防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   890号 (2014年9月1日発行)
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大臣と一緒に体験喫食
海自カレーを満喫
市ヶ谷台探検ツアー

 8月6日、7日の2日間、各中央省庁が連携して開催する「子ども霞が関見学デー」の一環として「ピクルス王子とパセリちゃんの市ヶ谷台探検ツアー」が防衛省で実施された。午前9時半の受付開始から多くの小中学生と引率者が訪れ、両日で184人が参加した。
 広報用DVD視聴と海自の手旗信号体験の後、陸自ヘリUH―1H見学が行われウズウズしていた子供たちが説明後一斉にヘリに群がると機内は即定員オーバーになった。横浜から来た小学校3年生は別行動中の母親から渡されたカメラを手に「ちゃんと撮ってくるように言われた。うまく撮れてるかなぁ」と笑顔で話してくれた。子供たち同様に親たちもこのツアーを楽しみにしていたようだ。
 その後の小野寺大臣との懇談では、子供たちから「星(階級章)は最高で何個あるの?」という素朴な疑問や「相手から攻撃されそうな時でも日本は攻撃できますか?」「日米安保条約が破棄されたら日本は大丈夫ですか?」等鋭い質問が投げかけられた。さすがの大臣も「厳しい質問だねぇ」と感心した様子でその都度わかり易く丁寧に回答した。
 大臣も同席した幹部食堂での体験喫食では、4月の「第2回護衛艦カレーグランプリinよこすか」で優勝した横須賀潜水艦部隊の「濃厚味わいカレー」が出された。冒頭大臣は「まだまだ美味しいものはたくさんあるので、これを機会に自衛隊に入ってもらいたい」と挨拶し、場を和ませた。くじびきで大臣と臨席した小中学生は、「野菜も食べなきゃだめだぞ」等と大臣から優しく声をかけられ、緊張も解けたようだった。今回は子供が食べやすいようにルーは甘めのものを使用した。「お母さんのカレーより美味しい」等と大好評で、大臣をはじめおかわりをする人が続出した。
 その後参加者は、広報展示室見学、304保安隊の特別儀仗訓練見学や隊員達との記念撮影等を楽しんだ。「地元の航空祭を見て興味を持った」という福島の親子。「内容が濃くて満足です。特に儀仗がかっこよかった」「女性隊員の身体がひきしまって羨ましい」という京都の親子など、夏休みという事もあり各地から集まった多くの参加者にとって、防衛省・自衛隊を身近に感じ、理解が深まったイベントとなった。


心理技官が部隊研修
航安隊

 空自航空安全管理隊(隊司令・橋本進空将補=立川)は5月8日~6月6日まで、教育研究部研究科の心理技官、飯野雄士防衛技官を第83航空隊第204飛行隊(那覇)での部隊研修に派遣した。今回の派遣は、戦闘機部隊の隊員の勤務状況などを体験すると同時に隊員たちとの交流を通じて戦闘機部隊勤務での隊員の心理などを観察・考察し、航空事故調査官要員として資質を深めることを目的に実施された。
 飯野技官は204飛行隊で若手パイロットと共に朝礼・終礼、飛行前後のブリーフィングに参加し、アラート勤務やモーボ勤務を体験、フライトシミュレーター訓練の見学と同時に体験も行った。そしてF―15戦闘機に2回、T―4練習機に1回の体験搭乗では、特にGによる身体への負荷の大きさやその状況下で状況認識を保ちながら適切な意思決定する困難さを実際に体験した。
 また83航空隊司令部や南西支援飛行班、整備補給群、第5高射群、那覇救難隊、那覇気象隊などで研修するとともに空曹士隊員と共に営内生活を送り、隊員の生活状況の把握に努め、交流を重ねた。
 研修を終えた飯野技官は「飛行運用の現場の部隊と関連する各部隊などが実施する業務の関連性を、より一層深い繋がりをもって理解することができた。日々のフライトで精強さを追求すると同時に飛行安全を確保しようと真摯に取り組む操縦者らの姿が最も印象深かった。研修で得た経験や知見を活かして航空事故防止に関する調査研究という自らの業務に尽力したい」との所見を明らかにした。


刊行40回目を迎え
26年度版防衛白書

 防衛省作成の平成26年度版「防衛白書」が8月5日、閣議で了承された。
 「わかりやすい白書」の追及を挙げ、写真や図表の充実、過去最多水準のコラム数、昨年に続く電子書籍やスマートフォン版の作成等により、一般の人が容易に理解できる白書とした。また今回で40回目の刊行を迎え、巻頭特集として創刊時(昭和45年)に防衛庁長官だった中曽根康弘元首相の寄稿が掲載されている。
 内容は基本的に26年6月下旬までの事象についてだが、7月1日に閣議決定された集団的自衛権の行使を容認した安全保障法制の整備のための基本方針についても記載されている。25年度版の3部構成から、新防衛大綱の記述体系を踏まえ「わが国を取り巻く安全保障環境」「わが国の安全保障・防衛政策」「わが国の防衛のための取組」「防衛力の能力発揮のための基盤」の4部構成となった。
 安全保障・防衛政策の分野では、安全保障法制の整備、国家安全保障会議の創設、新防衛大綱、新中期防など、新事象が多いのが特徴だ。25年12月に決定した新防衛大綱については防衛大綱の遍歴や新大綱策定の背景について、また基本的な考え方である「統合機動防衛力」の構築について、写真や図表をふんだんに使って説明されている。「統合機動防衛力」については、いわゆるグレーゾーンの長期化などわが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、状況に即応する十分な抑止力を維持・構築できなくなった22大綱の「動的防衛力」に代わるものであるとし、統合運用による適切な活動を機動的かつ持続的に実施していくことに加え、各種活動を下支えする防衛力の「質」および「量」を必要かつ十分に確保し、抑止力および対処力を高めていくことが必要などとしている。
 コラムについては初の英国空軍の隊員からの寄稿である「英空軍第3飛行隊と空自201飛行隊との姉妹飛行隊交流」や「様々な現場で活躍する女性自衛官」、「防衛医大医学教育部看護学科第1期生の抱負」等、各パートの理解をより深める内容が掲載されている。
 発行部数は初回出荷分が2万部を予定しており、前年度の1万8千部を既に上回る予定だ。


