防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1019号 (2019年1月15日発行)
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読史随感
神田淳
<第45回>

北条泰時の「道理」

 物事の道理を考える能力、道理に従って判断し行動する能力のことを「理性」という。人は感情的になって理性を失ってはならないなどという。
 西洋において「理性」はギリシア以来重視されてきたが、西欧社会が中世から近代に脱皮する過程でその傾向が強まった。理性に従い、説得力ある理由・根拠にもとづいて事柄に対処する行動・思考様式を「合理主義」というが、ルネッサンス、科学革命、社会革命を経て近代社会を生み出した西欧の原動力に「近代合理主義」があった。
 欧米の理性重視の精神は現在なお健在で、欧米社会の良識となっている。それは、説得性のある論理的主張、科学的判断、原理原則の希求と、同時に存在するプラクティカルな判断などに見られる。
 日本はどうだろうか。日本人の心(大和魂、和魂)は理よりも美と情緒に傾斜し、「理性」に欠落するゆえ日本は真に近代化していないといった粗雑な日本論がかつてみられたが、日本史をよくみると日本も十分理性尊重の歴史をもつことがわかる。
 鎌倉時代(1185-1333)、武士による統治で最も重んじられたのは「道理」だった。鎌倉幕府第3代執権・北条泰時は、1232年武家社会の法典「関東御成敗式目(貞永式目)」を定めた。この法典は、武家社会の慣習を根拠としつつ、御家人同士や御家人と荘園領主間の土地紛争を公平に裁くよりどころなどを明らかにしたものであるが、この法典の制定と運用の理念が「道理」であった。
 泰時は、貞永式目について「式目の立法上の根拠などはなく、ただ評定衆13人の多数決で理非を決断し、道理のあるところを記したに過ぎない」と言う。執権を含む13人の評定衆(幕府の最高議決機関)は、貞永式目の運用にあたって、「およそ評定の間、理非においては親疎あるべからず、好悪あるべからず、ただ道理の押すところ、心中の存知、傍輩を憚らず、権門を恐れず、詞(ことば)をだすべきなり」という起請文を神に捧げた。
 幕府の評定衆には、自分や一族の利害、権門との関係などの雑念を一切絶ち、道理によって理非を決断するのは容易ならざる業務であるとの自覚があった。そのゆえ彼らは神に誓ってこれを行おうとしたのである。
 泰時は、裁判の際には「道理、道理」と繰り返し、道理に適った話を聞けば、「道理ほどに面白きものはない」と言って感動し涙まで流したと伝えられる。その「道理」とは武家の慣習を基本としつつ、欲心をなくして見いだす道徳法則であり、自然的秩序であった。仏教では「正しきということは無欲なり」、「よきというのも無欲なり」と教える。華厳宗の高僧・明恵上人に私淑する泰時は、私心・私欲を去って真摯に「理非」を決断しようとした。
 貞永式目は、日本人の手になる最初の日本人の法であった。その法を支配する理念が「道理」だったことの意義は大きい。武家法として定められた貞永式目が、その後日本の基本法または道徳律のようになって庶民まで深く浸透し、以後数百年常識の基準となった。江戸時代寺子屋の教科書としても用いられ、日本文化の形成に重要な役割を担い続けたのである。
(令和2年1月15日)

神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授
著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』など。


全国の基地から JASDF

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「休日の基地見学」を実施
静浜
 11月3日、静浜基地(司令・西野一行1空佐)は静岡地方協力本部と連携して、本年度2回目の「休日の基地見学」を行った。
 今回は、平日の来基が困難な募集対象者、各種自衛隊採用試験受験者及びそのご家族を対象にした。
 26名の見学者が静岡地方協力本部の広報官と共に来基し、基地の施設や航空自衛隊の装備品等を見学した。また、体験喫食により静浜基地の食事を味わってもらった。
 募集対象者及び各種自衛隊採用試験受験者からは、「一足早く作業服や消防服を着られて、自衛官の気分を味わうことができた」との感想を頂き、ご家族からは「実際に基地内に入って隊員の話を聞くことができ有意義だった」や、「職場を見ることができて良かった。」などといった感想が聞かれた。
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原子力防災訓練
第3輸送航空隊が参加

美保
 第3輸送航空隊(司令・塩川壮1空佐=美保)は11月9日、鳥取県が実施した令和元年度原子力防災訓練に参加した。
 訓練には、鳥取、岡山、兵庫県から医療関係者と厚生労働省DMAT事務局及び自治体関係者が参加した。
 訓練は、島根県に所在する原子力発電所で事故が発生し、基準値を超える放射線が確認されたとの想定で開始された。
 自衛隊車両に先導されたDMAT(災害派遣医療チーム)は飛行場地区に到着し、C-2輸送機の機内に設置する医療機器の設置要領や患者の搬送要領について、空中輸送員も交えて演練が実施された。
 その後、C-2輸送機で参加者を患者搬送の想定で鳥取県東部の鳥取空港まで空輸を実施し訓練は終了した。
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クリスマスコンサートを開催
千歳
 12月1日、千歳基地は、北ガス文化ホール(千歳市民文化センター)大ホールにおいて、北部航空音楽隊(青森県三沢基地所属)による千歳基地クリスマスコンサートを開催した。
 このコンサートは、クリスマスを目前に千歳基地周辺住民の方々の基地への理解協力に対し感謝の意を表すとともに、航空自衛隊の活動を更に理解していただくために行われている。今年も、申し込み開始から多数の応募をいただき、締め切り日を迎えずに募集を終了した、人気のイベントとなっている。
 コンサートは2部構成で行われ、ヘアースタイルがお坊さんのような音楽隊長の山本史月1空尉と笑顔に眼鏡が映える演奏班長の五味渕敦1空尉がタクトを振った。
 第1部は、日本では歓喜の歌として親しまれているベートーヴェンの第9をモチーフにした「ファンタジア・イン・G」で幕を開け、3曲目はミュージカルで有名な「オペラ座の怪人」をドラマチックなメロディで引き付け、第2部では誰しも1度は耳にしたことのある「そりすべり」などクリスマスが待ち遠しくなる楽曲を演奏。6曲目の「すべてをあなたに」ではアルトサックスをフィーチャーしたジャズ風のアレンジで観客を魅了した。プログラムを終えたあとも拍手は鳴りやむことはなく、再登場した山本1空尉が「メリークリスマス!」と挨拶し、「主よ人の望みの喜びよ」と行進曲「星条旗よ永遠なれ」をパロディにした「スーザの休日」などアンコール2曲を披露。自然と観客から手拍子が沸きおこり、全10曲の公演は幕を閉じた。
 約1100人の観客でほぼ満員となった会場は、一足早いクリスマスムードに包まれ、家路に着く来場者からは「すばらしい演奏で心を打たれた」や「来年も是非聴きに来たい」と再演を希望する声が聞こえた。

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