防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   981号 (2018年6月15日発行)
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読史随感
<第7回>
戦後の歴史教育の不在
 以下、伝え聞いた話である。東大法学部を出て商社マンとなり、ロンドンに勤務した人の体験。ある時イギリス人ビジネスパートナーから東郷平八郎について質問され、何も答えられなかった。自国の歴史に対する無知は、やがてビジネスにも影響し始め、パートナーとの仕事もうまくいかなくなった。彼は帰国後、大いに反省して、母校の文学部に学士入学し、日本の歴史を学び始めた。
 この話は、戦後の日本にまともな歴史教育がなかった事実を象徴している。東大法学部卒といえば、日本の国の教育を最高レベルに身につけた人のはずである。それが自国の歴史に無知であり、そのゆえ、イギリスのビジネスマンからまともに相手にされない。
 大東亜戦争で敗北した日本人は、自国の歴史を否定的にみるようになった。これは戦勝国アメリカの意志が強く働いた結果であることを、我々は忘れてはならない。終戦の年(1945年)の暮れ、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は、今後学校教育において、日本の歴史、地理、修身の三科目を廃止せよとの命令を日本政府に通達した。この三教科が、軍国主義と極端な国家主義を鼓吹したからだという。
 GHQによる占領統治の基本方針は、「降伏後における米国の初期の対日方針」の冒頭に、究極の目的として掲げられている。それは、日本国が再び米国の脅威となり、又は世界平和及び安全の脅威とならざることを確実とすることであった。
 アメリカは、日本が世界平和の脅威(米英からみての脅威)となるほど強い国になったのは、日本の教育、特に歴史、地理、修身の教育にあるとみて、これにメスを入れようとしたのである。この中で、その後の日本人の国家意識に最も大きな影響を与えたのは、歴史教育の否定だった。
 戦勝国が敗戦国に学校で国の歴史を教えてはならないという。暴挙であり、こんな指令は到底受け入れられない。しかし、日本人は黙してこれを受け入れた。それは、これに反対すれば公職追放されるほど、この政策が徹底しており、国民の大多数が未曾有の敗戦で、日本の国に自信を失う虚脱状態にあったからである。そして、社会主義や共産主義親派のインテリ、ジャーナリスト、政治家といった一部の日本人は歴史否定政策に積極的に協力した。
 日本の歴史は国史(ナショナルヒストリー)ではなく、社会科の一部として教えられるようになった。社会科は良き市民を育てる学科で、本来歴史とは別ものである。
 戦後の歴史教育の最大の特徴は、国家に対する強い否定意識にある。戦後の日本は、戦前の国家主義的思想を軍国主義として否定するだけでなく、日本の長い歴史における国家の形成の歴史を、すべて否定的に教えるようになった。
 自国の歴史を否定的に語り、外国のナショナリズムを称賛し、自国のナショナリズムを非難する。無知で、卑屈で、世界的に珍しい日本人を戦後の歴史教育は生んできた。
 西部邁が言うように、国家の根底をなす共同体は国家の歴史性ということに他ならない。これを否定的にみるような国民感情は、やがて独立した国家の喪失を招くだろう。
(2018年6月8日)
  
神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授
 著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。

募集目標達成に向け、陸・海・空一丸となって
東方総監主催「方面区内3自衛隊指揮官募集会同」
 東部方面区内の募集業務に関わる陸・海・空指揮官の参加による「平成30年度第1回方面区内3自衛隊指揮官募集会同」が東部方面総監・住田和明陸将主催により5月24日、朝霞駐屯地において、横須賀地方総監・渡邊剛次郎海将、中部航空方面隊司令官・金古真一空将の参加を得て実施された。
 本会同は、平成28年度から実施しているものであり、少子高学歴化、有効求人倍率の向上等、厳しい募集環境を克服するための、陸・海・空の更なる連携のための施策等について意見交換を行った。
 当初、住田東方総監から平成29年度募集目標未達成の状況と募集目標達成のためには海・空部隊の協力が必要不可欠であることを説明。各指揮官と危機感及び地本と部隊の連携強化の重要性について改めて認識を共有した。
 意見交換会においては、更なる隊員自主募集情報の提供、新隊員等の出身高校への訪問による自衛官という職業の魅力の発信、地本での女性自衛官の活躍を推進する等、幅広い意見が交わされ、陸・海・空自衛隊一丸となった募集への取組みについて確認した。

