防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   914号 (2015年9月1日発行)
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全国で活躍する海上自衛官
各基地・夏のイベント

離着岸訓練兼清掃活動
〈呉警備隊〉
 呉警備隊(司令・大河内哲朗1海佐)は7月13日、広島県呉市倉橋町の桂浜海水浴場で防災基礎訓練の一環として運貨船YL-17等による離着岸訓練を実施するとともに同海水浴場の清掃活動を実施した。清掃活動は倉橋町民との相互理解の深化を目的に、毎年同海水浴場の海開きの前に実施している。本部を含め、警備隊の各隊から派出された隊員は、水中処分母船四号に乗船し桂浜沖に進出、YL-17号に移乗し、着岸した同船から上陸した。
 当日は熱帯低気圧の影響もあり、時々雨がぱらつき、風も多少強かったが、気温は25度程であり、作業には適した環境だった。上陸した約30名の隊員は、ボランティアの町民や地元小学校と協力して、約1時間半にわたり海岸の雑草や漂着したゴミを回収した。清掃作業を終了した700mほどの海岸は、着岸直後とは見違えるほど綺麗になっていて、参加した隊員は、町民の方々と達成感を共有するとともに来る海水浴シーズンの到来に思いをはせた。
 清掃終了後、町民から労いの言葉があり、また離岸の際にお互いにエールを交し、晴れやかな気分で海水浴場を後にすると同時に、来年以降の継続実施に向け決意を新たにした。

生活体験
〈小月教育航空群〉
 小月教育航空群(司令・春花和広1海佐)は7月29日から31日の2泊3日の日程で中、高校生を対象とした「青少年隊内生活体験」を実施した。今年度は島根地本10名、広島地本13名、山口地本9名、福岡地本11名、大分地本7名の中、高校生計50名が参加した。
 気温35℃を超える猛暑の中、各隊員は参加者の熱中症予防に注意を払いながら体験者に起床時の総員起し、課業整列から国旗掲揚見学、基本教練の習得に至るまで自衛隊生活に必要な知識を身をもって体験して貰った。今年度は日常生活に役立つ結索をはじめAED蘇生法や消防車での放水訓練等も体験メニューの一つとした。航空学生のファンシードリルの練習や管制塔での管制員とパイロットとの交信の様子、第201教育航空隊教官によるT-5練習機の曲技飛行訓練等を見学し感動した様子で「自衛隊に入隊したい」、「航空学生を目指したい」という声も上がった。特に参加者が楽しみにしていたT-5体験搭乗は雲一つない天候であり航空機のエンジン音や上空から見下ろす地形は「飛んでいることを実感できて街や海がとても綺麗でした」、「上昇降下の時、今まで体験したことのない重みを感じました」と興奮冷めやまぬ様子で仲良くなった友達同士ではしゃいでいた。
 2泊3日の隊内生活は自衛隊の事を学ぶ貴重な体験となり、「今後の進路やこれからの学校生活に活かしたい」という声が多くの参加者から聞かれた。最後の食事はカレーであり、食欲旺盛な中高生は満足気に自衛隊カレーを堪能して、群司令に対し基本教練で学んだ節度ある態度で元気よく離隊挨拶し、群司令からの激励と隊員総員が見送る中、小月基地を後にした。

サマーフェスタ2015
〈舞鶴地方隊〉
 舞鶴地方隊は7月26日、夏の恒例イベント「サマーフェスタ2015」を北吸岸壁等で開催した。台風12号の影響も心配されたが、当日は35℃を超える夏空の下、例年の2倍を超える約1万名の来場者が会場に訪れた。京都縦貫道が同イベントの直前に全線開通したこともあり、今年は京阪神地区からの来場者が目立ち、中には東京から参加した家族連れもあった。
 今年のサマーフェスタの主なイベントは、護衛艦の一般公開、舞鶴音楽隊演奏、タグボートやリブ(小型高速艇)による港内巡りのほか陸自及び空自の装備展示、サマーフェスタの開催を祝す「満艦飾」も行われた。また、会場内では舞鶴青年会議所が主催する「舞鶴総おどり」も開催され、48組の参加団体が護衛艦や補給艦をバックにそれぞれダンスを披露し、イベントに華を添えた。
 毎月第1日曜日と5月27日の旧海軍記念日に一般公開している「東郷邸」は8月8日に全国公開される「日本の一番長い日」の映画ロケ地(鈴木貫太郎邸)として使われたこともあり、この日も多くの見学者が訪れ、静寂と緑に包まれた東郷邸で歴史の流れを感じていた。

