防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2010年8月15日号
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寄せ書き

メンタルヘルス
海田市駐屯地業務隊(海田市) 臨床心理士 玉川真理
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 海田市駐屯地では6月24日に部外講師の先生によるメンタルヘルス教育が実施され、医務室で臨床心理士として勤務している私も参加させて頂きました。この教育は今回で4回目になりますが、部隊から希望テーマを募り、毎年多くの方が参加されています。
 「服務指導とカウンセリングの両立は難しい」「どうすれば隊員の心の中や悩みを掌握できるか」「自分は経験が無いから不調者が理解できない」「どう関わるのが良いか」などメンタルヘルスや心情把握、不調者の理解が難しいという声をよく耳にします。今回のテーマはそれらに答えるような内容ですぐに役立つ技法や難しい心理療法のコツを易しく面白く、実際の事例や実験を交えた教育でした。
 特に勉強になったのは、「ちょっと千円貸してと言われると、いつ返してくれると思いますか?」という問いで、当日返してくれると思った人、翌日返してくれると思った人、一週間ぐらいで返してくれると思った人、返らないと思う人など、少数意見も含めるとかなり色々な意見があるという講話でした。講話の内容もさることながら、先生の話術が素晴らしく、私も無意識に引き込まれていて、私にとっては教育法の勉強にもなりました。会場はなるほど〜という雰囲気に包まれテンポ良く講義が進みました。昔マインドコントロールという言葉をよく耳にしましたが、教育の中では人の心に取り入って利用するというゾッとする実話もありました。詐欺師などは、ベテラン顔負けのカウンセリング技術を使い、人の心に取り入り都合のいいように利用します。私も以前、カウンセリングは宗教みたいだと言われ、傷心した経験があるので身の引き締まる思いで聞きました。
 教育の半分は実践訓練で、2人ペアになり様々な課題に基づいて傾聴訓練を行いました。上手な質問の使い方も教えて頂きました。話を聞き出す質問、話をガイドする質問、未来志向にさせる質問など、専門家として毎日相談を受けている私にとって有意義な教育内容でした。服務指導にもメンタルヘルスにも大いに役立つ内容でした。内容が充実していた分、疲労困憊でしたが、参加者からは「これから自信を持って服務指導できる」「人の話を聞く事の難しさを体験しました」などの声が聞かれ、参加者は傾聴の有用さと難しさを実感したようでした。
 私は人の心や人生に関わる仕事をしています。相手の立場や幸せを考えた関わり方をしていかなければと思います。積極的に声をかけ、相手を思いやる気持ちを大切にする。その気持ちと行動が悩みを持つ人を救い、良い方向へ変容させるのではないでしょうか。
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イタリア新婚旅行
第15普通科連隊(善通寺) 3陸曹 福島楠生
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 4月23日から5月2日までの10日間、新婚旅行でイタリアに行ってきました。出発前、アイスランドの火山灰の影響で、ヨーロッパの空港は閉鎖され、今回の旅行は半ば諦めていましたが、出発2日前に火山灰の状態は落ち着き予定通りイタリアに向け出発することができました。
 無事に最初の目的地であるミラノの空港に到着し、市内へ移動する際に目に飛び込んできたものは、古代ローマ帝国時代から続く美しい石造りの彫刻が施された教会、大聖堂、オペラ座等の建造物の数々です。
 歴史的建造物はどこの街でも至るところで見られ、その美しい街並みもさることながら、陽気でおしゃべり、そしてちょっといいかげんであるというイメージ通りのイタリア人という国民にふれ、正にカルチャーショックでした。これらの経験は非常に新鮮で貴重なものになりました。皆さんも是非、機会を見つけて触れたことのない世界に触れてみてはいかがでしょうか。
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「A・B・C」
第33普通科連隊(久居) 3陸佐 柿元隆浩
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 「ABC」アルファベットです。その意味するところは、「A‥当たり前のことを、B‥バカになって、C‥ちゃんとやる」となります。これは、経営コンサルタントである小宮一慶氏の著作であり、読んだことのある人もいるかと思います。
 この「ABC」私自身上司からよく指導されたことであり、使ったこともあります。ただ自衛隊で使用するときは、Bの部分が若干変化して使われることが多いようです。「当たり前のことを、バカにしないで、ちゃんとやる」といった具合です。一見、「バカになる」と「バカにしないで」は、相反するように思われるでしょうが、その本質は、同じだと思います。
 入隊以来30年、よく指導されてきた言葉に、「状況に入れ」「状況の人となれ」と言われ続けてきたような気がします。訓練だとバカにしないで、バカ(真剣)になって状況に入る。残念ながら、当たり前のことが何であるかを見極めることは大変難しいと思います。それには、経験と知識は勿論、助言や指導に素直に従うことも必要になります。
 やってはならないことは、絶対にしない。日々の生活・勤務に「ABC」の習慣を取り入れ、お互いに頑張りましょう。きっと、明るい未来が待っているはずです。
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零細時間の活用
第12普通科連隊(国分) 陸士長 坂元雄太
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 駐屯地でリラックスできる場所はどこでしょう?営内者なら自分の居室、営外者は営外室でしょうか?厚生センターの売店や食堂、隊員クラブ、中には医務室という方もいるでしょう。意外な所でトイレがあるのではないでしょうか。
 仕事の合間のホッとするひと時でしょう。国分駐屯地では、零細時間の活用の観点からトイレに各種掲示物を掲示しています。健康管理、一般教養、各種標語から、我々自衛官は勝負人なので、「勝負に勝つには」等々掲示しています。
 このわずかな時間が功を奏したのか駐屯地では所在部隊の多くが優秀部隊として表彰され、また多くの隊員が優秀隊員として表彰され、入学時から成績優秀で卒業して、大きな事故もなく日々南海の防人として大粒の汗を流しています。
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ガーデニングに夢中
第38普通科連隊(八戸) 陸曹長 山崎 浩
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 私は趣味があまり多いほうではありませんが、マイホームを建てたとき家の庭に植える植物を沢山先輩からもらい、それがきっかけでガーデニングに夢中になりました。
 最初は、貰った植物の名前もわからなく、花図鑑を見て育て方を勉強したり、知人から教わったりしました。今では自分の知識を生かし、植物を育てています。
 時には、失敗して枯らしたこともあります。でも、同じ間違いをしないよう植物の名前ごとに育て方を一覧表に作って参考にします。
 植物は育てる人が一生懸命世話をすることにより、恩恵を返すかのようにきれいな花を咲かせ、心を和ませてくれるので大好きです。
 5年くらい前から妻の実家の畑を借りて、ジャガイモや枝豆などの栽培をしています。沢山収穫して、友人にあげると喜んでくれます。今後も、妻と2人で健康に注意しながら楽しく、ガーデニングや、野菜作りをしていきたいと思います。

