防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   929号 (2016年4月15日発行)
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雪月花
 人類対コンピュータの対決とか囲碁の革命とか、先月ソウルで行われた人工知能「アルフア碁」と李世 九段の対局は世界が注目した。結果は4勝1敗で「アルフア碁」が勝った。この成り行きを日本の新聞各紙は1面で報じる状況だった。韓国の新聞・テレビも連日トップで流し街の大型ビジョンにも生中継で映す。これはサッカーのワールドカップと同等の扱いだったらしい。人工頭脳(AI)がトッププロに勝つのはまだまだ10年先だろうと多くの専門家はみていたようだからショックは大きかった。敗れた李九段は世界でもトップクラスに君臨する棋士だが彼も「これまでの囲碁格言など正しいと思っていたものを考え直すきっかけになりました」と対局後に語っていた。日本の井山裕太六冠も「大きな衝撃です、着手にも違和感はなく人間の意志に近い、今後ソフトの戦いを参考にすることもあり得るし自分でも体験してみたい。」アルフア碁は棋譜を10万局入力し3千万回もの自己対局で研究を重ねる「深層学習(デイープラーニング)」を続けたそうだ、そして1日に3万局打ち、一回の対局に電気代が3万円かかるという噂もある。人工頭脳が人間を駆遂するというのは映画の話しかと思っていたが意外に人工頭脳に支配される日は近いのかもしれない。とは言え勝負事は相手の息づかいが聞こえる距離で勝った喜びと負けた悔しさがあってのもの、無機質の機械相手とやっても楽しいとは思えない。「人間は人間同士笊碁打つ」朝日川柳

パワー・ハラスメント防止施策
4月1日から本格的に運用開始

約8900名の相談員とホットライン設置で体制強化

 防衛省は昨年9月に策定した「パワー・ハラスメントの防止等に関する指針」に基づく施策を、4月1日から本格的に開始した。
 防衛省では平成26年9月に、自衛隊内でいじめ等に関する事案が生起していることを重要視し、防衛副大臣を委員長とし、事務次官、人事教育局長・各幕僚長で構成される検討委員会を設置した。これまで隊員が能力を十分に発揮できるような健全な職場環境を整えるため省を挙げて取組んできている。
 運用を目前にした3月24日の第4回検討委員会で、委員長の若宮健嗣副大臣は「省内の各機関において、隊員への教育の実施、相談体制の整備等をしっかりと行い、パワー・ハラスメントの防止策を強力に推進して頂きたい」と当施策への意気込みを語った。
 パワハラ防止策のひとつとして、相談員の設置がある。現場の各機関の長等が、相談員(陸自約5000名、海自約1550名、空自約1900名等省全体で約8900名)を指定し、通報及び相談体制を強化する。それら監督者及び相談員に対しては、部外講師による集合教育を実施し、様々な案件に対応できるよう訓練する。今年度は9月から翌3月までの間に全国10ヵ所程度で実施する予定だ。
 また、内局及び陸・海・空幕僚監部に「パワー・ハラスメントホットライン」を設置し、当事者や現場の相談員から電話及びメールでの問い合わせを受け付ける。
 防衛省のHP上では、「パワー・ハラスメント事例集」を開示し、誰でも閲覧し参考にすることができる。「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「過大な要求」等行為別に分類された23の具体的な事例(判例を参照にしたものも含む)が掲載されている。今後も内容が追加・更新される予定だ。隊内で求められる「厳しい指導」と、パワハラにあたる「行き過ぎた指導」の線引きに悩んでいる隊員は、まず一度覗いてみてほしい。
 一人で我慢しているだけでは問題は解決しない。パワハラに対する行動をためらわずにまずは相談員に相談してほしい。その一歩が被害の深刻化を防ぎ、他に被害者をつくらせない、ひいては健全な職場環境の確保へと繋がるはずだ。


〜中央即応集団〜
魁の風 Central Readiness Force
南スーダン派遣施設隊(第9次)