少年野球大会
〈沖縄基地隊〉
 沖縄基地隊(司令・乾悦久1海佐)は7月18日、グラウンド2面と室内プールを一般開放し、夏の恒例行事である「サマーフェスタ(少年野球大会)」を執り行った。当日は、ぬけるような青空の下、388名の来場者が集まり、会場は子供たちの元気な声で満ち溢れていた。地元少年野球8チームを招き、試合は4チームずつ2つのブロックに分かれ、トーナメント方式で実施された。それぞれのグラウンドで4チームが激しい攻防戦を繰り広げる中、熱の入った声援が終始飛び交うとともに、太鼓を使って応援するチームもあり、応援合戦も大いに盛り上がった。
 Aブロックでは、うるま市南原の「南原ドラゴンズ」が、Bブロックでは、うるま市中原の「宮里マックス」が優勝し、豪華商品(?)と記念品が贈呈された。
 試合中、在日米海軍の移動販売車ではハンバーガー、ホットドッグ及びジュースが、委託食堂「うりずん」では、弁当、カレーライス及びアイスクリームが販売された。特に、基地開放の情報を入手した地元住民がハンバーガーとホットドッグをわざわざ買いに訪れるほどの人気振りであり、時折、長蛇の列ができるほどの賑わいをみせた。試合後は多くの少年達がユニホーム姿から水着姿へと変身し、灼熱の太陽と熱戦を繰り広げた身体の疲労感をプールで和らげながら、大いに歓声を上げて喜んでいる姿が見受けられ、終始、活気に満ちた1日であった。

国際情勢・防衛講演会
今春竣工「安渡館」で
〈大湊地方隊〉
 大湊地方隊(総監・坂田竜三海将)は7月22日、むつ市観光交流センター「北の防人大湊 安渡館」において、国際情勢・防衛講演会を実施した。安渡館は本年4月24日に竣工し、旧海軍大湊要港部庁舎を彷彿とさせる大湊の新たな観光・交流施設となっている。
 本講演会は市民に我が国の国際情勢や外交・防衛政策について理解を深めてもらうことを目的として、むつ市役所の協力を得て外務省との共催により実施したものである。
 講演会第1部は、外務省中東アフリカ局中東1課地域調整官・三上陽一氏が「中東情勢黒ト国の中東政策の視点から」と題して国際情勢講演を、第2部は海上自衛隊幹部学校主任研究開発官・中村進1海佐が「中国の海洋進出を巡る諸問題」と題して防衛講演を実施した。当日は部内外から約110名が来場し、「テレビ等では伝わらない臨場感あるお話を伺い、米国の政策や我が国を取り巻く安全保障環境がとても良く理解できた」との声が多く聞かれた。
 また、講演会に引き続く意見交換会においては、聴講者と講師が意見を積極的に交わすなど、交流を深める良い機会となった。

久松五勇士記念演奏
〈東京音楽隊〉

 7月15日、「久松五勇士会記念公園期成会創立110周年記念行事」の一環として沖縄県宮古島市・マティダ市民劇場で海自東京音楽隊記念演奏会が実施された。
 「久松五勇士」とは明治38年5月24日、沖縄・宮古島の中間地点でロシアのバルチック艦隊を発見、宮古島から通信施設のある八重山の伊原間までの約120q海上を数mのサバニ(くり舟)を漕ぎ本土に打電した5人の漁師。5人の勇気ある行動は昭和2年の中等国語に記載、昭和9年にはラジオと新聞で全国に報道され、昭和10年には数々の表彰を受け5人の乗ったサバニは海軍省献納とともに広く世間の知るところとなった。
 5人の偉業を称えて設立された「久松五勇士会」は80周年の昭和60年には当時の航跡を再現、85周年の平成2年には今回同様に東京音楽隊の演奏会を、100周年の平成17年には五勇士競漕等の事業を催してきた。
 今回の110周年記念行事ではサバニを修復し航跡の再現を行い、最後の締め括りとして東京音楽隊による記念演奏が行われた。演奏会では下地敏彦宮古島市長、池田徳広佐世保地方総監、畠野俊一第5航空群司令が来賓として招かれ、約900名の来場者とともに演奏会を堪能した。オープニングでは第5航空群エイサー部(部長・五十嵐裕2海曹)による演舞が盛り上げた。続いて粟国恒弘期成会会長が「本事業は恒久の平和を基調に、先人の偉大な功績の再認識を行うとともに郷土の誇りとして子々孫々まで語り継ぐこと、また、ひたむきな精神と崇高な行動を青少年が受け継ぎ郷土の更なる発展に寄与して頂きたい」と挨拶した。
 第1部では「日本海海戦紀念行進曲」、「海のさきもり」、「琉球幻想曲」、「祈り」、「群青」が演奏され、「琉球幻想曲」では沖縄県民謡「安里屋ユンタ」をモチーフにした太田紗和子2海曹によるピアノ独奏が幻想的な音色で観客を魅了していた。第2部では「宇宙戦艦ヤマト」、「上を向いて歩こう」、「涙そうそう」などヒット曲が演奏された。中でも「涙そうそう」は海自の歌姫・三宅由佳莉3海曹の美しい歌声が会場に響き渡り盛り上がりは最高潮となった。アンコールでは「唐船ドーイ」、「軍艦マーチ」の2曲を演奏し、会場は割れんばかりの拍手の中、惜しまれつつその幕を閉じた。なお、東京音楽隊先任伍長・佐々木太海曹長、宮越総己海曹長、牟田春雄1海曹の3名が25年前の演奏会でも演奏していたのはとても感慨深いものであった。

(この面、各部隊長名等は実施当時)


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