防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
スペーサー
自衛隊ニュース   993号 (2018年12月15日発行)
-
1面 2面 3面 4面 5面 6-7面(PDF) 8面 9面 12面

ノーサイド
北原巖男
YES,TO BE CONTINUED

 平成最後の12月も残り少なくなりました。
 読者の皆さんの2018年師走。「あっという間だったなぁ」それとも「やっとだ」でしょうか?
 すぐには思い出せないほどいろいろな出来事や、辛いこと嬉しいこと悲しいこと感動したことなど、生涯忘れられない体験もされて来たのではないでしょうか。
 新年当初、真っ白でスタートした皆さん自身の「カンバス」は、今それぞれオンリーワンの世界を創り出しています。それは、皆さんのこの1年間の「挑戦」の証。
 国民の自衛隊員として、士気高くさまざまな任務に取り組んで来ている皆さん。特に今年は、酷暑の中、台風や豪雨そして地震が怒涛の如く襲い掛かって来ました。地元の自治体・警察・消防隊員と共に真っ先に駆け付け、懸命に救命・救助活動等に「挑戦」して来ました。こうした災害派遣活動に果たした陸上総隊新編の意義は大きく、迅速かつ円滑な統合運用が行われたのではないでしょうか。テレビや新聞報道を見ながら、声援を送っている国民の皆さんも多かったことでしょう。今後、いかなる部隊運用においても、実効性ある統合運用を通じて国民の負託に応えて行っていただきたいと思います。
 他方、厳に反省し二度と生起させてはならない不祥事案の生起もありました。故意、怠慢は言うに及ばず、どんなに小さな過失であっても、断じて看過しない繰り返さないのが自衛隊員としての誇りです。
 また、普天間飛行場の移設問題をはじめ在日米軍や自衛隊の施設・区域・訓練等に係る地元の皆さんの理解を得るため、日夜懸命に、這いつくばるように、防衛施設行政に取り組んでいる隊員の皆さんも沢山います。「なんでこんなに地元から責め立てられなければならないんだ」と嘆きたくなることもあるでしょう。
 でもそれは、皆さんが地元の皆さんに真に寄り添っている証なのです。地元の皆さんの心配や痛みを少しでも共有しようと努力を続けながら、真摯に、とことん誠実に、丁寧に丁寧に向き合い理解を求めて行く。整った直線道路ではなく、お互いに曲がりくねった障害物のある道を一歩一歩歩むことになっても、相手の立場を尊重しつつ、真っ向「挑戦」する者同士。必ず心は通い合います。双方から手を差し延べ合い、新しい扉を開く日が来ることを確信しています。地元に在って、地元のこと、地元の皆さんのことを一番理解しているのは、防衛施設行政に邁進している隊員の皆さんを置いてほかにはいません。大変ですが、皆さんにはそれが可能なのです。
 防衛省・自衛隊は、これからは、新しい「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」に基づいて、益々複雑高度化・高速化する防衛任務の責任を果たして行くことになります。宇宙やサイバー空間、人工知能(AI)、レーザー、日米同盟、少子化、女性自衛官、予備自衛官、定年引上げ等々。
 どんなときも組織は人です。隊員の皆さん一人ひとりが使命を自覚し、錬成し、どこまでも謙虚にそして誇りを胸に頑張っていただきたいと思います。自衛隊OBの一人として、国民の一人として、心から力いっぱいの声援を送ります。
 皆さんの個人としての「挑戦」、自衛隊員としての「挑戦」そして防衛省・自衛隊としての「挑戦」は、YES, TO BE CONTINUED
 「ボーッと生きてんじゃねーよ!」
 良いお年を!

