防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   887号 (2014年7月15日発行)
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北の鎮め記念行事
2師団・旭川駐屯地
 6月15日、「第2師団創立64周年、旭川駐屯地開設62周年」の記念行事が道内を視察中の小野寺五典防衛大臣も臨席して旭川駐屯地で開催され、一般公開が初となる10 式戦車も参加して観閲行進や模擬戦闘訓練などが公開された。
 観閲式では隊員約1200人が並び、車両約160両が威風堂々と行進。師団長の市野保己陸将は隊員達に対し「武力集団としての原点に立ち返り、気持ちを新たに透徹した使命感、旺盛な責任感をもって訓練に励み、厳正な規律を保持し、諸先輩が築き上げた地域の皆様との信頼関係をより強固なものとして貰いたい」と式辞を述べた。
 小野寺防衛大臣は、師団の隊員たちが国際平和協力活動に参加していることを挙げながら「極寒の地としてもしられる旭川で様々な任務に懸命に取組んでいる隊員諸君の労を心から労いたい。今後とも、我が国の平和と独立を守る、国の安全を保つという崇高な任務と、重要性そして責任の重さを自覚し、北鎮師団の名にふさわしい、精強性を維持・向上させていただきたい」と激励した。
 アトラクションでは、装備品展示、体験試乗、音楽演奏、広報コーナや模擬売店が並びカレーライスや焼き鳥など露店は大勢の市民らでにぎわった。

「多様な環境」テーマ
国際防衛学セミナー
防衛大学校
 防衛大学校は、6月30日〜7月4日まで、第19回国際防衛学セミナーを開催した。同セミナーは、「防衛大学校における防衛学について、各国の士官学校等の代表者との発表・討議を通じて、防衛学の充実・発展を図るとともに、各国と我が国との安全保障に係る相互理解を促進し、相互啓発に寄与する」ことを目的として1996年から毎年実施している。今回は、『多様な環境下の任務を遂行する素地を与える士官候補生教育』をテーマに16カ国16名の参加を得て開催した。
 当初、マーチン・ヴァン・クレフェルト氏(イスラエル・ヘブライ大学名誉教授)の基調講演「The Training of Officers-Japan」を行い、その後、2コセッションに区分して、発表・討議を実施した。
 まず、サイバー攻撃が行われた場合に継続して任務を遂行するため、次いで、対テロ等厳しい状況下においてもさまざまな任務を遂行するため、士官候補生にどのような教育が必要かについて、各国の国情に応じた発表が実施されるととともに、活発な意見交換がなされ、今後の各国の士官候補生教育の充実に寄与することができた。

学生と企業参加者80名
地域情勢等研究の成果発表
空自幹部学校
 航空自衛隊幹部学校(学校長・尾上定正空将=目黒)は7月2、3の両日、地下指揮所で地域情勢等研究の合同研究を行った。地域情勢等研究は指揮幕僚課程学生をアジア地域の8つの国と地域(モンゴル・ASEAN・韓半島・インド・パキスタン・中国・台湾・ロシア)に分け班別に研究を行うもの。地域情勢を把握し国家間の関係等について大局的に判断する能力や討議能力を育成するために48年前から毎年実施している。
 合同研究では、4月の入校から約2ヵ月間で学生個人が作成した論文を持ち寄り3泊4日かけ討議を重ね
て完成した研究の成果を他班の学生や尾上校長をはじめ教官など多数列席する中で発表した。また、防衛産業や商社所属の企業参加者が大勢(学生51人に対し企業参加者31人)加わることが地域情勢研究の大きな特色で、合同研究には参加者の上司など企業関係者も多数詰め掛けていた。
 各班は、担当する国や地域の民族性や国民性をはじめとする特性や経済や軍事力の現状、それらから導き出される約15年後の予測、日本が今後採るべき安全保障政策などを発表。韓半島班は「北朝鮮に対しては核廃棄や拉致問題解決への継続的取組。韓国に対しては米国の仲介と文化交流を通じた日韓関係の改善」、中国班は「政治面では、中国を国際的協調枠組みに組み入れる努力の継続。軍事面では日米同盟の実効性の強化・日本の防衛力整備の推進」などと結論付けた。
 寝食を共にし、研究に没頭した数日を過ごした各班は強い連帯感で結ばれ、達成感や高揚感の入り混じった充実の表情を見せていた。個々の見解が分かれる中で1班約10人の意見を集約するのは容易ではなく、連日深夜まで喧々諤々、熱心な議論が尽くされたという。また、企業参加者が見聞きした赴任先の国民の生の声なども研究には盛り込まれたという。
 各発表後の他班の学生や教官からの質疑応答も熱を帯び、時間内に全ての質問を処理することは到底出来ないほど。参加者間の絆を得ることも地域情勢研究の目的の一つだが、十二分に目的を達成していることが伺える合同発表だった。

