防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2012年3月15日号
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農林水産大臣から感謝状
隊友会
東日本大震災ボランティア活動に対して

 東日本大震災から1年目となる3月2日、公益社団法人「隊友会」(理事長・藤縄祐爾)は農林水産大臣から大震災に伴い実施したボランティア活動に対して、感謝状を受領した。
 農林水産省では発災直後、被災地に応急用食料等を供給しようとしたが、現地までの輸送が極めて困難であり、主として自衛隊ルートが機能していた。その自衛隊とともに応急用食料等の積み下ろし・集積・再配分等を実施し、被災地への輸送に貢献した山形県隊友会、岩手県隊友会の一関支部等の功績等に対するものであり、災統合任務部隊、海上自衛隊第1輸送隊及び航空自衛隊航空支援集団とともに授与されたものである。
 隊友会は、輸送協力の他、東日本大震災被災者援助のボランティア活動を実施した。被災地隊友会では発災直後の3月12日から延べ800人の会員が活動。全国の会員から募った本部直轄の応援隊は、ボランティアが手薄になる連休明けの5月9日から十数次の組を逐次に派遣し、6月27日まで延べ610人が宮城県石巻・気仙沼・岩沼地区での復旧活動にあたった。
なかでも、気仙沼市では水産業に従事する被災者宅の後片づけ、漁業組合のコンテナの清掃等を、また、岩沼市では津波で折れ曲がったビニールハウスの撤去、塩害畑地の表土排除等を実施し、被災地の農林水産業関係者から感謝された。また、年令の割にはその手際の良い組織的な活動は、地元の方々の驚きであり「どこの何という組織ですか?」と聞かれることもしばしばであった。
 今回の感謝状は、これらの功績に対するものであり、地元の感謝の声が中央に届く形となった。現場で活躍した会員の労苦に報いることとなるとともに、全国の会員にとっても朗報であり、今後の隊友会活動の励みになるものである。
 藤縄理事長は、感謝状を受け取った後「東日本大震災の発災から1年を迎えようとしており、改めて犠牲になられた方々のご冥福と被災地の1日も早い復興をお祈り申し上げます。隊友会は、昨年公益社団法人として認定を受け、防衛・防災活動等への積極的協力に力をいれている折から、この感謝状贈呈を受けたことは、会員にとって大きな励みになります。今後とも、この種活動の一層の充実を図り、社会に貢献してまいる所存です」と語った。


ゴラン・ハイチ 海外派遣隊員の想い
PKO通じ世界に恩返し
第134警務派遣隊(大村) 1陸尉 高谷真介

 我々、派遣警務班のハイチでの任務は、日本隊の規律維持であり、具体的な現地での活動は、各種事故等の未然防止に関わる防犯活動及び重車両輸送支援です。また、万一事故等に巻き込まれた場合に備え、国連憲兵隊と連携して、適切に事案処理できるよう態勢を整えています。
 その中でも一番力を入れている任務が、重車両輸送支援です。日本隊で使用する車両のほとんどが、大型ダンプ、トレーラ及び油圧ショベルなどの大型車両であり、現地の劣悪な道路環境下で、車両を安全に送り届けるために、車列先導や通行の難しい交差点などで交通統制を行っています。これらの活動により、車両事故を未然に防ぐという効果も期待でき、警務班の主要な任務となっています。
 道路上で交通統制を行い、日本隊車両を通過させる際に、時折、クラクションの連呼をお見舞いされるなど、手荒い対応をされることもあります。しかし、大部分の方は、「ジャポン!」と窓から手を振ってくれたり、人懐っこい笑顔を見せてくれます。警務班の活動は、ハイチPKO活動の花形である施設活動部隊に比べると裏方的な任務ですが、施設中隊等とともに、活動の最前線に立てることは一番嬉しいことです。
 最後に、第5次要員は、第5施設団を基幹とし東日本大震災の災害派遣も経験してハイチに派遣されている隊員も数多くいます。各隊員は、このPKO活動を通じて震災直後から我が国が世界各国から受けた支援に対しての恩返しが少しでもできればとの思いで、毎日の活動に当たっています。
 残された派遣期間、最後の瞬間まで気を抜くことはできませんが、日本隊の安全確実な任務遂行のためにも、部隊ニーズに応じた警務支援を今後も提供していく所存です。

感謝を糧に最後まで尽す
第5旅設団本部(小郡) 2陸尉 大場哲也

 平成23年3月11日、未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生し、我々、自衛隊は被災者の救援・復旧等の活動を行いました。平成23年12月26日、自衛隊による東日本大震災に係る全ての災害派遣が終了し、被災地も復旧へ前進を開始したことと心から願っています。
 一方、平成22年1月12日に発生したハイチ大地震は、2年が経過しようとする現在、主要な道路・施設等は徐々に復旧していますが細部まで復旧しているとは言い難い現状です。例えば幹線道路の瓦礫は、ほぼ除去されているものの、路地に入れば崩壊した建物の瓦礫がまだ残っています。
 隊本部勤務者は、市内外において、現地の方々の声を聞く機会が多いのですが、この中において、現地の方の「路地裏の瓦礫を除去して欲しい」という意見が聞こえてきました。こういった現地のニーズを反映して、9月19日〜23日の間「フレンドリーハンズ作戦」と名付けられたポルトープランス市とその周辺地域における清掃活動が実施されました。この作戦において我々日本隊は、道路の瓦礫及び堆積した土砂の除去を行いました。現地の人達は、身体全体で喜びを表し、心からの感謝の意を表してくれました。この活動から3カ月以上経過した現在でも現地住民の話を聞くと、「あの時はありがとう」と感謝の言葉を頂くことがあります。
 ハイチの方々の感謝の言葉を糧として、我々、第5次要員に残された派遣期間は僅かではありますが、最後まで、ハイチ国民皆から感謝されるようなしっかりとした仕事をしていく所存です。

