防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2011年4月15日号
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"真白き冨士の根"
逗子開成中・高校で演奏支援
横 音
海軍ゆかりの校風
 横須賀音楽隊(隊長・手塚裕之3海佐)は2月13日、神奈川県逗子市に所在する逗子開成中学校・高等学校で同校吹奏楽部生徒に演奏指導を行った。また、午後からは同校の体育館で、一般市民が対象の合同演奏会を演奏支援した。
 午前は楽器ごとに教室に分かれ、隊員による演奏指導が行われ、目を輝かせた生徒達が熱心に指導を受けていた。
 午後に行われた横須賀音楽隊と同校吹奏楽部との合同演奏会には多くの市民が訪れ、準備した500席では足りず、椅子を追加して最終的には900席が満席となった。
 観客は第1部で同校の若々しい学生の演奏に拍手を送り、続く第2部では横須賀音楽隊の奏でる演奏に聴き入った。なかでも同校に深いゆかりのある曲「真白き冨士の根」を聴く観客の中には目頭を押さえる姿も多く見られた。古くからの逗子市民にとって、この曲は郷愁を誘うものとして今も息づいている。
 同校は明治36年創立で、平成15年には100周年を迎えた歴史ある中高一貫教育の学園。また、設立時には旧海軍の要請を受けて開校された経緯もあり、横須賀鎮守府の軍人の子弟らが多く学んでいた。同校の沿革によれば、歴代の校長には旧海軍の退役軍人が名を連ねている。
 運動会には軍楽隊が駆けつけて奏楽を担当するほど海軍との関係も深く、特に交流の深かった吹奏楽部はスクールバンドとして日本でも最古の歴史を持つ。
 同校の長い歴史の中に、開校後間もない明治43年1月に起きた「七里ヶ浜ボート遭難事故」がある。学校に無断で冬の海へ漕ぎ出した少年12人が乗るボートが鎌倉の七里ヶ浜沖で転覆。捜索には22隻の漁船の他に海軍の駆逐艦2隻が加わったが、小学生1人を含む12人の尊い命は返ることはなかった。
 なかでも、幼い弟を最後までかばうように抱いた兄弟の遺体が人々の胸を詰まらせたという。また当時の新聞は、行動を共にしながら途中で引き返し、九死に一生を得た3人の少年らの証言を伝えている。「23日の日曜を幸い、一同ボートに乗じて冒険的壮学を企つるに決した」
 転覆したボートは明治41年に事故で沈没した軍艦「松島」の短艇を払い下げて使用していたもので「箱根号」と名付けられていた。
 真白き冨士の根、緑の江ノ島
 仰ぎ見るも、今は涙
 帰らぬ十二の雄々しき御霊に
 捧げまつる、胸と心
 事故の翌月に行われた追悼法会で鎌倉女学校の生徒により合唱された曲「真白き冨士の根」へ多くの参列者の涙を誘った。
 同校は戦中まで海軍兵学校の予備校的存在としても知られたが、近年では地域有数の進学校として発展を遂げている。
 今回の横須賀音楽隊の演奏会と生徒に対する演奏指導は、理事長の立川丈夫氏をはじめとする学校関係者が、同校の100年余の歴史に刻まれた浅からぬ海軍との関係に思いを馳せ、その流れを受け継ぐ横須賀音楽隊に支援を求めたもの。「海へ向かう精神の伝統」を掲げた同校の歴史に応えるように音楽隊は演奏を披露した。
 演奏会の第3部では合同演奏が行われ、中には親子ほどの年齢差のある音楽隊員と生徒の共演に、訪れた観客は喝采を送った。

お知らせ
 毎年5/15号と9/15号に掲載していました防衛ホーム「防衛省・自衛隊高級幹部等名簿」は、諸般の事情により5/15号は休載して9/15号にまとめて掲載します。(編集部)

自衛隊サポーターズ
「関心のなかった日々が一変」藤井のり子
隊員の姿勢に心打たれ20年
 化粧品販売店の店長を務める藤井のり子さんは富山県女性防衛協力会の会員で富山地本呉羽地区の募集相談員でもある。「ふとしたことがきっかけで自衛隊に感動してそれ以来」20年に渡って熱心に自衛隊を応援し続けている。
 —自衛隊ファンになったきっかけは?
 藤井 平成3年5月に当時の最新鋭の護衛艦「しまかぜ」が富山港に入港したおり、富山地連(当時)の募集課長が「若い隊員が頑張っている姿をぜひ見てやってください」とお声掛け下さり、初めて自衛隊の艦艇に乗せて頂きました。私の息子くらいの年齢の若い隊員が狭い艦内をきびきびと動き、突起物がある所では「足下に気をつけてください」と優しく声をかけて注意を喚起。急な階段を上り下りする際には、振り返ると階段の下で腕を広げて万一に備えて下さる。そんな姿に心打たれ、感動したことがきっかけでした。
 それまでは自衛隊には縁がなく、全く興味も関心もありませんでした。自衛隊を応援するようになってからは、以前の私のように自衛隊をよく知らない方が、自衛隊に対して批判的な意見を述べていると、知らず知らずのうちに、私の自衛隊についての感想や知識、自衛官の方から教えて頂いたことを話していることがあります。
 —これまでに一番印象に残っている出来事は?
 藤井 私が所属する富山県女性自衛隊協力会が、今年で15回目となる自衛隊写真展の第1回を開催したとき、あるご婦人が、展示写真「胸まで水に浸かって災害派遣活動を行っている自衛隊員」の前で目に一杯涙を溜め長い時間立ち止まっていました。
 声を掛けると、「息子は自衛隊に入ったきり音沙汰がなく『何でこんなところに入ったんだ……』と思っていたけど、息子と同じ年頃の自衛官が世のため人のため頑張っている写真を見て、息子もきっと何処かで頑張っているんだと思い、自衛隊に入った息子を初めて誇りに思いました」と言って私の手を強く握りしめ深々と頭を下げられ、「必ず来年も写真展を開催して下さい」と念を押して何度も頭を下げて帰って行かれたことがありました。
 —今後の目標を。
 藤井 富山県女性防衛協力会の会員として写真展をはじめ精力的に活動していきたいです。また、募集相談員としてこれからも、募集情報の提供や地域の人の紹介など広報官の活動支援を心掛けていきます。自衛隊に馴染みの薄い富山県にあって、一人でも多くの人に素晴らしい自衛官の人たちや自衛隊に触れて頂けるよう努めていきたいです。

「ましゅう」乗員に園児が勲章を授与
 3月7日、舞鶴市内の三鶴幼稚園の園児が補給艦「ましゅう」(艦長・川波辰男1海佐)を訪れ、乗員に手作りの勲章をプレゼントした。同幼稚園では毎年、卒園予定の園児らが作成した勲章を隊員に贈っており、恒例行事となっている。勲章は、丸い色紙に折り紙で作られた船や動物が貼り付けられ、「おからだに気をつけて、お仕事がんばってください」「いつも、ありがとうございます」などの言葉が書かれた可愛らしいものだ。
 今年は33人の園児が岸壁に整列した「ましゅう」乗員の首に真心のこもった勲章をかけ、乗員一同を大いに喜ばせた。その後、一緒に参加した舞鶴地方隊マスコットキャラクターの「マイチくん」とふれあい、園児たちはとても楽しそうな様子を見せていた。

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