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さくらプロジェクト開講式

 3月4日、南スーダンの首都ジュバ市にあるジュバ職業訓練センター(じ後、MTCとする)において、再建援助等支援の一環である「さくらプロジェクト」の開講式を実施した。
 本プロジェクトは、南スーダン国民の職業能力の向上を図り、民生の安定に寄与するため、MTC学生に対して技能実習支援(車両整備、電機整備、コンクリート施工、ITネットワーク技術及び裁縫の5課目)を行うもので、平成27年5月、派遣施設隊第7次要員から始まり、今回で3回目の開講となる。受け入れ人数は、第2回の110名から130名に拡大し、これまでの教訓事項を反映し、器材への英語表記、配布資料の充実及び通訳要員を増員した。これまでに100名以上の卒業生を輩出しており、現在、わが国の無償資金供与によるジュバ市内の橋(フリーダムブリッジ)の建設に卒業生の一部が従事している状況である。
 開講式は、学生による申告から始まり、相園隊長による訓示、来賓祝辞、記念撮影が実施され、学生達は、終始受講意欲に満ち溢れており、さくらプロジェクトへの期待の高さがうかがわれた。
 訓示において相園隊長は、「資質の涵養」、「技術の修得」、「安全管理」を要望するとともに、「今回の教育において、何か1つでも掴み取れるよう貪欲に臨むことを期待する」と激励し、さくらプロジェクトは開始された。
 さくらプロジェクトは、翌週3月7日〜3月31日までの間、派遣施設隊宿営地及びMTCにおいて実施され、学生達は、それぞれの実習課目に基づき技能実習を受講する。

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J‐ConDay開催

 3月19日、南スーダン共和国の首都ジュバ市にある国連トンピン地区日本隊宿営地において、ジャパン・コンティンジェント・デイ(以下、J‐ConDay)を開催した。
 J‐ConDayは、「夏祭り」をテーマに日本の文化を積極的に発信するとともに、UNMISS文民組織、軍事部門等との懇親を深め、日本に対する理解の醸成を図る目的で、SRSG(UNMISS国連事務総長特別代表 エレン・マーガレット・ロイ女史)をはじめ、在南スーダン日本大使、DSRSG(UNMISS国連事務総長副特別代表)、FC(UNMISS軍事部門司令官)以下UNMISS軍事部門内各国部隊指揮官、日本大使館及びJICA(国際協力機構)職員の方々等、約40名の来賓を招き、夕食会並びに文化紹介を実施した。
 夕食会は、在南スーダン日本大使及び主賓(SRSG)の挨拶の後、隊長・相園1陸佐の乾杯で始まり、参加者は法被や浴衣姿の隊員が振る舞うそうめん、かき揚げ、筑前煮等の日本食に舌鼓をうった。
 文化紹介は、迫力ある太鼓演奏(10施設桃陣太鼓)、勇壮ななかにもコミカルな演出による柔道及び日本拳法の演武を行った。最後に副隊長・坂口2陸佐率いる盆踊りチームによる「阿波踊り」が披露されると、会場の盛り上がりはピークに達し、会場の隊員が踊りに加わるなか、SRSG以下来賓も笑顔で踊りの輪に入り、会場が一体となって、日本の「夏祭り」を楽しむひとときは、大盛況のうちに幕をおろした。

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活動100日目を迎えて

 派遣施設隊(隊長・相園和宏1陸佐)は、3月22日、活動開始(平成27年12月14日、指揮転移)より100日目を迎えた。
 活動100日に際し、相園隊長は隊朝礼で訓示し、「ここまで無事に任務を遂行できているのは、諸官らが要望事項である「仁」「融和・団結」のもと、安全管理に留意し活動してくれている賜物である」と隊員のこれまでの労を労うとともに、「常に初心を忘れることなく、最終的に任務を完遂し、全員が無事に帰国できるよう気を引き締めていこう」と述べ、派遣施設隊は更なる任務への邁進を誓った。

▽訂正とお詫び
 前号928号「魁の風」の記事内で誤りがありました。見出し「南スーダン」は、正しくは「ジブチ」です。訂正をするとともに関係者の方々にお詫び申し上げます。

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