防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   978号 (2018年5月1日発行)
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近間から遠間から
司馬遼太郎と64式小銃

 先日、陸自の第一線からは姿を消して久しい64式7・62mm小銃を目にする機会があった。ある式典で隊列を組んだ海自儀仗隊が手にしていた。白手をはめた隊員に「捧げ銃」に支えられた姿を眺めながら、私は自衛隊から消えつつある64式小銃によるこの栄誉礼が、作家の故・司馬遼太郎に捧げられているような錯覚にとらわれていた。
 「私は、ソ連軍の参戦が早ければ、その当時満州と呼ばれた国境の野で、ソ連製の徹甲弾に戦車を串刺しにされて死んでいたはずである」
 大阪外国語学校蒙古語科の学生だった司馬は、戦局の悪化に伴い学生の徴兵猶予が停止されると学徒出陣し、満州に駐屯する関東軍の戦車第一連隊に見習士官として赴任した。彼の著書「この国のかたち(文芸春秋刊)」の第一巻には、同じ関東軍が自分の赴任する5年前、1939年に積極的に関わったノモンハン事件のことがたえず脳裏にあった、とある。対戦車用に開発された戦車と、対歩兵用の力しか持たぬ戦車とが戦えば、結果は火を見るより明らかだ。ノモンハン事件では、ソ連軍戦車の砲撃に日本軍戦車は豆腐のように貫かれ、ソ連軍戦車に対する日本軍戦車の砲撃はタドン玉(石炭の粉を丸めた燃料)を投げつけた程度の効果しかなかったという。司馬は事件当時ですら比較にならないほど強力だったソ連軍の兵器がさらに進歩しているであろうことも、これに対し、自らが駆る戦車をはじめ、日本軍の装備が前時代的なまま据え置かれていることにも気づいていた。
 司馬の推測通り、戦車兵の彼にとっての脅威は、もはや敵戦車だけではなかった。本来の相手であるはずの歩兵さえも、対戦車ライフルで武装していれば死神も同然だったのだ。この時、ソ連軍には5連発の半自動式対戦車ライフルPTRS-1941があり、戦車攻撃の補助的役割を担っていた。設計者の名からシモノフ対戦車ライフルとも呼ばれる、2mを超える長大な銃から発射される徹甲弾は1km離れていても約20mmの装甲を貫通できる威力があり、装甲12mmの日本軍戦車はひとたまりもなかった。しかしヨーロッパ戦線でドイツ軍戦車の装甲が30mmに強化されるなど、各種兵器の防御力の急速な進歩により、対戦車ライフルが通用した時代は終わりを告げる。
 ところがPTRS-1941はそのまま消えてしまわず遺伝子を次代に残した。設計者のシモノフがその半自動機構を小型化して7・62mmの半自動小銃SKSを作り出し、第2次大戦終結の翌年にソ連軍に制式採用された。東西冷戦の最中、各国軍で一般歩兵用の自動小銃が開発され始めたことから全自動機能を持たないSKSも制式小銃としては短命に終わる。だが命中精度は米軍のM1ガーランドを凌ぎ、小型実包を使用することから半自動にしては装弾数が10発と多く、構造が堅牢であるなどすでに自動小銃の基礎的要素を備えた優秀な小銃だった。そして、実はこのSKSは日本初の国産自動小銃64式の開発においても、初期の試作段階にその構造が参考にされているのだ。ノモンハン事件は国境紛争だったが、まさに技術に国境はないらしい。シモノフ対戦車ライフルと64式小銃との間には、SKSを経て伝わった血縁があった。
 蒙古語を学んでいた学生時代からの憧れの地、モンゴルを臨む大草原で、戦死を覚悟していた司馬遼太郎は「ノモンハン」という地名がラマ僧の役名に由来し、その意味が「平和」であることを知っていただろう。その司馬を徹甲弾で戦車ごと串刺しにしたかも知れないシモノフの遺伝子を受け継ぎ、初の国産自動小銃として誕生した64式が、日本の平和を半世紀以上に亘って守ってきた。この間、戦争に投じられ人を殺めること一度もなく、やがてその任を静かに終えようとしている。白手に支えられた64式小銃による栄誉礼が、司馬遼太郎の魂に捧げられているように思えた由縁である。

桑沢 慧(くわさわけい)
 明治神宮武道場至誠館剣道科出身のフリーライター。これまでセキュリタリアン(防衛弘済会)、歴史群像(学研)などに執筆。


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(防衛ホーム英語教室)
ヒイ スナップト バック アッ ミ
He snapped back at me!
彼に逆ギレされたよ!

