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   2007年9月1日号
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日米衛生協力充実図る
ハリーボーランド少将、折木陸幕長を表敬
  ハリーボーランド少将が昨年8月、欧州地域衛生コマンド・ランドストゥール陸軍医療センター司令官兼欧州陸軍軍医総監(欧州地域衛生司令官)から、太平洋地域衛生コマンド・トリプラー陸軍医療センター司令官兼太平洋陸軍軍医総監(太平洋地域衛生司令官)に着任した。ハリーボーランド少将は、産婦人科の医官で女性兵士の健康管理に関する第一人者。
 これに伴い、今年8月20日、ハリーボーランド少将が折木良一陸上幕僚長に対して着任表敬した。折木陸幕長は、着任に対する祝辞と表敬に対する謝辞のほか、ハリーボーランド少将が欧州地域衛生司令官時代にドイツのランドストゥール陸軍医療センターで陸上自衛隊員に対し適切な入院治療をしてもらったことに関しても謝意を述べた。また、太平洋地域での特性や陸上自衛隊でも女性隊員が6000名を超えたことを踏まえて、国際平和協力活動等や対テロに対する衛生分野での協力態勢の重要性及び女性隊員の管理要領についても言及した。
 ハリーボーランド少将は、千先康二陸幕衛生部長からのブリーフィングに感銘を受けたことや、衛生関連での日米協力態勢の充実化の具体的提案、女性隊員の管理に関するマニュアル等の提供について言及した。見送りの際には、「市ヶ谷滞在期間は非常に短いものでありましたが、非常に有意義な訪問であった」と語り、ハワイへの帰途についた。
 今回の表敬訪問により、米国陸軍と陸上自衛隊の相互理解が深まり、信頼関係がさらに醸成された。

帰国3周年祝う
イラク復興業支隊
 8月7日は3年前に佐藤正久隊長(当時、現・参議院議員)率いるイラク復興業務支援隊の第1次要員が帰国を完了した記念すべき日であり、去る8月7日、当時の仲間がグランドヒル市ヶ谷に集い、久しぶりの再会を果たした。今回集まったのは首都圏に勤務している約30名で、各人は近況を報告するとともに思い出話に花を咲かせた。
 途中、参院初登院を終えた佐藤隊長が駆け付けると盛り上がりは最高潮に達し、大盛会のうちに終了した。
 会終了後、派遣当時に通訳として勤務した山根和明3佐(現・陸幕)は「隊長はイラクでも現地住民の方々のために奔走していた。これからは国民のために奔走し、改革を進めてくれるはず。みんなで応援しています」と語っていた。

「史実の継承は責務」
《大湊海曹会》
 大湊海曹会は7月16日の「海の日」、大湊水交会(粕谷 豊会長)主催の大湊上町常楽寺で行われた海軍戦傷病没者慰霊祭に参加した。
 寺には、軍艦「常盤」と駆逐艦「柳」乗組員及び大湊地区出身戦傷病没者の御霊が祭られている。この地では、終戦を目の前にした昭和20年8月9日の戦闘等があり、その時「常盤」がとった行動は大湊要港と大湊の民を救った偉業とされ、大湊町長が発起人となり昭和27年に常楽寺境内に「海軍戦傷病没者留魂之碑」が建立された。碑の下に「常盤」と「柳」合わせて125名の遺骨が眠っている。同日早朝、「常盤」は、敵機来襲の情報を受けるや直ちに誘発から、二次被害を避けるため、800K機雷約3000個を海中投棄した。その後午前6時30分、米機動部隊艦載機は、大湊湾上空に進入、2日間にわたり戦闘が行われ、「常盤」は大破し、乗組員109名(大半が九州、四国出身者)が戦死し遺体は常楽寺に運ばれ火葬されたのである。
 国を想い、郷土や家族を想い、人生の道半ばにして大湊で散っていった英霊に対し、この機会を通じて慰霊できたことに、隊員として、また地元に住む者として感謝の念と、自分の職務に対する責務完遂を改めて肝に銘ずるものであった。慰霊祭の後には、大湊音楽隊による演奏が行われ慰霊の音色を空に響かせた。
 慰霊祭は大湊桜美会から大湊水交会が受け継ぎ今年で13回を数える。
 2年前、地元の大湊小学校の学芸会において、「芦崎炎上」と題して「常盤」の史実が舞台披露された。来場者に大きな感動を呼んだという。教科書に載っていない地元の歴史を子供たちに教えていることで、「戦争の悲惨さ」と「国を愛する心」を、この劇から子供達も感じとったのではないだろうか。
 「私たちは何不自由ない平和な生活を送っているが、半世紀あまり前の戦争の事実を正しく認識し、決して風化させることなく後世に伝える義務と責任がある」と大湊水交会会長の慰霊の言葉にもあったように、海曹会では地元の史実の継承は地元に所在する隊員自身の責務であるとしている。

《大湊地方隊》
ネブタ「国引き」に入魂
 大湊地方隊では、伝統のネブタの「入魂式」を行った。昭和39年の「船弁慶」以来毎年参加・運行している大湊ネブタ祭りへの海上自衛隊の参加作品の制作は、今年度で45回目となり、従来の大地隊各部隊による紙貼り作業支援を得て制作は進められた。
 式は7月31日、制作担当である大湊造修補給所(所長・出水裕久1佐)工作部本工場で行われた。入魂式は、武田大総監、永田幕僚長、ネブタ実行委員長の原口大警司令、鈴木大基業司令らを迎え、工務科長の司会により工作部長から順次墨入れを行い、最後に総監が八束水臣津野命(ヤツカミズオミズヌノミコト)の右の瞳に墨を入れ入魂が終了し、ネブタが完成した。
 今年度の作品は、昨年度に引き続き工作部武器工作科・寺嶋三津男技官がネブタ師となり、題材を「出雲の国の国引き神話」に選定し、次々と土地を引き寄せ出雲の国を大きく立派にした命(ミコト)が、海を隔てた国に余った土地を見つけ、鋤を打ち込み、太い綱を掛け国を引き寄せている場面を表現した。
 このネブタは、海上自衛隊のネブタとして8月の第一金曜日に運行され、最終日の5日は町内会等の11台のネブタと共に合同運行された。大湊ネブタ祭りは122周年を迎える歴史と伝統を誇る夏の風物詩である。

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