北原 巖男
(きたはらいわお)
元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


CRTが小松で初訓練
被災飛行場応急復旧
<航空支援集団>
 空自航空支援集団(司令官・山田真史空将)は、9月26日〜27日の間、大規模震災等により被災した飛行場の機能復旧を目的とした「飛行場応急復旧隊(CRT ※注1)」の総合編組訓練を小松基地で実施した。CRTは、既存の人員と装備で編組する臨時の部隊で、東日本大震災で被災した松島基地などの教訓を基に、3年前から同集団が独自に態勢を整えてきた。大規模震災で被災した飛行場のうち、CRTは救援物資などの空輸拠点となり得る飛行場の機能回復をはじめ、気象観測、航空情報等の提供、端末地業務などの機能確保を主な任務としている。
 CRTの総合的な訓練は昨年の入間に続き今回で2回目。輸送機で要員及び装備品を派遣しての訓練は、今回が初となる。
 26日、先に小松基地に到着した先遣班が待つ中、入間等の各基地から機能復旧班及び装備品がC‐130により到着し、CRTを編組した。訓練指揮官の柴原弘明2空佐以下約50名は、実派遣と同様に、編組後、空輸に関する端末地業務を実施した。その後、CRT派遣実施計画等に関する教育を実施し、知識事項及び保持すべき態勢について理解させた。翌27日は、西谷浩一・支援集団副司令官及び門間政仁・小松基地司令が視察する中、被災飛行場を想定した旧滑走路付近で指揮所等設営、現地映像の伝送、気象観測、航空情報等の提供、空輸に関する端末地業務の各任務を総合的に訓練した。さらに、中施隊(2作隊)の重機部隊や、被災した自衛隊施設の早期復旧のための技術支援を行う内局及び近畿中部防衛局の施設整備調査チーム(ERE‐FORCE ※注2)も支援部隊として参加。滑走路の啓開活動や輪加重測定による滑走路の健全性の調査などを行った。西谷副司令官は訓示の中で「年1度の総合訓練を有意義なものとし、今後も実任務に対応できる態勢を維持せよ」と述べるとともに、CRTの継続的な能力向上と普及の拡大が必要との認識を示した。
※注1
 CRT‥Contingency Response Team
※注2
 ERE-FORCE‥Emergency Response Engineer Force

ウーマンパワーで支えよう
<全国防衛協会連合会女性部会>
 11月21日22日、今年も全国防衛協会連合会女性部会(会長・江上栄子)研修大会が盛大に開催された。「国の守りと平和の心 ウーマンパワーで支えよう」をスローガンとして、日本各地で防衛意識の普及・高揚と自衛隊を応援する事を目的に活動している「防衛協会女性部会」。初日は、明治記念館で総会及び元自衛艦隊司令官の松下泰士氏による防衛講演会、懇親会が行われた。
 松下氏による講演会のテーマは「海、その愛」。そして、講演会当日起こったハプニングを救ってくれた、ご自身の奥様を褒めるところから講演は始まり、その瞬間からガッチリと聴講者の女性の心を掴んでいた。「日本の海の重要性」「その海を守る海自の姿」を講話し「隊員に励ましの言葉をかけて下さい」で締めくくられた。講演後「日本は海に囲まれているがための苦労がこんなにあるとは思わなかった」など、「考えさせられる講演だった」と聴講者。
 懇親会は、明治大学マンドリン倶楽部と作曲家甲斐靖文氏の指揮による演奏から始まった。古賀政男の懐かしい曲等に皆うっとりと聞き入っていた。この懇親会には、VIPとして山崎陸幕長・村川海幕長・丸茂空幕長が参加していて、壇上に3名が並ぶと「凄い、すごい!」と言いながらフラッシュの嵐だった。そして、明治記念館特製のコース料理を堪能し、初日は終わった。
 翌日は、武道館で「自衛隊音楽まつり」を鑑賞。その後、各々帰路に就いた。
参加者たちは「自衛官を応援しなきゃ」との思いを更に強くし、地元に戻り今回の話をして、「国の守りと平和の心 ウーマンパワーで支えよう」を実践してくれる事だろう。

NEXT →
(ヘルプ)
Copyright (C) 2001-2018 Boueihome Shinbun Inc