 Hi! How are you doing?皆さん、お元気でしょうか。連休が始まりました。ストレートで10日以上も休まれる方もいらっしゃるようですが、皆さんはいかがでしょうか。五月晴れに輝く若葉に生命感を感じますね。どこへ行っても混雑していると思います。家の近くの公園にでも足を伸ばして、ゆっくりと散歩を楽しむのもいいかもしれません。ただし、紫外線が強くなっていますので、日焼けの予防もお忘れなく。筆者は久しぶりにまとまった時間がありますので、取り寄せた研究書にじっくりと向かい合いたいと思います。気が付けば、洋書を片手に居眠りをしているかもしれません。笑 それも良いかも。

 さて、今回の表現は、"He snapped back at me!"「彼に逆ギレされたよ!」です。snapは、いろいろな意味があります。まず、指をパチン!と鳴らす行為です。「ドアをパタンと閉めるとか、タッパーウエアーの蓋をパチっと閉める」とかに使えます。その他に、「ポキッと折るとか、ぷっつり切ってしまう」とか、さらに「パクッと噛みつく」などの意味もあります。今回は、「ぷっつりと切れる、プッツンする」という感じで使っています。back at〜で、「〜の方へやり返す」という意味が加わりsnap back at meは、「私に逆ギレする」、自分にとっては「逆ギレされた」になります。この表現は、第三者に向かっていっているので、あまり使わないかもしれません。直接的に、「逆ギレしないでよ!」"Don't snap back at me!"の表現のほうが、使えるかもしれませんね。まあ、笑って言えるぐらいの程度にしておいてください。

 新入生、新人は、ガイダンスや研修がおわり、忙しい日々を過ごしていると思います。この連休でチョッと一息ですね。英気を養い、さらに新しいことに挑戦していってください。生活のリズムを整えて、毎日新たな気持ちで前に進んでいきたいものです。陽気に楽しく、ストレスの少ない日々をお過ごしください。それでは、皆さん。See ya!
<スワタケル>


防衛ホーム俳句コーナー
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打水やたばこ屋を守り五十年     久保 秀美
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この空は己が空ぞと鯉幟       渡辺美惠子
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つばくらめ飛び出し村の駐在所    幸保 洋子
丘一面パッチワークの芝桜      佐藤 玲美
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鯛網の先頭をゆく巫女の舟      平田  文
茅花流し刻々変はる海の藍      庵崎きょう子
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いぐね守る家に住みふり田を返す   増田 直美
百葉箱白の際立つ夏かな       木通 佳子
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たかだかと袈裟のごとくにかかり藤  工藤 ●樹
選 者 吟
群るるなく浮寝の鴨に雨の降る    畠中 草史

「頑張っています」新しい職場
活躍するOBシリーズ
株式会社イカイ 栗原 浩之
栗原氏は、平成29年1月に北部方面航空隊を3陸佐(特別昇任)で定年退職。54歳(記事作成時)

 私は、平成29年1月に北部方面航空隊を最後に定年退職いたしました。
 札幌地域援護センターでの勤務経験のある私は、就職援護のノウハウを身に着けておりましたので、札幌地域援護センターに援護を依頼しながら、並行的に、個人でも仕事を見つけようと就職活動をしていました。もちろん、その活動内容は援護組織に報告し、連携を図っていました。
 結果、札幌地域援護センターが開拓、紹介して下さった企業に再就職することができました。再就職先は、静岡県に本社を置き全国に事業所を構える製造系アウトソーシングの会社です。日本の製造業を人でささえる弊社は、社員約5000名で、さらに事業拡大(増員)を推進中であり、北海道全域での採用業務が私の主な職務です。
 具体的な仕事は、募集チラシの作成・配布、各種企業説明会への参加、採用試験、出張面接、赴任手続き、札幌事務所管理の他、各地の就労支援施設、各駐屯地等を訪問して募集広報に従事する等様々です。これらの仕事には、自衛隊在職間の勤務経験が活かせているので、紹介していただいた札幌地域援護センターには大変感謝しております。
 ただ、業務の多くは自分で一から計画するため、常に不安が付いてまわる上、コスト感覚に乏しい私は、宣伝・出張・事務所運営等の経費が嵩み、先輩や上司から指導されることが多々ありストレスがよく溜まります。こんな時のストレス解消法は、自衛隊時代の上司や先輩、同僚との飲み会です。現職の時に苦楽を共にした仲間がいてほんとうに良かったと、心の底から思っています。
 再就職に当たっては、援護担当者との情報交換が重要です。求職票と面談以外の情報を提供することで、援護担当者は退職者の希望や環境、就業の可能性をより的確に判断して、適切な就職先を見つけてくれます(私がそうでした)。
 再就職は自分個人の活動ですが、就職素人が失敗しないためには、積極的に援護組織に自ら足を運び、協力を得ることが大切です。目指せ!ベストチョイス!

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