防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2009年4月1日号
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渡邊中央病院長挨拶
(新中央病院落成式)
「超一流の病院に育て上げる」
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 本日は、ご多忙中にも関わらず防衛大臣、統合幕僚長及び各幕幕僚長そして多数のご来賓のご臨席を賜り、新自衛隊中央病院の落成式を挙行できます事は病院職員一同の深い喜びとするところであります。
 平成8年に院内において新病院建替え基本構想を検討し始め、経済情勢の激しい変動の波に揉まれながらも多方面の方々のご尽力に支えられて、起工式から5年の歳月を経て、本年1月末に新病院完成、4月に開院の運びとなり、この日を迎えるまでに注ぎ込まれたエネルギーと新病院に対する期待の大きさに身の引き締まる思いがしております。
 古い資料を紐解きますと、日本全体がまだ戦後復興の最中で自衛隊発足直後の昭和29年に起工して、昭和31年に開院した現在の自衛隊中央病院は陸・海・空三自衛隊の共同機関として設立され、当時としては斬新な建物と最新鋭の設備を誇り、「東洋一の病院」と言われ国内外から見学者が絶えなかったと聞いています。これまでの病院は、開院後50年間、自衛隊衛生の中核を担い、高い治療成績と研究実績を挙げてきましたが、50年という時の流れは建設当時の「東洋一の病院」にも重くのしかかり、施設の老朽化及び、最近の医療機器の精密化・大型化に耐えられなくなり、隊員及びその家族に対する医療の質的向上と50年前には付与されていなかった新しい任務への対応を図るため中央病院が建替えられ、ここに目出度く完成されました。
 ここに至るまで、厳しい予算環境の中、構想具現化にご尽力頂いた内局及び各幕防衛部・装備部の方々、建物の計画・設計から建築作業・監督に携わって頂いた北関東防衛局及び建設企業の方々、防衛という特殊環境に対応できるように電子カルテを始め最新のシステム・機材のカスタム化に協力頂いた関係各企業の方々に対して心から感謝申し上げます。
 実際に新病院内へ病院職員が足を踏み入れてから、まだ、1ヶ月半しか経過しておりませんので、我々職員が一日も早く新システムに習熟し、4月1日に無事開院出来ますように現在鋭意努力中であります。
 新病院は阪神大震災クラスの自然災害にも耐えられる構造となり、如何なる状況下でも診療活動の継続が可能となりますが、開院後は新病院の基本理念である「信頼される近代的な病院」「自衛隊病院の中核として最新医療技術を保有する病院」「大規模災害等の危機に強い病院」の達成に向けて継続的に努力します。
 自衛隊中央病院という新しい看板を掲げた建物は、まだ単なる病院の形をした新しい建物・新しい設備でしか有りません。この病院に魂を入れ、血を通わせ、様々な任務を遂行する自衛隊員の信頼に応えられる最高の医療を提供出来る病院へと我々病院職員が育て上げて行くのが我々の使命でありまた喜びであります。そして、今後、どのような事態にも対処できる陸・海・空三自衛隊衛生の最終・最高の病院として国民の負託に応えられる、「自衛隊員による、自衛隊員のための、自衛隊病院」にしてゆく所存であります。
 新たなる自衛隊中央病院の船出に際し、この病院を超一流の病院に育て上げる決意を表明すると共に今後とも尚一層のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げまして挨拶とさせて頂きます。