安全支える警務官の矜持
第130地区警務隊豊川派遣隊 3陸曹 後藤良太

 平成23年8月、私は、第32次ゴラン高原派遣輸送隊の警務班警務陸曹要員として派遣されました。
 現地での任務は本邦と同様、車両誘導及び防犯活動等の保安業務や司法警察業務を行い、日本隊の規律の維持に寄与することです。
 日本隊は日本とは交通状況が異なるシリア及びイスラエルにおいて、車両を運行させなければなりません。そのため警務班として定期的に車両運行教育を実施して、現地の交通法規や注意点等を徹底しています。また輸送班の任務がある際は、事前に経路の交通状況等をUNDOF司令部の情報担当者や憲兵小隊から入手して輸送班の隊員に事前ブリーフィングを実施するとともに、当日は道路の要点等に先行して、通行量の激しい道路交通状況を後続の輸送車両に連絡し、整斉円滑な移動ができるように努めています。
 日本隊は現在、無事故無違反で任務を遂行しており、輸送隊長からは、「部隊の活動をする上で、警務班の存在はとても大きい」と叱咤激励されています。
 警務班の活動が、具体的な成果として出ることはありませんが、日本隊の任務遂行に微力ながら貢献できれば幸甚です。
 残りの派遣期間も日本隊が無事故無違反、全員本邦に無事に帰国できるよう、警務官の矜持と警務科精神を堅持し、任務に邁進したいと思います。

日本の伝統言葉越え届く
大湊基地業務隊 3海曹 下平佳史

 平成23年12月15日(木)、ゴラン高原派遣輸送隊は、UNDOFで勤務する各国軍人及び民間人に対して日本文化を紹介する「J-CON Day」というイベントを実施した。前段は、空手、少林寺拳法等の武道演武の他、日本の伝統芸能を披露した。後段は、寿司や天ぷら等の日本食を提供するとともに、書道、折り紙、和凧、けん玉等の日本文化を参加者が直接体験できるコーナーを用意した。
 私は、イベント前段の伝統芸能を担当した。実施した内容は「二人羽織」である。当初は、日本の芸能のひとつとして面白いだろうという程度で担当になったが、いざ演舞の内容を検討する段階において、「二人でひとつの着物を羽織って、何をすれば日本文化に親しんでもらえるか」について頭を悩ませた。 
 その結果以下の内容を選定して実施した。まず4人2組が二人羽織姿で登場、次にジャンケンハリセン(これは勝者がハリセンで攻撃、敗者は笠をつかって防御)を披露、次に食事(勝者がクリームケーキ、敗者はきつねうどん)、最後に挨拶で締めくくり、「二人羽織」は大盛況に終わった。企画の段階で色々と悩んだが、言葉が通じなくても、最終的には、内容と演出で楽しんでもらうことができ、日本の笑いが世界に通じたことが非常に嬉しかった。私は、23年9月に派遣された当初は、仕事において頻繁に言葉の壁を感じ、気持に余裕がなくなることがあった。しかし今回のイベント以降、業務の際に「J-CON Dayは面白かったね」という言葉を各国軍人から聞くようになってからは、お互い笑顔で会話し、言葉の壁を感じることもなくなった。「J-CON Day」は各国軍人との良好なフレンドシップを構築する良き機会となった。言葉は通じなくても、心が通じ合えばお互いの目的が達成できるという教訓を活かし、派遣期間の最後まで確実に業務を遂行しようと思う。
 最後に、こうした貴重な経験が出来たのも、派遣機会を与えてくれた原隊の皆様のおかげであると、心から感謝している。


広島カープ選手が第5航空群を見学
那覇航空基地

 2月10日、2月にしては20度を超える暖かな陽気の中、プロ野球球団広島東洋カープの選手らが、海上自衛隊第5航空群を見学した。この広島カープの5空群見学は今回が初めて。今年は、選手5名のほか、カープ広報担当者、また、多数の取材陣が5空群を訪問した。
 基地に到着し、最初に選手たちは、隊員のエスコートにより隊員食堂で昼食を取った。この日のメニューは海上自衛隊伝統のカレーであり、選手たちはお代わりをするなどカレーに舌鼓を打った。食事が終わり、午後からは格納庫に移動し、この日のメインである航空機見学を行った。はじめに隣接する第83航空隊所属のF-15戦闘機の見学をした後、海自格納庫に着いた選手たちは、多数の隊員が出迎える中、第5航空隊のP-3C哨戒機を搭乗員の案内で見学。初めて座る航空機の操縦席に選手たちは大感激した様子であり、多くの計器を興味深く見つめていた。
 航空機の見学の後は、集まった隊員たちと気軽に交流、サインをするなど、厳しいキャンプ期間中の一時をリラックスした様子で過ごした。楽しい時間はあっという間に過ぎ、最後は5空群隊員の見送りで選手たちは5空群を後にした。


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