防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1031号 (2020年7月15日発行)
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ノーサイド
北原巖男
トリプルパンチの中で

 まもなく7月24日。本来であれば東京2020オリンピック開会式の日。
 「それどころじゃないよ!」
 こう呟く、本紙読者も多いことと思います。
 今なお執拗に続く新型コロナウイルスの脅威。しかもここに来て感染者数が増えて来ています。各国が競って取り組んでいる安全なワクチン開発は、まだ目途が立ちません。疲労困憊の医療従事者の皆さん。当たり前だった生活様式や常識を一変させた感染防止対策。強いられ続けた忍耐に次ぐ忍耐。出口の光を求めて真っ暗なトンネルの中でもがく事業者。無念の廃業に追い込まれる方々も…。
 私たちは、こうしたコロナ禍の対策に追われ、戦後最悪の不況下に引きずり込まれています。しかもそこには、決して忘れてはならない、先送りを許さない大事な問題があります。
 「コロナ対応のために編成された補正後の予算は、160兆円を超え、国債発行は90兆円、基礎的財政収支の赤字も今年度当初の9・2兆円から66・1兆円に悪化した。コロナショックに直面し、財政出動は不可避となったとはいえ、バケツの底が抜けたような赤字の拡大である。コロナ危機においても、長期的な観点から財政再建の道筋を考えておかねばならない」(7月8日付け日本経済新聞夕刊「大機小機」欄)
 さらに1年延期されたオリンピックについては、北川和江日本経済新聞編集委員の署名入り記事に共感を覚えます。
 「東京五輪は開催されたとしても、従来のイメージと大きく変わるのが確実な状況になっている。…東京五輪を開催し成功させてほしい。それでも、本来目指していた姿と大きく変わりつつあるのに、十分な説明や議論もなく「開催ありき」で事態が進むのには疑問を感じる。…開催に向けて公金を追加して準備をしたあげく、中止に追い込まれる事態も考えられる」(7月9日付け「スポーツの力」欄)
 7月、夏本番を迎えています。誰もが特に気を付けなければならないのは熱中症。この夏は猛暑も予想され、マスク着用による熱中症患者の大量発生が懸念されています。
 コロナと熱中症のダブルパンチの中にあって、私たちは疲労感を禁じ得ません。
 …パンチはこれだけには留まりません。
 これでもか、というように惨い追い打ちをかけて来た3つ目のパンチ。「令和2年7月豪雨」です。
 停滞した梅雨前線の影響による記録的な激しい大雨は、極めて広範囲にわたり非情な大被害をもたらしました。大きな音を立てて、水かさと破壊力を一気に増した真っ茶色の逆巻く濁流の氾濫。突然飛ぶように襲ってきた土砂崩れ。多くの方々が犠牲になりました。警察・消防・海上保安庁・自衛隊はじめ自治体や消防団などの地域の皆さんの必死の救助活動によって救われた人々も沢山います。
 そして破壊尽くされた泥だらけの家屋や家財用品・自動車等の残骸や流木等の山の中で、いつ終わるとも皆目見当のつかない後片付け作業に取り組むマスク姿の被災者の皆さん。コロナ禍の影響で、県外からボランティアが駆け付けるのも難しい状況が続いています。しかも警戒すべきは、これからが台風シーズンということです。またまた「観測史上第1位」を更新する猛烈な雨量等、強烈パンチに襲われないとも限りません。
 「令和2年7月豪雨」の速やかな検証と情報の共有を図り、幅広い視点から被害を減らす取り組みを加速して行かなければなりません。
 日本では、今や何処に行っても、ほぼ全員がマスクをしています。加えてソーシャル・ディスタンス。相手の表情はほとんど分かりません。
 そんなとき、近くの世田谷区立希望丘小学校の正門の掲示板。マスクをした筆者の目に飛び込んできたのは「学校通信」(第556号7月号)の一言でした。
 「マスクをしているために大きな声で挨拶をすることが出来なかったり、表情が硬くなりがちだったりするので、大きな声を出さなくてもよいから目元を意識して「にこっと笑顔で軽く会釈」の挨拶が出来るよう指導しています」