五輪代表目指し連日猛練習
女子ラグビー訓練
体育学校

 自衛隊体育学校(学校長・保坂一彦陸将補=朝霞)は8月1日、女子ラグビー基幹要員集合訓練を報道公開した。今年度から始まった同訓練は、女性自衛官の中から、ラグビー経験問わず、体力・気力に優れ(31歳以下 身長165p以上 50m走7秒4以内 立ち幅飛び2m10p以上 ※必須でなく基準値)16年リオデジャネイロ大会から正式種目の7人制女子ラグビーで五輪出場を目指す隊員を集め、体校が"出場全競技メダル獲得"を掲げる東京五輪をはじめ将来の日本代表を発掘・育成するのが目的だ。年度内に1回約3週間の訓練を計4回行う。2回目の今回は陸自9人、海自1人、空自2人の計12人が参加した。1日のメニューは朝2時間体力トレ、昼2時間ラグビートレ、夜1時半筋力トレ。公開は昼練習で、茹だる暑さの中、参加者は水分補給の僅かな時間を除き殆ど休みなくパスやタックル、スクラム、トライなどの練習をこなしていた。
 競技人口の少ない女子ラグビーだけにメンバー中、経験者は1人だが、大阪体育大陸上部出身者や元体校のレスリング特待生、現役サッカー選手などスポーツウーマンが集う。体校の国内有数の施設や人員をフル活用、伝統と高いレベルを誇る自衛隊男子ラグビーの優れた指導者を教官・助教に、鍛え上げているため、実力向上速度は目覚ましい。未知の競技、日々の成長、思いがけないチャンス。選手皆、笑顔絶えぬ前向きさが印象的だった。「人手が少ない中、送り出してくれた部隊に感謝」、「体力に自信がある隊員はぜひラグビーに挑戦を」など、同僚や後に続く後輩への思いも胸に、第一の目標は今秋実施予定の日本代表セレクションだ。参加レベルに達した選手を選抜し派遣する。唯一の経験者で代表相手にトライを決めたこともありながら入隊前はスポーツ経験無しの個性派、橋場麗奈3陸曹(8月1日付で東方衛生隊から体校スポーツ科学科に異動)をはじめ、代表入りを目指す彼女達の挑戦は続く。

▽今後は部外スカウトも
 来年度以降は体校常設チームも構想され、「全国の女性隊員から金の卵を」(和田伸一郎教官)と、部内で発掘を続ける一方、部外スカウトも視野に。女子ラグビーは企業の支援も薄く選手の受け皿となる。今年度の防衛白書も自衛隊の東京五輪に向けた取り組みとして「女子ラグビーの支援、育成」を紹介している。


「清水みなと祭り」支援
静岡地本

 8月2日、3日にわたり、静岡地方協力本部(本部長・佐藤一郎1空佐)は、「第67回清水みなと祭り」を支援した。支援は昭和30年から行われている。
 静岡県清水市の日の出埠頭では装備品の展示、体験航海、飛行展示等が行われ、時折小雨が降る中、県外からも多くの来場者が訪れた。
 板妻駐屯地第34普通科連隊は高機動車、軽装甲機動車、1/2tトラックや偵察用オートバイを展示。浜松基地高射教導群は発射機(ペトリオット)や最大24床のベッドを確保できる待機車等が展示された。来場者は普段目にする事がない装備品を前に「スピードはどのくらいでるの?」「寝心地はどうなの?」等、隊員たちに思い思いの質問を投げかけていた。
 今年の体験航海は海自の護衛艦「やまゆき」(艦長・後藤正寛2海佐)が登場。約2週間の応募期間で当選した両日各583人が、約1時間の航海を満喫した。艦内では武器操法展示や、制服やダイバー服等を着た隊員達による艦上ファッションショー、らっぱ演奏等が行われ、来場者を多いに楽しませた。「船は大きいけれど、中は思ったより狭くて、その中で活動している隊員は凄いと思った」と感心の声も。体験航海後「やまゆき」は一般公開され2日間で2615人もの人が見学をした。
 展示飛行は昨年に続き、空自の第11飛行教育団(司令・松尾洋介1空佐=静浜)所属T7の2機、第一航空団(司令・上田知元空将補=浜松)所属T4の2機がそれぞれ様々なフォーメーションを披露した。来場者は富士山を背景にして、上空150m、時速460`で「やまゆき」の上を通過する姿を収めようとカメラを空に向け、ベストショットを狙った。
 当日は、子供連れも多く見られた。隊員と接し、装備品に触れる子供たちの笑顔が印象的だった。夏休みの良い思い出と共に自衛隊への関心を持つ良い機会となっただろう。


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