防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   952号 (2017年4月1日発行)
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航空自衛隊


航空救難団空輸戦技競技会
4年ぶりに開催、那覇ヘリ空輸隊が2連覇
 2月28日〜3月3日の間、航空救難団(司令・小川能道空将補=入間)は空輸戦技競技会を開催した。これは、空輸能力を競技会形式で評価し、基本的な事項について再確認するとともに、選手に若年隊員を起用することで部隊の運用能力の底上げを目的としており、平成25年に開催されて以来4年振りの実施となった。
 参加は三沢ヘリコプター空輸隊・入間ヘリコプター空輸隊・春日ヘリコプター空輸隊・那覇へリコプター空輸隊の4チーム。選手は各チーム9名ずつで各特技(操縦士2名、機上整備員1名、空中輸送員2名、隊長、整備幹部1名、回転翼整備員2名)の若年隊員という条件付き。また、選手の他にも、企画・運営・判定等に約30名の人員が係っており、約70名での競技会となった。
 競技は、機外懸吊・救難ホイストによる貨物吊り上げ吊り下げ・貨物の搭載しゃ下・各種整備点検要領などが行われ、優勝部隊は、那覇ヘリコプター空輸隊(隊長・齊藤耕一2空佐)で過去6回行った競技会のうち3回目の優勝、しかも2連覇という快挙だった。優勝した齊藤隊長は「今回で7回目の空輸戦技競技会であったが、前回に続き優勝という結果を得ることができ、大変光栄です。この結果に満足することなく、部隊の任務遂行能力の向上及び隊員の士気高揚を図り、更なる部隊の精強化につなげたいと思う」と喜びを表した。
 2日目、飛行競技の初めの競技は救難ホイストによる30kgの貨物の吊り上げ及び吊り下げ。操縦士と空中輸送員の息を合わせないと貨物を吊り上げることも指定された場所に下ろす事も出来ない。風が強いとホイストをうまく貨物の近くに下ろすのは至難の技だろう。次は、機内に搭載できない水が満タンに入っている2tの水タンクを輸送する競技。中央にあるハッチを開けて180cmの棒で貨物のスリングを引き上げフックに掛けて貨物を吊架する。そのままホバリング操作競技、貨物を吊架しながらCH-47の向きを変えていく。最後に定点接地競技。小さな枠に、後輪から下ろしてく。強いダウンウォシュの中、あんな小さな定点に下りるなんて魔法のようだ。搭乗員全員の心が一つになっていないと各種競技はできない。技術だけでなく精神も練成しないといけないのではないか…。飛行競技の評価は、実施手順・機長のクルー指揮・ホバリングの安定性・着陸及び接地精度・誘導要領・迅速性・安全性などを持って行った。
 この日は、天気はよかったが5度という寒さ。競技中はずっとダウンウォッシュの側で判定員等は、寒さとも戦いながら見守っていた。輸送員としての心構えである「定時・定点・必達」は、このようにして出来ていくのだと思った。

