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自衛隊ニュース   2013年9月1日号
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海自最大22DDH「いずも」命名、進水
多目的・耐洋性を確保し中枢艦
航空機運用機数は合計9機

 8月6日、横浜市磯子区のジャパンマリンユナイテッド磯子工場で平成22年度計画ヘリコプター搭載護衛艦(22DDH)の命名・進水式が行われた。最新鋭護衛艦の歴史的瞬間を見届けた式典出席者及び来場者は、麻生太郎副総理、江渡聡徳防衛副大臣、河野克俊海上幕僚長、三島愼次郎JMU(株)代表取締役社長をはじめ、来賓、一般見学者など計約3600人以上。式典では、小野寺五典防衛大臣が決定した艦名「いずも」を発表。旧令制国の出雲国(現在の島根県)に由来し、海自艦艇の名称としては初だが旧日本海軍の巡洋艦に「出雲」がある。続いて、麻生副総理、江渡副大臣により支綱切断。横須賀音楽隊の演奏が響く中、くす玉が割られ、シャンパンシャワー、紙吹雪、色とりどりの紙テープが舞い、花火が打ち上がる。華やかなムードに包まれ「いずも」は進水した。就役は平成27年3月頃を予定している。「いずも」は、平時から有事まで、新たな脅威や多様な事態にも対処し得る多目的、耐洋性を確保した中枢鑑として任務を遂行する。有事には部隊等の指揮中枢、航空機運用中枢鑑となる。基準排水量約19500トンで、海自艦艇最大。大型化した「いずも」は「ひゅうが型」と比較して、航空機運用機数(「ひゅうが型」4機→「いずも」9機)、乗員(約380名→約470名)、人員収容機能(長期的な宿泊支援。約100名→約450名)、病床数(8床→35床)などが大幅に高まっている。航空機運用機数の内訳は哨戒機7機、艦上輸送機等2機。「ひゅうが型」に無い機能・装備として海上給油能力(約3300klの臨時燃料)、車両用の大型ランプがある。災害派遣活動などにおける洋上拠点の役割を担い、陸自車両の迅速な積載、大量輸送なども可能となった。


陸自最大実弾射撃演習
平成25年度総合火力演習
敵部隊の離島侵攻想定

 8月25日、静岡県御殿場市の東富士演習場で「平成25年度富士総合火力演習」の一般公開が行われた。富士学校(学校長・武内誠一陸将)、富士教導団(団長・市野保己陸将補)を中核に、人員約2,300名、戦車・装甲車約80両、各種火砲約50両、航空機約30機、その他車両約600両が参加。小野寺五典防衛大臣、西正典防衛事務次官、岩崎茂統合幕僚長をはじめ防衛省・自衛隊の高級幹部、全国各地の自衛官、国内外の来賓、招待者、一般公募の見学者など計2万8207人が来場した。これに先立って行われた学校予行等を含めた計4日間(夜間含む)で約11万3000人が演習を見学。「統合運用と言われるようになって6年。いよいよ計画だけでなく訓練の場でも、有事を想定して統合作戦でやっている。全体は統合の枠組みの中で、陸上自衛隊が火力を発揮する場合を展示した」(君塚陸上幕僚長、8月26日 離任に伴う臨時記者会見より抜粋)
 午前10時、全国から訪れた見学者の前で前段演習が始まった。装備品の性能と練度を最大限に発揮した射撃と射距離に応じた各種火器等の火力効果を現す事が目的の前段65分。今年の目玉の一つとして、中距離多目的誘導弾射撃の展示があった。観客席前から射撃はできないため、観客席から左方向の台から遠赤外線画像による誘導方式で3発の連続射撃を行った。また、10式戦車のスラローム射撃と後進射撃、10式戦車小隊ならではのネットワークによる射撃が充実、観客の目を釘付けにしていた。10式戦車の動きを見ながらスクリーンとナレーションでネットワークシステムによる情報共有の意味が良く解るようになっていた。「身軽に動いているように見えるのに、やっていることは非常に大きいんだね」と初めて10式戦車を見たという見学者。
 後段は敵艦隊等の洋上や沿岸部での撃破、空地一体の火力戦闘、空中機動を含む部隊の即応展開を充実させた40分。後段冒頭、島嶼防衛に関するビデオ映像が放映された。観客は陸自の水陸両用作戦の理解もしたことだろう。侵攻してきた敵部隊を撃破するため、偵察活動から始まり攻撃、突撃、戦車拡張と展開していく。例年より充実していたのはUH—60とCH—47から先遣小隊が降下するのをAH—64Dが掩護射撃する場面で「凄いよ凄いよ」と観客も大興奮。
 演習が終わって装備品展示が行われた。88式地対艦誘導弾システムの後継となる12式地対艦誘導弾システムが初めて展示され、フラッシュの嵐を浴びていた。雨が降ると演習場内やバス停などへ戻る路面が悪くなる。2万人以上の人が一度に動くとなると統制にも気を使う。各部隊から支援に来ている隊員のきめ細やかな誘導と気配り、優しさも演習の力強さと共に観客の心に残ったことだろう。


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