輸送事業者と協定を締結
災害等対処能力向上へ
<西部方面隊>
 3月26日、陸上自衛隊西部方面隊(総監・湯浅悟郎陸将=総監部・健軍)は、壱岐・対馬フェリー株式会社、対州海運株式会社、九州郵船株式会社及び株式会社JMRS(以下「輸送事業者」という)と「輸送協力に関する協定」を締結した。
 本協定は、九州・沖縄地方において災害が発生した場合又は西部方面隊から同事業者に対して協力を要請した場合において、同事業者から輸送に関する協力を受け、迅速な部隊派遣等に資することを目的としたものである。
 具体的な協力の内容としては、(1)同事業者が定める営業時間外での対応、(2)西部方面隊への定期的な輸送情報の提供、(3)西部方面隊の部隊派遣等に対して優先的な輸送力の提供である。
 これにより、九州沖縄各県における災害等で任務を遂行する西部方面隊にとって、災害等の初動対応を迅速に実施することができるため、国民・県民の生命及び財産を守るために実施する活動の実効性が今まで以上に向上するものと認識している。
 また、協定を締結した輸送事業者を代表して、壱岐・対馬フェリー株式会社は「西部方面隊が実施する災害派遣活動等に対して、最大限協力することが輸送事業者としての使命であると認識しており、それが結果的に国民・県民の生命と財産を守ることにつながればよいと思っている。今後は、九州沖縄各県における災害等で任務を遂行する西部方面隊の活動を支えられるよう、輸送事業者としてもより一層の努力をしていく所存である」とコメントした。
 今後は、本協定に基づく訓練等を通じて、更なる陸上自衛隊西部方面隊の災害等に対する対処能力等の向上を図る所存である。

防大ツアー参加者
3万人を達成!
 5月25日、防衛大学校(学校長・國分良成)が行っている防大ツアーの参加者数が累計3万人を達成した。横須賀市内から同日のツアーに参加した渡辺英子さんが3万人目の参加者となり、本部庁舎前で記念行事が行われた。渡辺さんに武藤副校長(企画・管理担当)から花束が、学生隊学生長の笠原学生及び学生隊学生長付1係佐藤学生から記念品が贈呈された。当日は天候にも恵まれ、終始和やかな雰囲気の中行事は幕を閉じた。
 防大ツアーは学校設立の背景・歴史や教育理念、学生教育や学生舎生活を広く一般市民へ広報するため、平成18年5月に開始された。本部庁舎、記念講堂、資料館、学生会館及び課業行進を見学コースとして実施している。見学日は、原則として祝祭日を除く毎週月曜日(午後)・水曜日(午前と午後)・金曜日(午後)で、所要時間は水曜日午前が約1時間40分、午後が約2時間10分。近年は年間約3000名の参加者があり、昨年度は約3200名が参加した。参加は無料で、事前に電話で仮予約した後、申請書を送付して参加申込が完了となり、参加当日は受付で身分証の確認が行われる。問い合わせは防大社会連携推進室広報ツアー係(046-841-3810、内線2019)まで。

第54期MD課程 第1期NB課程 卒業式
<陸上自衛隊幹部候補生学校>
 5月23日、第54期医科歯科幹部候補生(MD)課程51名及び第1期看護科幹部候補生(NB)課程59名の卒業式が陸上自衛隊幹部候補生学校(学校長・鬼頭健司陸将補=久留米)の剛健大講堂にて挙行された。
 部内外の多くの来賓や家族が見守るなか、鬼頭学校長から候補生一人ひとりに力強く卒業証書が授与された。
 鬼頭学校長は式辞で「今後も自らの限界に挑戦せよ」「本校で培った絆を大切にせよ」と餞の言葉を贈った。続いて、山崎幸二陸上幕僚長代理の陸幕衛生部長・松木泰憲陸将補による陸幕長訓示の代読においては、「使命を自覚せよ」「たゆまず研鑽せよ」との要望事項と、医師・歯科医師・看護師たる幹部自衛官として、いかなる困難をものともせず、率先して職務の遂行にあたり、「強靭な陸上自衛隊の創造」を実現するため一翼を担うことの切なる希望が伝達された。
 卒業式後は記念会食が行われ、最後に家族、職員等が見送る中、新たな気持ちを胸に候補生達は溌剌と幹部候補生学校を後にした。

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