空の音楽祭を開催
〈木更津分屯基地〉
 木更津分屯基地(司令・伊藤敬信1空佐)は、2月4日及び5日の両日、航空中央音楽隊を招いて、千葉県袖ケ浦市自衛隊協力会との共催、千葉県袖ケ浦市及び「かずさFM83・4MHz」との協賛を得て、毎年恒例の「空の音楽祭」を開催した。
 空の音楽祭は、微力ながら地域の音楽教育に貢献ができればと考え、平成14年4月24日、中部航空音楽隊の支援を受けて、第1回木更津基地音楽祭「ミュージック・フェスティバル2002」と題して産声を上げ、翌年からは空音隊の支援を受けて、本年度で15回目を迎えた。
 本年度の特徴は、昨年度それまでの応募者の2倍ほどに達したこと、木更津分屯基地が基地開庁から60年目の節目であったところから空音隊の承諾を得て演奏会を2回できる運びとなった。
 第1部は、「シンフォニック・サウンド」と題して、和田信2空曹作曲「希望の空」を皮切りに幕を開け、ルロイ・アンダーソンの代表作「サンド・ペーパー・バレー」では、選抜された3名の空音隊員によるサンド・ぺーパーの競演により観客の笑いを誘い、一部最後は、ジョゼッペ・ベルディーの歌劇「運命の力」で締め、吹奏楽の美しく荘厳な響きを届けた。また、第2部は、「ポップス・イン・ブラス」と題してデューク・エリントン楽団の大ヒット曲「スウィングしなけりゃ意味がない」で幕を開け、「ディズニー・クラッシック・レビュー」や、「美空ひばりメロディー」など…懐メロからジャズ映画音楽まで幅広いジャンルの曲を観客に届けた。
 2月5日は、平成21年度から新たな貢献の試みとして始めた中学及び高校生を対象とした楽器技術指導を実施した。
 本年度は高校生(千葉県立袖ヶ浦、木更津東高校及び私立志学館高等部生徒(95名))及び中学生(袖ヶ浦市立長浦、昭和及び平川中学校生徒(45名))計140名に対して空音隊隊員による楽器実技指導を9時から11時までの間実施した。本指導においては、パート別に中高生の技量に応じて分け、楽器の扱い方、口や指の使い方、基本教範による演奏の練習要領等について短い時間ではあったが、各空音隊隊員が熱く指導をした。各学校の生徒は、それらの指導を十分に吸収し、今後の練習に活かすことだろう。
 2日間の演奏会を通じて約1,200名が足を運び、盛会のうちに「空の音楽祭」を終えることができた。

部外講話を聴講
〈飛行点検隊〉
 3月9日、入間基地に所在する飛行点検隊(隊司令・吉廣敏幸1空佐)は、飛行点検隊隊員約70名基地所在部隊隊員約50名の計約120名を前に、国際情勢や安全保障に関わる部外講話を実施した。
 本講話は、個人訓練の一環として、自衛隊員としての防衛教養涵養のため、安全保障関連の専門家に講話を依頼し実施したもの。
 講師として訪れた東京工科大学教養学環の落合浩太郎准教授は、講話に先立ち吉廣隊司令と懇談し、「防衛省・自衛隊で唯一このような陸海空自衛隊すべての航空保安無線施設の飛行点検に係る任務を有する飛行点検隊の存在と任務の意義」に驚きと感銘の念を持ったという。
 講話のテーマは、「中朝露の展望」。
 シナリオ分析による3カ国の現情勢や今後の展望、日本との関係などについて様々な視点から、情熱的に解りやすく講話を行った。
 落合准教授は、テレビやラジオにも多く出演しており、陸海空の自衛隊においても20ヵ所以上講演をしているためか、非常に解りやすい講演で聴講した隊員にも「今後、新聞やテレビを見るときの参考になった」などと大好評だった。
 講演を企画した飛行点検隊も「日本を取り巻く国際情勢等について理解を深める事ができ、個人訓練の一環として、部外講師による講話で防衛教養の知識・能力の向上という目的は十分に果たせた」と手応えを感じていた。

復興イベントに参加
〈習志野分屯基地〉
 空自習志野分屯基地(司令・原田理2空佐)は3月12日、東日本大震災復興イベント「花いっぱいIN習志野台」(主催・ともにがんばろう東日本実行委員会)に12人の隊員を参加させた。会場には、1万人を超える来場者が訪れた。
 イベントは今回で6回目となり、震災を風化させないために継続的な復興支援を呼びかけるのが目的。地元の中学生や高校生による吹奏楽の演奏会や、よしもと芸人によるトークショーのほか、船橋東警察や船橋消防団らによる防犯指導、AED装置の実演なども行われた。
 習志野分基はメーンステージ前にブースを設け、震災後の復興支援活動写真のパネル展示や空自広報映像の紹介のほか、ミニ制服やブルーインパルスパイロットのヘルメットの試着も好評を博し、地域住民に空自をアピールした。
 近隣から訪れた30代の男性は「震災などの災害派遣はもちろん、国際情勢が危うい中、一生懸命働いている自衛官に感謝している」と話した。近隣の女子中学生は「女性でもパイロットは目指せますか」と質問していた。
 習志野分基広報担当者は「地域の振興、復興支援に寄与できたほか、航空自衛隊、習志野分屯基地のイメージアップも図れた。航空自衛隊に興味をもってくれる人も多く、今後もこういったイベントを通して、地元に密着した防衛基盤の拡充にも貢献していく」としている。

