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自衛隊ニュース   2012年12月1日号
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11月11日午前11時11分「しらせ」南極へ発進!
約1100人の家族、関係者が晴海埠頭で見送り

 砕氷艦「しらせ」(艦長・松田弘毅1海佐)の第54次南極地域観測協力の出国行事(執行者=横須賀地方総監・武居智久海将)が11月11日、東京港晴海埠頭で行われた。約1100人の家族、関係者が乗組員170名の海自隊員たちを見送った。総行動日数151日、総航程は約2万マイル。来年4月10日に帰国予定。
 午前10時10分、「しらせ」に河野克俊海上幕僚長が乗艦。飛行甲板で乗組員から栄誉礼を受け、続いて士官室で松田艦長から岩崎茂統合幕僚長(代理で副長)への出港報告に武居総監と陪席。再び飛行甲板で統幕長訓示(副長代読)のあと、壮行の辞を述べた。
 河野海幕長は「前回の行動においては昭和基地沖へ接岸できないという厳しい氷状での活動となった。孤立無援の条件下で無事に任務を遂行するためには、周到な準備、的確な情勢判断および緩急自在かつ柔軟な対応が必要であり、艦と航空機の能力を十分に発揮することに努めるとともに、困難な局面に際しても、最後まで忍耐強く最善を尽くしてもらいたい」と述べた。
 その後、船上で隊員たちは家族と最後のひととき。あちらこちらで子供を抱き上げるなどして家族と記念撮影する姿が見られた。
 海自東京音楽隊の演奏の中、「しらせ」は松田艦長の粋な計らいで午前11時11分出港。大勢の人々に見守られながら、ゆっくりと岸壁を離れていった。
 「しらせ」の南極圏行動日数は99日。"往路"は11月25日にオーストラリアのフリーマントルに到着後、第54次南極地域観測隊等73名、物資約1082トン(観測器材170、設営資材215、燃料633、食糧64トン)を乗せ、12月中旬に氷海へ進入。来年1月上旬に南極の昭和基地沖に到着の予定。
 "復路"は2月中旬に第53次越冬隊員等77名を乗せ南極を出発し3月上旬に氷海を離脱。同18日にフリーマントルに寄港して南極地域観測隊を降ろした後、東京へ戻る。

「第54次南極地域観測隊(渡邉研太郎隊長以下55名)の観測計画基本方針」
(1)第1優先を昭和基地越冬成立(越冬基本観測に必要な物資の輸送、越冬隊員の交代)(2)第2優先を大型大気レーダー整備(3)その他重点研究観測(中・超高層大気観測、雪氷観測および海洋観測)(4)夏期基本観測、一般・萌芽研究観測、公開利用研究(越冬観測のための準備作業、沿岸野外調査、海洋観測および天文観測)、設営作業


"躍進"テーマに60周年祝う
森本大臣らOB多数来場、防大開校祭
「還暦迎え、さらなる高みへ前進」國分学校長

 昭和27年の保安大学校発足以来、創立60周年を迎えた防衛大学校(國分良成学校長)は11月10、11の両日、横須賀市走水の同校キャンパスで"躍進"をテーマに60周年記念開校記念祭を実施、両日併せて2万466人が訪れた。主要行事として初日に訓練展示、2日目に記念式典・観閲式、棒倒しが行われたほか、学習成果、部活動などの展示発表・ステージ発表が両日にわたりキャンパスの各所で行われ多くの来場者を集めた。10日には、60周年にあたり学生寮入口に設置された「建学の碑」(槇智雄初代学校長の胸像・学生綱領碑・学生歌碑)の除幕式、資料館内の記念品除幕式、五百籏頭眞前校長の記念特別講演「防衛大学校の伝統と任務」が行われた。
 11日の記念式典・観閲式も、防大出身の森本敏防衛大臣を観閲官として迎え、歴代校長やその親族が来賓として招かれ壇上に臨席するなど、60周年に相応しい規模で盛大に執り行われ、部内外の来賓、招待者、一般来場者とともに学生の晴れ舞台を熱心に見守った。学生隊(観閲部隊指揮官・4学年 大藪秀斗学生)による栄誉礼・観閲行進、防大出身者が要員として参加した陸海空の航空機の祝賀飛行・記念空挺降下、儀じょう隊によるドリル演奏などに対し、満員のスタンドから万雷の拍手が送られた。式において壇上に立った国分学校長は、「還暦を迎え、新たな段階に入った防衛大学校は、歴史と伝統を踏まえ、さらなる高みを目指して前進することをここにお誓い申し上げる」などと力強く式辞を述べた。
 続いて、森本大臣は訓示の中で1965年の卒業以来、初めてこの場に立つ感慨に触れ、目の前の若き後輩たちに「学校長の薫陶をよく受けて学習と訓練に励むよう」、「毎日の生活、訓練、学習が『立派な幹部自衛官になること』に集約されていることを忘れず励むよう」、「全人格にバランスのとれた指揮官になるよう」の3点を要望した。森本大臣は、記念式典・観閲式の終了後、記念会食を経て、雨中の下で行われた旧海軍以来の伝統を誇る勇壮な棒倒しも引き続き観戦した。棒倒し競技は学生にとって、己が所属する大隊の名誉を懸けた年間最大の体育行事。決勝の組み合わせは三年連続の1大隊-3大隊、史上初の三連覇を目指した3大隊を熱戦の末に1大隊が撃破し、悲願の優勝旗を手にした。


雪月花

 自衛隊の年間行事でも人気トップクラスの自衛隊音楽祭りが行われた。入場希望者ははがきの申し込みが2万7701通、メールは2万2386通で当選が1万0264通だから4・6倍の狭き門となった。この時期になると外部と接触する最前線部隊の就職援護や募集担当者は頭を悩ます。総合火力演習や観艦式のチケットと同じように「自衛官ならなんとかなるだろう、何とか一枚でも融通してくれ」との要望が後を絶たないのだ。公平に抽選をしているから無理なものは無理。担当者は自分で50枚も100枚も葉書を出してやっと何枚かをゲットしているのが実情だ。数年前からはインターネットでの申し込みも取り入れられ、自分のパソコンや家族の端末も総動員して頼まれた人に応えている地本の担当者もいるそうだ。涙ぐましい努力をしている。ともあれ今年の音楽祭りも取材という本来の仕事を忘れて夢中で見せてもらった。以下観覧者の声を収拾した。「こんな太鼓演奏は初めて見ました、ステージいっぱいを使った演出は迫力満点でした」「防大生のドリルは、同じ歳の子どもがいるので涙が出そうだった」「声楽要員で初めて音楽隊に採用になったそうですが、ふるさととエンディングを歌った人は上手かったですね」「沖縄のエイサー隊は本当に感動しました、編み笠をかぶって歌ったひとは自衛官とは思えません、素敵でした」「オリンピックのメダリストも愛嬌がありました」「保安中隊の人たちは銃を大切に扱いますね」


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