防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   964号 (2017年10月1日発行)
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開設61周年目に起きた「深イイ話」
<空自・第1警戒群>
 開設61周年を迎えた空自第1警戒群(群司令・宮本裕徳1空佐)には、第2代群司令・谷口泰蔵氏(S32・3〜S34・8)が、陣頭指揮し、造成したB訓練場(通称:谷口グランド)がある。この訓練場を舞台とした基地が60年を超えても継承すべき出来事を紹介する。
 夏の日差しもきつくなり始めた7月上旬、総務班にある女性から一本の電話が鳴った。
 「今も谷口グランドは現存していますか?」「現存しているなら、息子と見に行きたい」という内容だった。確認すると、谷口元群司令のお孫様であった。
 お孫様は高校生の息子さんの夏休みにあわせて、千葉県から基地を見学したいということであり、8月9日に来て頂く運びとなった。
 当日の天候は晴れ、最高の条件の中、見学されたお孫さんによると、約22年前に祖母(谷口元群司令の奥様)と訪問したことがあるということで、当時と変わらない情景に感慨深げであり、次のようなことを話された。
 「祖父は、勤務当時、終戦から10数年経ってはいたものの、敗戦の気風が漂う部隊と隊員の士気を鼓舞すること、過酷な僻山地で勤務する隊員の心身のリフレッシュ等を考えて、自ら隊員の先頭に立って、山林を切り開き、グランドを造成したと言っていました。当時は、今のように施設器材やチェーンソー等の工具も十分でなかったため、隊員さんは、ほぼ手仕事で造成したと聞いています。また、在駐していた米軍から「器材もないのに、日本人は何をやっているんだ?無茶なことやっている」等の冷ややかな目を向けられる中、祖父は『他者の目は気にするな』『胸を張れ』『やり遂げるぞ』とふんどし姿で作業する隊員を鼓舞したそうです。」と…
 元群司令の御子孫の来訪を受け、基地所在隊員一同、一家族の深い絆に感銘を受けるとともに諸先輩が作り上げた財産と基地開設から61年間守り続けた伝統を後世に繋げていくことの重要さを改めて、痛感したのであった。

操縦者リクルーター
<航空支援集団・飛行点検隊>
 7月30日、自衛隊埼玉地方協力本部計画の自衛官採用説明会に操縦幹部が参加した。飛行点検隊(司令・吉廣敏幸1空佐)からリクルーターとして派遣された樋田1空尉は、高校3年生等に対して操縦幹部のキャリアパス及び魅力などについて経験談を交えながら解りやすく説明。質疑応答も活発で、自衛隊に対する理解を深める事が出来た。一方、樋田1空尉は「自衛隊における人材確保の困難性を身をもって体験した1日だった」と振り返っている。
 飛行点検隊は、積極的に募集活動に協力しており、その成果から28年度は自主募集に関する空幕長表彰を受けている。引き続き、募集活動のみならず自主募集についても積極的に支援・協力をし、人材確保に少しでも寄与していきたいとしている。

目黒さんま祭に参加
<目黒基地>
 今年も「目黒のさんま祭(第41回目黒区民まつり)」が9月17日目黒区の田道広場公園で盛大に開催された。目黒基地から「さんま焼き隊」等に隊員22名が派遣され、気仙沼から来られた「目黒のさんま祭り・気仙沼実行委員会」の方々と一緒にさんまを焼き、すり身汁を作った。
 気仙沼産のさんまは今年は不漁であったため6000匹の焼きさんまは始めて冷凍を使用。1000杯のさんますり身汁は生さんまで作り、両方とも完売した。
 台風が接近する天候の中、午前4時からさんまを求めて並ぶ姿も見られる人気のお祭り。開会式には気仙沼出身の小野寺五典防衛大臣も出席し、「ここ目黒区には防衛省自衛隊の基地があり、その中から今年もこのさんま祭にお手伝いとして数名が参加しております」などとの言葉があった。
 目黒基地は今後も、秋は「目黒のさんま祭」、春は「桜まつり」を所在4校(陸・海・空・統)の先任を中心に支援していきたい、としている。
【参加者】
・空幹校 副校長田中幹士空将補
・空幹校 准曹士先任福丸俊一准空尉以下6名
・陸幹校 最先任上級曹長嵐田祐敦准陸尉以下8名
・海幹校 先任伍長才田竜二海曹長以下4名
・統幕校 河口昌三先任空曹長以下3名