各国先任下士官と交流
空自准曹士先任
 航空自衛隊准曹士先任、 新井岳准空尉は、米空軍司令官付先任下士官会議(International Senior Enlisted Leader Summit)に出席するため、5月13日から16日の間、米国テキサス州にあるラックランド空軍基地を訪問した。
 米空軍司令官付先任下士官会議は、米空軍最先任下士官が主催し、米空軍及び世界各国の空軍最先任下士官が一堂に集まる会議で、下士官に関する様々な問題点等についての情報共有と、意見交換等を通じた多国間の下士官交流の促進を目的としている。本年度は米空軍最先任下士官をはじめとする主要部隊の最先任下士官やアジア太平洋地域、ヨーロッパ、アフリカ諸国等、世界25か国から合計約50人が出席し、航空自衛隊としては平成23年度以来約2年ぶり5回目の参加となった。
 4日間にわたる会議は、米空軍教育訓練コマンド司令官ランド大将による訓示を皮切りに、募集、教育訓練、国際交流についてのブリーフィング、基礎訓練課程(空自における新隊員課程に相当)、語学学校等における教育内容の説明と施設見学、各国の最先任下士官等との意見交換が行われ、最終日には参加者全員で基礎訓練課程の卒業式に参列した。
 ブリーフィングでは米空軍の予算が制限され、規模が縮小していく中、自然災害への対応を含む様々な任務を多国間の共同作戦により遂行するため、国際的な人的交流を促進していること、少子化による若者の減少に対応するため、募集業務においてテレビコマーシャルやインターネット、モータースポーツ等、国民の興味を引くため様々な媒体を利用するとともに、リクルーター(広報官)への教育訓練を充実させ、良質な人材を確保しようとしていること、採用した人員を一流の空軍兵に育て上げ精強な部隊を作るため、教育訓練と同時に、兵士が任務に専念できるよう、家族に対するケアを重視していること等の説明を受けた。
 またレジリエンシー(復元力、逆境力等と訳される、心の柔軟性)について、強くしなやかな、折れない心を持った兵士を育てるには、「メンタル(精神面)」、「フィジカル(身体面)」、「ソーシャル(社交性)」、「スピリチュアル(根本精神)」の4つのバランスが重要であるとし、「レジリエンシーとは、困難に直面した際、いかにして立ち直るかである。同時多発テロから13年続く『戦時』が人員(兵士だけでなく軍属、家族を含む)に与える影響等、数多くの解決すべき問題があり、重要な局面であると捉えている。」と、米空軍として何をなすべきかを模索している様子が窺えた。
 語学学校においては空軍だけでなく、様々な軍種、階級、職域の軍人等(警察を含む)に対する英語教育を実施しており、円滑なコミュニケーションによるパートナーシップの構築が、安全保障に寄与すると認識しているとの事であった。
 意見交換では新兵への教育訓練に関する内容が中心となる中、人的規模の縮小や予算削減の影響、若者の体力低下等、各国に類似する問題点が数多く存在し、教育訓練上の創意工夫が必要であるとの共通認識を得た。
 新井准尉は「日本においては、米空軍の募集や教育の現状を実地に見聞する機会は少なく、この会議への参加は大変貴重な経験になった。世界情勢の変化を見据えた国際交流の活性化と、時代の変化に対応した人材の育成を重視する姿勢を、各種説明や施設見学を通じて強く感じた。多様化する任務への対応のための准曹士の能力向上は、空自においても重要な事項であるため、各国先任下士官との交流を通じて得られた経験を空自隊員へ周知し、創設から60周年を迎えた空自の益々の発展に寄与したい」と語った。

魁の風〜中央即応集団
〜Central Readiness Force〜
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6次隊本格始動
出陣式、起工式
UNMISS
◇出陣式
 国づくり支援のためUNMISS(国連スーダン共和国ミッション)に派遣されている南スーダン派遣施設隊6次隊(隊長・野村昌二1陸佐)は、6月16日、南スーダンの首都ジュバ市にあるUNトンピン地区内の日本隊宿営地において、6次要員活動開始に伴う出陣式を行った。
 野村隊長は要望事項である「心・技・体を大切にせよ」「胸を張って帰国しよう」の2点を強調するとともに「出国前の家族や知人からの激励や笑顔を忘れることなく本日を出発点として一丸となって頑張ろう」と訓示した後、安全を祈願し国連任務に従事する部隊の出発を見送った。
◇起工式
 同じ6月16日、6次隊は、ジュバ市にあるUNハウス地区、第3POCエリア(国内避難民保護地域)外周道の起工式を行った。
 起工式にあたり野村隊長は「安全確実に整備を進捗させるとともに、一件の事故も無く、皆の顔が今より一層、土のように焼け、精悍な顔つきになることを期待する」と今後の活動に当たる隊員に対して訓示した。
 国連施設外の施設活動は、情勢の変化により昨年末以降、約6ヵ月振りの再開となる。同外周道整備は主に第6次要員施設器材小隊(小隊長・上野1陸尉)約40人が担任する。

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