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   2007年12月15日号
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《論陣》
破綻している日本の財政
財政家不在も深刻な事態
 日本の借金はどれくらいであろうか。自己の負債を承知している日本人でも、国や地方自治体の借金には概して無関心なようである。しかし、借金すると、それを支払う能力がないと個人なら自己破産だし、企業だと倒産である。国はどうか。
 近年ではアルゼンチンがその典型といわれてきているが、この場合、IMFのお世話になってしまう。先ごろ、北海道の夕張市が破綻したが、国が関与して厳しい条件を突きつけ、有無を言わせずに実行させる。市長や議員の給与は半減されるだろうし、一般職員も給与の削減どころか、やめさせられるものも出てくる。福祉・教育も削られる。当然だろう。収入に合わせて予算の執行をするのだから。
 さて、日本丸はというと、借金の総額を830兆円と政府は公表している。「特別会計とか独立行政法人の赤字を加えると、気が遠くなる」と専門家は指摘している。どえらい借金額なのである。
 小泉内閣は「改革」を叫んできたが、その実、毎年30兆円の借金、つまりは5年間だと150兆円の負債を抱え込んできたわけである。30兆円を借金して80兆円の予算を編成してきたわけだ。こんな深刻な財政の先進国は日本以外にはない。830兆円にしても年間予算の10倍を超えている。夕張市なんてものではない。国として破綻している、と決め付けられるゆえんなのである。
 「隠れ借金や地方自治体のそれを合算すると、もう軽く1000兆円を超えているだろう」と事情通は当たり前のように語っている。
 他方、世の中は大分怪しくなってきているものの、以前とそう変わらない生活をしている国民も少なくない。どうしてかというと、この1000兆円の借金が補完してくれているのである。
 それにしても、国や自治体の借金をどうするのか。放置して済むのであれば、いくらでも借金をすればいいのだが、そうは問屋が卸さない。返却しないと国が倒産してしまうのである。IMFのお世話になると、これはもう一大事である。円というお札は紙切れ同然になるだろう。
 預金生活者は皆破綻、一家路頭に迷うことになる。国は年金を支払う能力がないのだから、さしずめ敗戦後の日本のような深刻な事態が起きるかもしれないのである。借金額が大きいだけに消費税を5%から10%にすれば、なんとかなるという話ではない。
 85年からおよそ5年有余も継続したバブル経済政策とそれが原因となった崩壊が、日本経済を破綻させてしまったのである。これによって1000兆円が消えた、とされる。以後に景気対策と称して歴代の政府は借金に借金を重ねてきた。
 本来であれば、大掛かりな行政改革を断行して歳出を削減すべきであったが、不幸にしてそうした指導者が現れなかった。米国の双子の赤字のとき、クリントン政権は公務員を数十万人も辞めさせ、国内の軍事基地を閉鎖した。その一方でIT産業を立ち上げて経済の再生を果たしたものである。
 アメリカの試練を日本も見習うべきであったが、どうしてかそうしなかった。日本に本物のエコノミスト・財政家がいなかったのだろう。返す返す無念である。遅れているが、しかし、やらざるを得ないのだ。筆者は米国のIT産業は、日本だと電気自動車ではないか、と考えている。
 クリントンのような強い指導者が出てくるのか、それともアルゼンチンのようなIMF管理体制に入る日本なのか。もう手遅れかもしれないが、それでも前者に希望をもっていきたい。

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