「頑張っています」新しい職場
活躍するOBシリーズ
福岡豊築農業協同組合 菊本 徳光
菊本氏は平成20年12月、第8航空団を3空佐で定年退職。55歳
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 私は、サザエさんのJAバンクでおなじみのJA(農協)に再就職しました。
 自衛官の頃は、転勤が多く単身赴任で家族と離ればなれの事もあったため、定年後は自宅から通勤できる仕事に就きたいと希望していました。リーマンショックで求人が激減する就職環境の中、援護担当者からJA福岡豊築 築城カントリーエレベーターを紹介されました。農業に全く縁のなかった私は、不安もありましたが配置先の前任者が偶然私の先輩であり、定年後67歳まで勤務したことを知り就職を決意しました。
 カントリーエレベーターの仕事は、農家の方々が育てた米や麦を預かり、荷受時ばらばらな穀物の水分を均一(米は14〜15%)にし、出荷まで長いものは1年間サイロに保管管理する仕事や、荷受、乾燥、貯蔵する段階でごみや埃で汚れた機械を整備する仕事、そして、袋詰めした米等をパレットに積み下ろしする仕事などがあります。農繁期には土日無しなど楽ではありませんが、「石の上にも3年」と自分に言い聞かせ1年が過ぎました。今では仕事にも慣れ、実務経験を積んで取得する各種資格の取得に向け頑張っています。
 自衛隊退職者は、今後3年がピークと聞いています。これから退職される方々は、仕事を選り好みしていられない時代になるかもしれません。どんな仕事に就くにせよ重要なことは健康です。入社試験で身体検査をクリアし自衛隊より労働環境が厳しい中で働くために、在職中に悪い所を治し健康な体を維持しておきましょう。
 当JAでは、現在私以外に保険、ガソリンスタンド、農機センター等で6名の自衛隊OBが活躍しています。自衛隊で培った知識、技能、体力、精神力そして真面目で高い勤労意欲は、企業でも活かされ中核となって働く存在になると思います。
 これから退職を迎える皆さん、健康管理に留意し自信をもって来る退職に備えましょう。


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