防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1000号 (2019年4月1日発行)
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ノーサイド
北原巖男
元自衛隊員

 卒業生たちも香りを楽しんだ爽やかな梅の季節から、新たなチャレンジを始める皆さんを祝福する華やかな桜花が満開を迎えようとしています。
 自衛隊でも、各地の部隊や学校で、真新しい制服に身を包んだ新人の皆さんの緊張した姿が微笑ましく映ります。真に良き社会人として国民の負託に応える自衛隊員として、日々成長して行っていただきたいと思います。
 そして、さまざまな思い出を残して自衛隊生活に別れを告げ、新しい分野へと踏み出した元自衛隊員の皆さんも全国に沢山います。
 ニューフェイスの自衛隊員、元自衛隊員の皆さん。それぞれの皆さんの頑張りと活躍に心から力いっぱいの声援を送ります。
 そんな中、飛び込んで来たのが衝撃的なニュース。アナウンサーは、何度も繰り返し伝えています。
 「2人は元自衛隊員。同じ部隊の同僚でした。2人は…」
 遠くカンボジアで、あろうことか強盗殺人事件を起こしたのです。若い2人の元自衛隊員に突然殺害されたタクシーの運転手さんには、幼い子供たちや悲嘆にくれるご家族が残されました。皆さんの無念さや悲しみに思いを馳せるとき、限りない哀惜の念と憤りを抑えることが出来ません。
 「自衛隊の教育は、いったいどうなっているんだ!」そんな声も上げたくなる、いたたまれない気持ちの皆さんも多いことと思います。
 世界的に有名な世界遺産アンコールワットのあるカンボジアは、平成の時代に入った直後の平成4年(1992年)に、自衛隊が初めてPKO活動を行うため派遣された国です。
 自衛隊の皆さんは、国づくりの基盤となる道路や橋の整備等に取り組んで来ました。その間、特記すべきことは、カンボジア国民の皆さんとの間に、決して壁を作ることなく、心と心を結ぶ強固な信頼関係を築き上げて来たことです。そんなカンボジアでの活動に従事した自衛隊員の中には、すでに元自衛隊員になっている方もあり、カンボジアからの痛ましいニュースに胸を痛めていることと思います。
 その後も、自衛隊では、日本らしいカンボジア国軍のさまざまな能力構築支援策に精力的に取り組んで来ています。
 さらには、国づくりは人づくりとの観点から、防衛大学校では、将来幹部要員となる留学生を受け入れて来ています。本年も1名の留学生が、5年間の頑張りを経て、3月17日、安倍内閣総理大臣や岩屋防衛大臣が見守る中、國分学校長から卒業証書を授与されました。卒業式当日の夕刻には、彼を支え励まし続けて来られたホストファミリーである日本のお父さん・お母さんからも温かい祝福を受けていました。感謝の気持ちを胸に、再会を期して母国へと巣立って行った彼は、きっと日本とカンボジアの皆さんを結ぶ力強い架け橋になってくれることでしょう。
 そしてカンボジアには、2002年から同国のカンボジア地雷処理センターの教導チームと連携し、不発弾や地雷の回収・処理、カンボジアの処理要員や教官要員の育成そして地雷や不発弾の脅威から子供たちや住民を守るため、学校や村々を訪問して「危険回避教育」の実施等に懸命に頑張っている元自衛隊員の皆さんが、今もいるのです。
 「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」の皆さんです。
 「カンボジアでは、長年地雷・不発弾の処理が行われてきましたが、いまだに年間約110人の死傷者を出しています。カンボジア政府は、2025年までに人的被害をなくすという国家目標を掲げ、日々地雷・不発弾の回収・処理を行っています」(JMAS2016-2017活動報告)
 現地での活動がすでに17年にも及んでいるJMASの皆さんの地道な活動の蓄積によって、こどもたちは安心して学校に通えるようになり、また農作物の耕作等を通じて生活が豊かになって来ているとの喜びの声も寄せられています。
 元自衛隊員による凶悪事件が報じられる中、カンボジアの皆さんと心を一にして、一緒に頑張っている元自衛隊員の皆さんがいることを忘れることは出来ません。

北原 巖男(きたはらいわお)
元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


読史随感
神田淳
<第26回>

在日外国人のメッセージ

 日本に長く住む外国人が現在の日本をよく見ている。
 以下、『ニッポン人はなぜ美しい習慣を捨てるのか』と題する本に載せられている在日外国人の意見をいくつか拾ってみる。
 「日本は第二次世界大戦に負けて以来、自信をなくした。自信をなくした人たちが子供を育てる際、伝統を否定し、アメリカを偶像化した。その結果、日本は次第に悪くなった」、「日本人は戦後信じるものをなくして、その傷はなお癒えていない。それは日本人の多くが自分の国を卑下し、自分の政府を信用しない点に表れている」、「日本人が自分の国の良さを知らないのは、教えられていないというのが最大の理由である」、「今の日本人、特に若い人は儒教を知らない、仏教を知らない、神道を知らない、武士道を知らない、日本の古典を読んだことがない、文化面で空洞化している」、「江戸時代の日本は世界のどの国と比べても圧倒的に豊かで知的だった。そして国として自立していた。今は国も国民も自立していない」、「日本人にはもっとしっかりしてもらいたい、私は世界に日本よりいい国があると思わない」(以上ビル・トッテン、米国)。
 「20年前の日本人にはエネルギーが感じられた。今の日本人はマイナス思考になっている」、「日本にはすばらしいものがいっぱいあるのに、若者のそれへの関心が失われつつあるのが残念だ。若い人たちには、自国の良さを知ってほしい」、「今の日本語の乱れ、あるいは衰亡は民族としての日本人の存亡の危機につながるのではないか。僕は今の現象を日本語のタガログ語化と言っている」(ピーター・フランクル、ハンガリー)。
 「 "はしたない" が死語になって寂しい。初めて来日した頃に比べると日本はオープンになったが、マナーは悪くなった」、「かっての日本人は一生懸命仕事をしているという印象があった。今は一生懸命を嗤うような感じがある。なぜそうなったのだろうか」(ダリオ・ポスネッスィ、イタリア)。
 「今の日本の若者は自国の歴史や文化を知らないし、極端に言うとそれを恥じているように思える。日本の歴史や価値観が遅れたものであるかのように思っている。ちゃんと日本の文化や歴史を正しく教えて、それが誇るに足るものであることを認識させる必要がある」、「日本には発信する内容がないわけではなく、たくさんあるのに発信する行為がない。外のものをただ受け入れるのが国際人であるかのように思っている」(郭洋春、韓国)。
 「親殺し、子殺しを平気でやる日本。最近の子供は命あるものを知らない。日本は危ない方向に向かっている」、「20年前初めて来た頃の日本と今の日本は全然違う。今の日本人は動物人間になっている。美しい国で親切、勤勉な国民はどこに行ったのか」、「それでも日本は世界の中でうんと安全な国であることに変わりはなく、平等で、環境もよい理想の国である」(孔健、中国)。
 こうした外国人に共通するのは、日本は立派な歴史と文化をもっているのに、教えられていないがゆえに、それを知らず、その結果自国を卑下し、美徳も自立心も失われているという認識である。しかし私は、若い世代はそのことに気づいており、日本の良さを知ろうとする者がふえているように感じている。
(2019年3月25日)

神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授
 著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』など。


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