防衛医科大学校に託児所が開設
 10月1日に防衛医科大学校内に、防衛省内で8番目となる託児施設が開設します。
 防衛医科大学校にとって、子育て中の職員が安心して任務に従事出来るようにすることは、職員の職業生活と家庭生活との両立支援となり、併せて女性がその多くを占める看護師の処遇改善にも繋がる重要な施策です。その中でも看護師は、防衛医大に置かれる防衛医科大学校病院にとって、診察にあたる医師と患者をつなぎ、更に病院と患者の家族をつなぐ架け橋として、医大病院の運営上、なくてはならぬ存在です。
 防衛医科大学校病院の場合、防衛医科大学校看護学科を卒業し、看護師として勤務を開始する時期が結婚・出産についても適齢期を迎える20代前半であることから、当該卒業生又は看護師採用者が出産・育児等を迎えても、安心して継続勤務が出来る環境を整える必要があるため、検討を重ねこの度開設に至りました。
【施設概要】
・開設日:
  平成29年10月1日
・開設場所‥防衛医科大学校所沢宿舎F棟1階(バルコニーも含め、約90平方メートル)
埼玉県所沢市並木3丁目2番地 防衛医科大学校所沢宿舎地域
・保育対象:
  0歳児から2歳児
・保育人数:9名
・運営方法:防衛省共済組合防衛医科大学校支部が「社会福祉法人桑の実会」(本部・埼玉県所沢市)に委託
・月額保育料金:保育料(0歳児…65000円、1・2歳児…60000円)、他給食費・おやつ代・ミルク代・延長保育料等の諸経費
・保育時間(予定):7時30分〜18時30分(延長保育は、21時まで可能)
・その他、防衛省共済組合の育児補助金制度が利用可能。

自衛隊中央病院

健康強化対策集合訓練

 自衛隊中央病院は、9月5日に保健管理センターにおいて、健康強化対策集合訓練の開始式を実施した。健康強化対策集合訓練とは、東部方面隊健康強化施策において部隊長より指定されたメタボリックシンドローム指定隊員の健康状態の改善を図り、その成功体験を普及することで部隊のメディカルレディネスを高める目的で、本年より実施している教育入院プログラムである。
 プログラムの1日目は、東部方面隊計画による訓練の位置付けとして、空腹時の採血を実施、東方医務官室の説明後、禁煙教育受講、医師による生活習慣病についての教育後、採血結果について担当医師より説明がされる。
 2日目からは、自衛隊中央病院での10日間の教育入院に移行、糖負荷試験、心電図、腹部CT等の検査を受け、本人が自分の健康状態を把握するとともにエビデンスに基づき生活指導を実施する。また自衛隊体育学校の協力による運動療法教育、栄養士による栄養指導等、隊員の健康状態に合わせた個別指導を行い、退院後の自己管理計画を自らが立てられるようなプログラムとしている。
 健康強化対策集合訓練を継続して、一人でも多くのメタボリックシンドローム指定隊員がこの健康プログラムに参加することで、東部方面隊管内の生活習慣病予防に貢献でき、人的戦闘力の維持・増進につながればと考える。
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第1種感染症指定医療機関化
 東京都には都立駒込病院、都立墨東病院、荏原病院の3つの第1種感染症指定病院があったが、今年4月に自衛隊中央病院(病院長・千先康二)が4番目の指定医療機関として加わり、東京都の感染症対策の一端を担うこととなった。
 指定前まで、中央病院は年に数回にわたり1類感染症患者受入訓練を行い、マニュアルを逐次深化させつつ、職員及び組織の感染症への対応能力を充実させ、行政との連携強化を図ってきた。
 今年度は指定後初の訓練として、8月24日に東京都の協力の下、世田谷区が担任となり感染症地域医療体制ブロック協議会の位置付けで、平成29年度自衛隊中央病院1類感染症患者受入訓練を実施した。訓練では、世田谷区とのエボラ出血熱疑似症患者受入調整、臨時の院内感染対策委員会の開催、患者の収容と初期対応、世田谷保健所との行政検体の受け渡し等、一連の行動をシナリオに沿って演練を行った。訓練には大臣官房衛生監、東京都福祉保健局感染症対策課長をはじめ、各行政職員、各第1種感染症指定医療機関の職員等約60名が訓練を研修した。訓練後の意見交換会では活発な意見交換が行われ、感染症に対する関心・危機感を感じるものとなり、中央病院の感染症対応能力、各機関との連携強化を図ることができた。
 中央病院は自衛隊の任務に医療の面から貢献し、いつ発生するか予想ができず大きな脅威となる自然災害や感染症から国民・都民をしっかりと守れるよう、「活気に満ち信頼される病院の創造」を重視して更に医療体制の充実を図れるよう注力する。

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