ゴラン高原から
防大53期生卒業生へ
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 防大53期卒業生に対して現在、ゴラン高原で任務遂行中の第27次ゴラン高原派遣輸送隊長の高木真一3陸佐(41期)と、UNDOF(国連兵力引き離し監視隊)司令部副広報幕僚の森谷尊久1陸尉(45期)の両先輩からメッセージが寄せられましたのでご紹介します。
ゴラン派遣輸送隊長 3陸佐 高木真一
 防大53期の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 現在、私は、ゴラン高原派遣輸送隊(第27次要員)隊長として、中東のゴラン高原で、北海道道東に所在する第5旅団を主体とし、全国各地から集まった42名の隊員達とともに国際連合兵力引き離し監視隊(UNDOF)で日本の代表として日々任務を遂行しています。
 UNDOFは、第4次中東戦争後の1974年にイスラエルとシリア間の兵力引き離し及び停戦監視を目的とし設置され、約35年の長期にわたり続く、伝統的な国連PKO活動です。現在は、主にオーストリア、ポーランド、インド、クロアチア、日本から派遣された約1200名の軍人等から構成されています。このうち日本隊は、インド大隊とともに後方支援大隊の一部として、生活物資等の輸送、道路の整備・補修・除雪、故障車両の回収等の任務を実施しています。
 日本隊は、平成8年の第1次隊派遣以来、これまで約13年にわたりゴラン高原において任務を続けています。この間、過去派遣部隊の高い士気、厳正な規律維持、高レベルの仕事の質に対して、UNDOF司令官及び参加各国から高い評価を得るとともに揺るぎのない信頼を獲得しています。本年3月、我々は、第26次要員から任務を引継ぎ、本格的にゴランの地で活動しているのですが、日々の活動を通じて日本隊に対するUNDOFの期待の大きさをひしひしと感じています。
 それでは、なぜ現地においてこのように高い評価及び大きな期待を受けるのでしょうか?その理由は、国内における平素の教育訓練にあります。私は、第1次イラク人道復興支援群の警備中隊運用訓練幹部としての海外派遣の経験がありますが、当時も任務を遂行しながら日頃の教育訓練の重要性を強く感じました。イラク派遣とゴラン派遣では派遣形態が違うのですが、日常の教育訓練の重要性は、全く変わりません。私を含む43名の隊員は、これまで各々の第一線部隊において厳しい教育訓練を実施してきましたが、日々の厳しい教育訓練を通じて心身に染み込んだ任務を絶対に完遂するという強い気持ちと様々な任務を高い質で完遂する識能・技能が、ゴラン高原で十二分に役に立っています。参加各国と比較して、自衛隊の教育訓練及び隊員の能力は、高いレベルを有していることをゴランの地で実感しています。
 私は、平成5年4月から平成9年3月まで本科第41期生として小原台で過ごしました。平成4年に国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律が制定され、私が在校間にカンボジア国際平和協力業務、モザンビーク国際平和協力業務、ルワンダ難民救援国際平和協力業務、そしてゴラン高原国際平和協力業務等への参加が始まりました。それから現在に至るまで、自衛隊は、様々な国際平和協力業務に参加し任務を完遂してきましたが、現在唯一の海外派遣部隊として任務を継続しているのが、このゴラン高原国際平和協力業務です。
 在校間、自衛隊が本格的に海外任務を開始したことについて知ってはいましたが、当時はまさか自分が隊長としてゴラン高原で任務を遂行する事になるとは、夢にも思いませんでした。現在、隊長として42名の陸・海・空の隊員を統率しています。私の統率の基盤となっているのが小原台の4年間で経験したことです。私は、部隊勤務において指揮官としての心構え等を上司からの指導、同僚からの助言そして日々の隊員との教育訓練を通じて学んできましたが、その原点となっているのが、防大の教育、校友会活動及び学生隊舎生活で学んだリーダーシップであると思っています。
 当時切磋琢磨した同期とは陸・海・空を問わず今でも連絡を取り合っています。今派遣直前にも多くの激励の言葉や激励品をもらい、あらためて同期の有難さを感じました。現在UNDOF司令部要員として勤務している服部真之介3等陸佐も同期であり、互いに連携し、助け合いながらゴランの地で任務を遂行しています。53期生の皆さんも4年間の小原台生活を通じ、生涯切磋琢磨していくことができる多くの同期を得ることができたと思います。卒業後は各々の道へ進んで行くとは思いますが、どうか同期の絆を大切にしてもらいたいと思います。
 これから陸・海・空の幹部候補生学校へそれぞれ進み、その後全国各地の部隊に配置されることになりますが、何も不安に思う必要はありません。部隊には皆さんの赴任を心待ちにしている多くの隊員がいます。部隊では、初めてのことで戸惑うこともあると思いますが、「一歩前へ」の精神で積極的に挑戦してください。私は、そのような姿勢で日々の教育訓練等に励み続けることで隊員の心を動かし、皆さんの思い描く理想の部隊を育成していくことができると思います。
 最後になりますが、改めて御卒業おめでとうございます。部隊で皆さんと共に精強な部隊を育成し、様々な任務を完遂していくことを楽しみにしています。
防大での経験 1陸尉 森谷尊久
 防大53期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 私は、UNDOF(国際連合兵力引き離し監視隊)の司令部で副広報幕僚として勤務しています。UNDOFは、イスラエル、シリア間の停戦維持等を任務とし、オーストリア、クロアチア、ポーランド、インド、日本等から派遣された要員からなる部隊です。
 こちらに来て私がまず実感したのは、勤勉かつ誠実な日本隊の活動への他国及び現地の人々からの評価の高さであります。これは、過去13年間、先輩方が築き上げた成果であり、その偉業を誇りに思うとともに、非常に身の引き締まる思いです。
 そんな私が今最も強く感じているのは、防大4年間で学んだ「廉恥、真勇、礼節」の大切さです。日本人の勤勉かつ誠実な態度は、世界中の人々に愛され、また評価を得ています。国際活動に参加することにより、改めてその大切さを学ぶことができました。私は、防大45期生として卒業して、早いもので8年が経ちました。しかしながら、同期とともに切磋琢磨して、泣いたり笑ったりした4年間は、今でも私の宝であり誇りです。
 これから皆さんは、幹部自衛官として陸・海・空それぞれの部隊で勤務し、当初は、未知なことに戸惑いや不安を感じるかもしれません。しかしながら、苦しいときは防大を思い出してください。皆さんが日本そして世界の平和のため、幹部自衛官として活躍されることをゴラン高原の地から祈念しています。

家庭のひろば
安全車間距離保持「0102運動」(ゼロイチゼロニ運動)
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 『広く国民に交通安全思想の普及・浸透を図り、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるとともに、国民自身による道路交通環境の改善に向けた取り組みを推進することにより、交通事故防止の徹底を図ることを目的』とし、今年も「春の全国交通安全運動」が平成21年4月6日(日)から4月15日(水)の間行われる。
 そこで、追突事故の抑止効果が立証された「0102運動」を紹介したい。平成18年から埼玉県警が行っているこの「0102運動」。前車との安全な車間距離を「何メートル」ではなく「何秒」と時間(秒)でとらえることで簡単に安全な車間距離を確保しようというもの。やり方はいたって簡単。前車が道路上の自分で決めた目標物(電柱・標識等)に差し掛かったとき「ゼロ・イチ・ゼロ・ニ」と数えはじめ、「ニ」の時に自分の車が目標物に到達できれば、安全な車間距離(2秒)だ。これによって、埼玉県内では平成19年には11523件だった追突による人身事故が平成20年は10505件になった。
 環境にもやさしくエコドライブにもつながる安全車間距離保持「0102運動」。あなたも試してみませんか。


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