防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2011年4月1日号
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寄せ書き
金よりも鉄の卵
第15普通科連隊(善通寺)1陸尉 永易 愛朗
 「金の卵」という今では忘れられた言葉があります。日本が高度成長に沸いている時代、地方から都市部に中学校を卒業して集団就職で出て来た若い労働力(マンパワー)を指した言葉と理解しています。
 私にはこの言葉がどこか脳裏の片隅から消えなかった思いがあります。それは、私の職務歴が部隊勤務と地本勤務を往復するようなものだったからなのかもしれません。地本では当然ながら、「良質・適格者の確保」という目標を持って募集・広報業務を地道に行っています。異論もありましょうが「金の卵」を探しているものと思えます。
 部隊へと勤務が代わり、改めて部隊のマンパワーに接して感じることは、そもそも、最初から自衛官又は戦闘員として高い素養・素質を持つ若者が存在するのか?ということです。「金の卵」的な良質・適格者を探し求めるより、一般的な「鉄の卵」に磨きをかけて「金や銀」以上に光り輝くものにしていくことが大切ではないでしょうか。
 鉄に磨きをかけるには大変な労力が必要となります。それを行ってゆく熱意も具備しなければなりません。また、磨きを怠ればすぐに錆びついてしまうでしょう。だけど、鉄でも磨き込めば「燻し銀」の光沢を放つものでもありましょう。
 最近、待ちに待った新入隊員が中隊配置となり、その思いを改めて感じました。
夜間ナビラン訓練
第12普通科連隊(国分)3陸曹 川尻 健介
 第12普通科連隊は2月3日にポケットナビゲーションによる夜間ナビランを実施した。
 今回の目的は、普段の訓練では数の関係上、小隊長しか扱えないナビを全隊員に普及し、急に役職が回ってきても速やかに任務を引き継ぎ、遂行出来る隊員を育成する為である。
 内容としては、当初教官によるナビについての概要説明、次に2〜3名に1台ずつナビを配り、使用方法を学び、実際に目標に向かって行進を実施した。
 今回の訓練を実施して、初めてナビを使用した隊員が多かったので、普及するという面ではとても良い訓練になった。これからもこのような訓練を続け、忘れることなく各人の知識向上を図りたい。
色について
第6特科連隊(郡山)陸士長 吉田 貴光
 私たちは、色をどのくらい理解しているでしょうか?質量や体積を物理量と言うのに対し、色は音などとともに心理物質量と言います。感知しやすい色と感知しにくい色があり、赤ん坊のオモチャが赤を基調としているのはその為です。又、老人などは青などが見えにくくなる為、ガスコンロの火で火傷するので気をつけましょう。囲碁の碁石の大きさが白黒で違う話は有名です。白は発光する為、ひと回り小さく作ってあります。黒色の車両の場合、遠くに見えるので事故が多いとされ、バスやタクシーなどは避けられています。
 最初に心理物質といいましたが、心理的にも色は影響していて同じ重さ・形でも白色より黒色の方が「1・78倍重く感じた」という実験データがあります。又、ロンドンのテムズ川にある「ブラックフライアブリッジ」は自殺の名所であったが色を黒から緑に変えたところ、自殺者が3分の1に減ったそうです。
 色は人々に大きな影響を与えているのです。私も、これからの日常生活において色に興味を持って行動していきたいといます。
後期教育を終えて
普通科教導連隊(滝ヶ原)2陸士 赤岩 祐宙
 後期教育を振り返って思うのは同期愛です。当初は不安でいっぱいで、周りの仲間ともなかなか打ち解けることが出来ませんでしたが、いつしかその不安も無くなり、同期皆が優しく接してくれました。同期には私の悪いところをしっかりと注意してくれる同期もいれば、何か作業を行う時は自ら進んで仕事を行い、積極性を教えてくれた同期もいました。団結する事、協力し合う事の大切さに気づく事が出来たのも同期の皆に出会えたお陰です。