新たな一歩 卒業式
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防衛医科大学校
 防衛医科大学校医学科第38期学生の卒業式典が3月4日、稲田防衛大臣臨席のもと同校で盛大に挙行され、79名の卒業生が医官への第一歩を踏み出した。
 学校長が卒業生一人ひとりに卒業証書を手渡し、学位記が授与された後、卒業生は「医師の誓い」を読み上げ、医師としての決意を述べた。
 稲田防衛大臣は「良き医師は病気を治療し、最良の医師は病気を持つ患者を治療する」とのカナダの医学者ウィリアム・オスラーの言葉を紹介し、病を治すだけでなく患者に寄り添う医師であってほしいと訓示した。
 また、三浦学校長は式辞で、「今後は国際的な視野のもとに積極的に研鑽を積み、さらに医学のみならず、より広い学問を身につけ失敗を恐れず多くを経験する努力をいとわないようにしてほしい」とはなむけの言葉を送った。任命・宣誓式では、陸上・海上・航空幕僚長から任命を受け、防衛大臣に宣誓を行い、医官への第一歩を踏み出した。
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高等工科学校
 3月18日に陸上自衛隊高等工科学校(学校長・滝澤博文陸将補)は、第60期生徒(306名)の卒業式を盛大に挙行した。
 式に先立ち、岡部俊哉陸上幕僚長は、第2学年生徒約100名により編成された儀仗隊及び吹奏楽部により編成された音楽隊による栄誉礼を受けた。
 式は、小泉進次郎衆議院議員、西原秀夫神奈川県立横浜修悠館高等学校長をはじめとする部内外多数の御来賓が臨席するとともに、この晴れの日を心待ちにしていた卒業生の家族約860名が出席した。学校長が生徒一人一人に卒業証書を授与した後、「失敗や挫折にくじることなく『夢と希望』の実現に向けて、人生における目標を高く掲げ日々邁進してもらいたい」及び「同期生同士が互いを支え合い、切磋琢磨する存在として、同期の絆を大切にしてもらいたい」と餞(はなむけ)の言葉を贈った。続いて陸上幕僚長は「君達自身の『若さ』という強みを活かし、失敗を恐れず謙虚に、そして胸を張って、自ら進んで困難に立ち向かっていってもらいたい」及び「部隊において技術的識能を有する陸曹の中核として、今持っている素地に更なる磨きをかけ、輝かせることを期待している」と訓示した。
 その後、在校生代表加藤大樹生徒による送辞、卒業生代表爲田優介生徒による答辞、「仰げば尊し」斉唱、校歌斉唱と続いた。特に答辞では生徒のみならず保護者及び御来賓が感極まり涙を流す場面も見られ、本校で過ごした3年間が充実したものであったことを印象付けた。引き続き、学校グラウンドにおいて、在校生による送別パレード、ドリル演技及び本校出身者の操縦による祝賀飛行が披露され、晴れの門出に華を添えた。
 午餐会後、家族、在校生及び職員が見送る中、卒業生306名は別れの寂しさと、新たなスタートへの期待を胸に母校を巣立っていった。
 なお、一部の生徒は防衛大学校、海上及び航空自衛隊航空学生に進むが、卒業生の殆どの者が4月1日付で陸士長に任官して、全国5ヶ所にある陸曹教育隊で生徒陸曹候補生前期課程へと進み、陸上自衛官として自衛官生活の第一歩を踏み出すことになる。

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