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


2機目のF-4特別塗装機完成
301飛行隊
 百里基地に所在する第7航空団飛行群第301飛行隊は、今年度中に48年にわたるF-4の運用を終え、三沢基地に移動し、F-35Aに機種更新する予定である。
 航空自衛隊の主力戦闘機であったF-4は、最盛期には、12個の戦闘機部隊のうち7個がF-4を使用し、また1個の偵察機部隊がRF-4を使用していたが、今は第301飛行隊が運用するのみとなった。
 第301飛行隊、そして航空総隊におけるF-4の運用の歴史を記念するとともに、部隊の士気高揚のため、飛行隊は、F-4のラストイヤーとなる本年に、2機目のF-4特別塗装機(07-8436号機)を作成した。
 機体は、メタリックブルーで垂直尾翼と主翼下面にスプーク(Spook、幽霊、戦闘機ファントム〓のイメージキャラクター)を描写、インテークにはF-4が配備された歴代飛行隊マークが表示され、その他にも塗装担当者の様々なこだわりを見ることができる。
 現在は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、基地行事や各基地の航空祭等が軒並み中止又は延期となっている状況にあるが、新しい生活様式を実践しつつ、イベント等の開催制限の段階的緩和に併せて、塗装機を披露する機会も設けていく予定である。

初級操縦課程を卒業して
20-F 川原2空曹
 この度、20-Fは初級操縦課程の卒業を迎えることができました。
 右も左も分からない私達をここまで導いてくださった教官方を始め、我々の訓練や日々の生活を支えてくださった基幹隊員の方々に感謝するとともに、新たな課程への挑戦の始まりに、身の引き締まる思いです。
 私達20-F9名は自衛隊に入隊して約2年6カ月を経て、ここ静浜基地において戦闘操縦者となるための新たな一歩を踏み出しましたが、日々の飛行訓練や学科教育は厳しく、教官の教えに食らいつくことに毎日必死で、振り返れば8カ月という月日はあっという間でした。
 この8カ月を同期と共に支え合い、そして静浜基地の皆さんに助けて頂きながら乗り越えた経験が、私たちにとって揺るぎない自信となったと確信しています。
 今後の操縦課程は、更に高い壁が幾重にも立ち塞がると思いますが、この基地で学んだ全てを武器とし、コース一丸となって全力で励みたいと思います。
 静浜基地の皆さん、本当にありがとうございました。

統幕長から第3航空団に
航空総隊司令官から北部航空音楽隊に
 この度、第3航空団(久保田隆裕空将補=三沢)は統合幕僚長から第2級賞状、また、北部航空音楽隊(隊長・山本史月1空尉)は航空総隊司令官から第3級賞状を受賞した。
 表彰伝達式は、6月5日に北部航空方面隊司令官室において執り行われ、北部航空方面隊司令官から第3航空団司令、北部航空音楽隊長へそれぞれ手渡された。
 第3航空団は、部隊創設以来、累計3000回以上の緊急発進を行い、領空の秩序の維持に貢献したことによるもの。
 また、北部航空音楽隊は、全隊員が一致団結し、旺盛な士気と厳正な規律をもって、平成28年2月以来4年間、服務無事故を達成したことによるものである。

山口県とアイソレーター搭載訓練
<芦屋救難隊>
 芦屋救難隊(隊長・下田尚研2空佐)は、6月1日、山口県と合同でアイソレーター搭載訓練を行った。「アイソレーター」とは、感染症患者を隔離搬送する際に使用する袋状になった装置であり、陰圧式空気清浄装置を使用して汚染された空気が外に漏れないようになっています。これを使用することで、患者を搬送する隊員への2次感染を防ぐことができる。
 今回の訓練は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から山口県と芦屋基地で協議された結果、山口県防府北基地において実施した。まず、救難隊員と山口県職員でアイソレーターに感染症患者を模擬したダミー人形を固定し、搬送方法や搭載要領を確認した。その後、実際にUH-60Jを使って搭載訓練を行った。搭載訓練は、UH-60Jのメインローターを停止させた状態と、回転させた状態の2パターンにおいて訓練し、どちらも安全に実施できることが確認できた。また、UH-60Jに電子機器を搭載する際には、機器から出る電磁波が飛行計器などに影響を与えないことを確認する必要があり、今回併せて影響がないことを確認した。今回の訓練を通して、離島で感染症患者が発生した場合に、自治体と連携して安全にUH-60Jで搬送する方法を確認することができた。
 芦屋救難隊は、新型コロナウイルスとの戦いに勝利すべく、このように関係自治体との訓練を通じて、日々技量の向上を図っていきたい。厳しい状況が長期に及ぶことが考えられるが、隊員一丸となって、この困難に対応していく。

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