 区隊長の「諦めたら終わりだぞ!」という言葉も印象に残っています。壁にぶつかり心が折れそうになった時、とても励まされました。中隊に配属された今でもこの言葉を思い出し、自分に言い聞かせ気持ちを奮い立たせています。
 これからは一日でも早く立派な普通科隊員になれるよう後期教育で学んだ事、感じた事を糧にして頑張っていきたいと思います。
音楽まつりを通して
徳山大学3年生北瀬 明子(山口地本投稿)
 今回初めて音楽まつりを観賞させていただきました。その演奏には自衛隊ならではの引き締まった動きが取り入れられ、一糸乱れぬ動作に節度のある厳しさを感じ、身震いしっぱなしでとても感動しました。自衛隊だからこそできる動きを音楽と融合させ、それらは多くの魅力を含んでいました。今回のテーマは「絆」ということで各地方や国境を越えた音楽隊同士の熱い絆のバトンがしっかり繋がっていたと感じました。
 私は、防衛モニターになるまでは自衛隊に音楽隊があることを知りませんでした。今回、同年代の友人に音楽まつりを観に行くと話したところ、自衛隊に興味・関心のある人以外は、正直ほとんどと言っていいほど音楽隊の存在を知りませんでした。
 自衛隊の音楽隊の意義のひとつに広報活動がありますが、まだまだ浸透していないのが現実だと思います。しかし、音楽を通してでも伝わるものはたくさんあります。今回のような、年に一度の盛大な音楽まつりを観たからこそ素晴らしいレベルの高い演奏・感動をもっと周りの人達に知ってほしいと感じました。
 各地方でもそれぞれ音楽隊は活動されていると聞きました。しかし広報活動としては今回ほど大規模ではありません。
 私が家族や友人に音楽まつりにとても感動したという話や写真を見せたりすると「観てみたい」という反応がありました。若い人が演奏会に興味がないということはないと思います。ただ、機会がなく場所が限られているため、広報活動や国民交流がごく一部で終わっているのだと思います。
 音楽隊の活動も大変お忙しいようですが、この音楽まつりのような大規模なものを東京だけではなく地方単位で開催していただければと感じました。また、規模は小さくても学校単位での活動も頻繁に行っていただきたいです。そうすれば、音楽隊と鑑賞者だけではなく鑑賞者同士の交流にもつながり「絆」も深まるのではないかと考えます。
 今回の音楽まつりによって、自衛隊の広報活動をもっと活発に実施してもらいたいと思うと同時に、防衛モニターとしての意識がさらに高まるきっかけとなりました。
教える喜び
新潟地方協力本部 1陸曹 千代 正美
 一昨年の4月、長女いづみが中学校に入学した。基本的に全員何らかの部には所属しなければいけないらしく卓球部に入部した。学生時代に私がやっていた卓球部にまさか入るとは思わなかった。休日の活動は、何か事故があったときのために、当番制で父兄も参加する事になっていて、昔の血が騒ぎ、生徒にアドバイスしてしまった。顧問に見つかり、「経験者でしたら練習を見てもらいたい」とお願いされてしまい、軽い気持ちで引き受けた。勤務のない時は当番に関係なく、娘の送迎を兼ねて部活に顔を出すようになり、「千代さん」から「千代コーチ」にあっという間に呼び方が変わってしまった。
 教えるという事は自分でやる以上に難しい。最近、指導するにあたり、特に意識している言葉がある。それは山本五十六元帥の言葉で「やって見せ、言って聞かせて、させて見せ、誉めてやらねば人は動かず」という言葉だ。口先だけでなく、教える技などは自分でも出来る事は勿論で、出来ない事は練習もするし勉強もする。そして自分が出来る技術は子どもたちにも全て出来るようになってもらう為に指導する。そしてできたらいっぱい誉める。
 10代の子供でも50、60の大人でも誉められればうれしいし、もっと誉められたいと思うのが人の常。10回のうち9回失敗し、1回しか成功しなくても、私はその1回を思い切り誉めるようにしている。出来ないのは当たり前で、出来ないからこそ練習するのだ。
 勝つ喜び以上に勝たせる喜びを知ってしまったから後に戻れない気がする。自分自身本物のコーチだなんて思ってはいないけれど、少しでもにわかコーチの指導をありがたく聞いてくれる子供がいるなら、もうしばらく頑張ってみようかなと、最近しみじみ思う。
