総航空基地の献血協力の歴史は古く、基地内に保存されている資料(海上自衛隊下総基地新聞)によると昭和39年5月15日から始まり、本年まで56年間、延べ約2万5000名以上の隊員が献血協力を実施している。
 現在、新型コロナウイルスの影響により全国的に献血協力者は減少傾向である一方、国の緊急事態宣言が解除されたことで、各医療機関が今まで延期していた手術等を再開したため、血液供給量が足りない状況に陥っている。この危機的状況は千葉県内だけに限らず関東甲信越の範囲で深刻化し、この状況が続けば、いずれ日本全国の血液を必要とする人たち全ての人命に係わる問題となる。
 些細なきっかけで献血した結果、一人の命が助けられることを知る。それが、もしかしたら他人かもしれないし、友人かもしれない。「些細なきっかけ」が少しずつ「助けたい」気持ちに変えていくことができることを、たくさんの人たちに伝えなければならない。下総航空基地と千葉県赤十字血液センターの思いが、たくさんの人たちの「些細なきっかけ」になるよう、これからも協力していきたい。
 下総航空基地と千葉県赤十字血液センターは、過去に発生した震災や厄災等、日本の危機が訪れるごとに協力態勢を強固なものに築き上げてきた。この授賞式の日、感謝状の他に千葉県赤十字血液センター一同様から「思いあふれる寄書き」が下総航空基地の隊員へ送られた。以前、コロナ禍の厳しい状況下で闘っている千葉県赤十字血液センターの職員に宛てて隊員の感謝の気持ちや応援メッセージを寄書きにして送ったことがあったが、その思いの返礼として職員の皆様が印されたと伺った。今まで以上に下総航空基地と千葉県赤十字血液センターのより大きく、太い絆を実感できる瞬間であった。

SENIOR ENLISTED LEADER SYMPOSIUM
 10月22日午前8時(ハワイ時間10月21日午後1時)から米海軍太平洋艦隊先任伍長主催のSENIOR ENLISTED LEADER SYMPOSIUM(テレビ会議)が開催され、海上自衛隊からは海上自衛隊先任伍長、自衛艦隊先任伍長、横須賀地方隊先任伍長が参加した。
 多国間での海軍種先任伍長等によるテレビ会議は初のことであり、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、イギリス、フィリピン、日本、韓国(発表順)の参加9か国がそれぞれ15分間の持ち時間で、参加メンバーの紹介および各国が取り組んでいることについて発表を行った。
 海上自衛隊先任伍長は、このコロナ禍という困難な状況下にあっても、海上自衛隊は日本周辺海域の警戒監視に加え、ソマリア沖での海賊対処活動及び中東での情報収集活動について切れ目なく継続していること、加えて海外訓練にも多くの艦艇、航空機、潜水艦を派遣しており、多くの隊員が活躍していると述べた上で、このように我々が共に手を取り合い、意見交換をしている姿を次代を担う若者に見せていくこともまた我々先任伍長のなすべきことだと考えていると発表した。
 参加者は、コロナ禍にあっても自由で開かれたインド太平洋の実現のため、国内での訓練・任務等の洋上での活動はもちろんのこと、多国間共同訓練等も含めた協力を滞ることなく続けていかなくてはならないこと、これからも機会を作って先任伍長レベルでの意見交換と交流を続け関係を深化させていくことを確認した。
 時差によっては夜遅い時間帯の参加者もあったが、最後に米海軍太平洋艦隊先任伍長のクロージングスピーチが述べられると、参加者全員から拍手が送られ3時間にわたる長い会議が終了した。

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