7月中旬の一日、福岡ヤフードームの対ロッテ戦試合前、ソフトバンク・小久保裕紀選手(40)の通算2000本安打達成記念セレモニーが行われた。3万6000人を超える満員のファンの歓声の中で、小久保はいつになく緊張した表情を見せていた。
　王貞治球団会長(71)から、名球会のブレザーを着せてもらったが、そのときうつむいて一瞬、目頭を押さえる仕草をしたのが、印象に残っている。プロ19年、小久保の脳裏を苦しかった長い年月が甦っていたに違いない。
　女手ひとつで育て上げてくれた母親・利子さん(64)も、息子の晴れの舞台に列席してはいたが「オレのオヤジ」と言い続けてきた王球団会長に着せてもらった名球会のブレザーに、感無量だったのだろう。「王さんがいなかったら、オレは35歳ぐらいで引退していただろう」とも言っていた。
　「監督が巨人から移籍して来られた頃は、ホークスが一番弱いときだった。そんなとき"練習では120%の筋力を使って1?でも遠くへ飛ばすことを心掛けろ。背骨がバキバキになるまでフルスイングしろ"と言われた。あの頃のことは絶対に忘れない。あのひと言があったから、いまのオレがあるんだ」と。
　王さんも小久保に関しては、並々ならぬ思い入れがある。「あの男は誰に言われなくても、自分で何でもできる男。いろいろあったが、いまにして思うと、私と彼とは見えない糸で結ばれているのかもしれない。いま言いたいのは、2000本で安心してしまうことなく、もうひと踏ん張りもふた踏ん張りもしてもらいたいということ。2000本なんて通過点と思え、と言っておいたよ」。
　97年、打点王を取ったシーズン、脱税問題が発覚して、翌年は開幕から8週間も「出場停止」処分をうけたことがあった。そのとき王監督は「人間、野球だけじゃ生きていけない。事件の結果を真摯に受け止めて、これからの人生にどういかしていくかを本気で考えることだ」と、厳しいひと言を投げかけたという。
　03年には、当時の中込正オーナーが、金銭も交換要員も要求しない「無償トレード」で小久保を巨人に放出する事件があった。この年ダイエーは優勝したが、主力スター選手に対する球団の冷たい仕打ちに怒った選手会がV旅行をボイコットしたり、福岡の町ではトレード阻止の署名運動が起こったりという事態にまでおよんでいた。
　小久保は、それでも王監督を信じて、巨人のユニホームを着た。「東京へ移るとき監督に"とにかく、がむしゃらに野球と取っ組んでこい。ただし、巨人の色にだけは染まるなよ"と言われた」そうだ。
　06年、巨人でFA資格を取得すると、小久保は取るものも取りあえず王監督の元に帰ってきた。「王監督には"逆境にあるときでも、自分の道は自分で切り開け"と教えられた。恩返しの千分の一、万分の一もできていないけど、どこまでもオヤジの後についていきますよ」と。
　技術だけでなく、精神面でも大きな影響を与えてくれた王監督(現球団会長)に"孝行息子"小久保裕紀が、熱暑の中の後半戦でどんな恩返しを考えているのか、楽しみに見守っていきたい。

粽手に祇園囃子の中に消ゆ　　　　　山崎　明子
履歴書に士族とあるを曝しけり　　　　　井出かへい
想ひまだ過去とはならず原爆忌　　　　　中野たか江
明王のかつと眼を剥く土用灸　　　　　本多　令佳
一匹の蝿にざわめく喫茶店　　　　　幸保　洋子
村で一人戦死の父の墓洗ふ　　　　　晴山　雅之
母の齢近づきてきし盆支度　　　　　藤原　あい
乗船に手を添へくれし日燒の子　　　　　木村美智子
切子吊る縁に古りたる妣の椅子　　　　　増田　直美
阿蘇五岳一望にして青田風　　　　　佐賀あかり
農継ぎし息子笛吹く祭かな　　　　　土谷　貞坊
灯を落とし風鈴の音遠くまで　　　　　浅野　柚香
ゆつくりと刻流れゆく籐寝椅子　　　　　渡辺嘉智子
ハモニカのテネシーワルツ終戦忌　　　　　若松　芳明
はらからの安否問ひくれ盆の僧　　　　　三根　香南
風鈴にさみしき音のありにけり　　　　　米田ふさゑ
ためらひてゐしが輪に入り盆踊　　　　　小窪美和子
　　　選　者　吟
曉光に蝉の声張る原爆忌　　　　　成川　雅夫
(「栃の芽」誌提供)

　Hi! How are you doing?皆さん、いかがお過ごしでしょうか。7月初めに35度の真夏日が連日続いた関東地方は、先週、今週と涼しい日が続いています。時間によっては肌寒いぐらいの気温でしたね。かなりの人が体調を崩したり、風邪をひいたりしているようです。無理をせずに、体温調整に、上に羽織る軽いウエアーを携行するといいかもしれませんね。
　台風、大雨、洪水、土砂崩れ、雷、竜巻とここ数年過去にあまり耳にしたことのない災害が頻発しています。地球全体の気候や気象のシステムが変化しているようですね。人間は自然を超えられない存在であることを自覚して、自然の恵みに感謝することが大切なんだと思います。

　さて、今回の表現は"I was spacing out because of the heat,
sorry!"「暑さでぼっとしていたよ、ごめん!」です。Spaceは、名詞では空間や距離、時間を意味しますが、動詞になると、「物を一定の間隔で配置するとか、物事を一定間隔の時間で実行する」という意味がでてきます。その他に、「人がボーっとする」という意味にもなります。面白いですね。過去進行形was spacing outとすることで、いままで動作が続いていたことを表しています。そのあとに理由をつけると分かりやすいですね。「暑さ」は、the heat(ザ・ヒート)です。理由を言うときはbecause of〜「〜のせいで」を使います。

　今年の夏はかなり厳しい暑さになりそうです。電気消費量をにらみながらの生活になりますね。体調に十分留意されて夏を乗り切ってください。ストレスが少ない陽気で明るい生活を楽しみましょう。それでは、皆さん。See ya!