光陰矢のごとし
久居駐屯地業務隊2陸佐 三浦 芳裕
 私も歳をとったせいか、人生を振り返ることが多くなりました。楽しかった大学生の頃が、つい先日のことのようですが、実際には20年以上前のことなんだなあ……。
 大学を卒業して、大学院で口腔がんの研究をして夜中まで実験用ねずみと向かい合ったころ。大学病院に入り、病棟勤務となり、朝6時から夜中2時までの勤務を繰り返し、ごはんもろくに食べなかったころ。もちろん家に帰る時間がないので、病院内宿舎で寝ていました。手術では長い時は10時間以上かかり、くたくたに疲れながらも、上の先生の雑用に走り回っていました。1日中病院に顔を出さない日などほとんどなく、冗談で同僚と、「中途半端に倒れるとさぼりと思われるから、倒れるときは長期入院が必要と思われるくらい思い切り倒れよう」と言い合っていました。
 今になって思うと、このころが今までの人生の中で一番辛かったが、充実した時期だったと思い返されます。私も歯科医官として自衛隊に入隊以来11年が過ぎましたが、ここ数年は、1日1日が最もあっという間に過ぎていきます。これからの貴重な日々を悔いの残らぬよう健やかに過ごしていきたいと考えている今日この頃です。
とことん猫に夢中
第6司団司令部(神町)3陸曹 千葉 瞳
 我が家には猫がいる。名前を静馬という。
 駐屯地で生まれた彼を引き取り、早6年。すっかり図太くなってしまった。
 美人のひざには乗るが、飼い主のひざには絶対に乗らない。私のひざに乗ったことなど一度もない。3000円のクッションを当然のような顔で独占している。
 そんな可愛げのない態度に思わず「誰のおかげでメシが食えると思っているんだ!」という言葉が出そうになるが、食事皿の前で鳴かれるとつい「はい、ご飯だよ」と、笑顔になって猫フードを出してしまうのが情けない。
 とことん猫に夢中である。

「頑張っています」新しい職場
活躍するOB シリーズ
県南環境保全センター(株) 鳥谷部 聡
鳥谷部氏は平成22年5月、第38普通科連隊を3陸佐で定年退職。54歳

 ここ数年、青森県の有効求人倍率が全国最下位と低迷している厳しい雇用環境の中、青森地方協力本部(八戸地区合同援護調整所)の皆様方のご尽力により、同県十和田市にある県南環境保全センター株式会社に就職することが出来ました。
 弊社は、浄化槽設置や浄化槽維持管理、一般・産業廃棄物の収集・運搬、ビルメンテナンス並びに有機性肥料の製造・販売など、十和田市周辺住民の生活に密着した業務を幅広く営んでいる会社です。
 入社後に私に与えられた職務は、営業企画室主任という重職で、企画からセールス、顧客のデータ管理や入札及び入札の書類準備等の多岐にわたる業務であり、初めは判らないことがたくさんありましたが、上司や同僚からのご指導を頂きつつ、入社できたことを光栄に思いながら、期待に応えるべく日々勤務に励んでおります。よく会社は利益の追求を第一として考えると言われますが、利益計算などしたことのない私は理解できないところが多々ありました。しかし、ある日の朝礼において、「何人が何分集まれば何円にあたる」という話を聞いて、まさにタイムイズマネーであると感じ、早くこのような思考や尺度で仕事をできるようにならなければいけないと実感しているところです。
 入社して数ヵ月経ちますが、これから再就職される隊員の方に対し、私から一つだけ助言させていただくとすれば、「将来を良く見据えて資格を取得すること」を勧めます。私が再就職を考え始めた時、大型自動車免許しか無く他の免許取得に関してもあまり気乗りしないところがありましたが、地方協力本部や部隊の援護担当者の勧めにより乙4種危険物と貨物輸送管理者の資格を取得しました。
 後日、援護担当者から資格を取得していたことが採用の決め手になったと聞かされ、資格取得の大切さを実感したことを覚えています。
 今後は、自衛隊と社会との良きパイプ役として、防衛基盤育成の一助になれるように、職務に精励していきたいと考えております。


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