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   2007年8月1日号
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北陸5ケ所で巡回演奏
《東音》
人気高く、開場前から長蛇の列
地元学生に演奏指導も
 東京音楽隊(隊長・熊崎博幸2佐)は、6月上旬から7月上旬にかけて北陸3県と滋賀県で演奏会を行った。
 この演奏会は、毎年東京音楽隊が自主広報として全国を舞台にして実施しているもので、今年は、富山県高岡市(高岡市民文化会館)、石川県金沢市(金沢市観光会館)、福井県の福井市(福井ハーモニーホール)及び敦賀市(敦賀市民文化センター)と続き、最後は、滋賀県大津市(びわ湖ホール)で行われ、合計5カ所での巡回演奏となった。どの演奏会場も開場前から長蛇の列となり、東京音楽隊の人気の高さが伺われた。
 演奏会は2部形式で行われ、第1部は「華麗なるブラスの響き」と題して、K.ヘスケス作曲の「マスク」などの吹奏楽のオリジナル曲や、地元出身隊員の独奏曲などを演奏し、吹奏楽の醍醐味を味わえる内容となった。
 第2部は「永遠のスタンダードナンバー」で、一転して華やかなステージとなった。特に福井ハーモニーホールでの演奏会では、地元で活躍中のサクソフォーン奏者・白井淳夫氏をソリストとして迎え、地元に密着した印象の強い演奏会となった。プログラム最後の曲「マンボ・イン」を演奏すると、会場から手拍子が始まり、演奏会のテンションは一気にクライマックスへと達していった。
 プログラム終了後も拍手は鳴り止まず、熊崎隊長は、アンコールに応え行進曲「軍艦」やトリステーザを演奏、閉演後も生演奏で味わった迫力と熱気はなかなか冷めないようで、来場した聴衆は、曲の感想などを口々にしながら帰路についていた。
 東京音楽隊は巡回演奏のほか、地元の学生に対し模範演奏、公開リハーサルや演奏指導なども実施し、交流を深めた。

松空で「能」を鑑賞伝統文化に浸る
 海自小松島航空隊(司令・大原義英1佐)では、6月15日に「能」を鑑賞した。
 これは、徳島県防衛協会理事であり徳島県能楽振興会副理事長である岡多美子氏の協力と、大阪在住の山本博通氏(観世流シテ方)他7人の先生方の好意により開催されたもので、小松島航空隊員はじめ、同隊の協力団体である松空会会長の菊野季彦氏や隊友会、地元小中学生を含む計420人が「能」を鑑賞した。
 「能」は、小学校の国語や中学校の音楽にも取り上げられており、同隊の地元である小松島市和田島地区周辺の和田島小学校と坂野小学校の全6年生並びに坂野中学校の全1年生計193人が学校教育の一環として参加した。
 はじめに「能」についての説明が行われた後、謡について山本氏から説明があり、全員で「羽衣」を腹の底から謡った。続いて、小鼓、大鼓等その他のお囃子についての説明があり、隊員を含む小中学生たちは演者の先生方から直接手ほどきを受けながら、実際に演奏を体験した。また、「羽衣」装束付けを説明とともに実演された。最後に日本の伝説として語り継がれている「羽衣」が披露され、笛、小鼓、大鼓、大鼓及び地謡のお囃子の中、鳴門市在住の高橋京子氏(観世流シテ方)が天女を演じ舞った。
 能鑑賞は、ほとんどの隊員にとって初めてで、日本の伝統文化「能」鑑賞を通じて、勤務する上での精神的基盤となる我が国の文化についての理解と認識を深めた。

《論陣》
女性隊員を増やせる好機
せめてスペイン並みに

 防衛省に突如、小池百合子さんが大臣に着任した。省の内外で大変評判がいい。初の女性大臣登場の機会に、自衛官に女性をどんどん送り込んだらいい。隊内の空気もよくなること請け合いである。
 想像だが、小池さんの大臣就任に自衛隊少数派の女性隊員が一番喜んでいるはずである。彼女らは、数が少ないために何かと悲哀を味わってきている。通りすがりのジャーナリストにさえも、そうした悲鳴を明かしたりする。「少数派なのだから当然」なのかもしれないが、女性隊員を増やす利益はとてつもなく大きいのである。
 だいたい、この世は男と女が半々いる。最近、中国では男が多くなり、結婚できない男性が沢山出るというが、均衡を欠くと社会も組織も安定しない。儒教の男尊女卑が災いしているのだが、男女平等の誇れる日本国憲法を保持している日本である。全ての組織に女性が半分占めるのが自然である。ましてやペーパーテストをすると、女性上位であることは誰しも承知していることではないか。
 その点でいうと、これまでのところ自衛隊も男性中心で女性隊員が極端に少ない。そのためにセクハラも起きる。某指揮官は「一番気をつけなければならないことはセクハラ対策だ」と冗談交じりに言っていたが、存外深刻なことであろう。
 女性が増えれば、それもなくなる確率が高くなるし第一、職場の雰囲気がよくなる、せめてスペイン並みに女性隊員を18%に引き上げてはどうか。あえて提案したい。
 というのも、筆者には確たる証拠があるからである。
 半年ほど前になるが、関係者と対話する機会を得た。「女性を増やして、なにか不都合なことはあるか」とさまざまな人たちに尋ねてみた。陸・海・空の実戦部隊の中堅幹部の面々に対してである。一人として「NO」という者はいなかった。筆者が接触した隊員に、儒教かぶれはいなかったらしい。みんな近代的センスを持ち合わせていた。
 ただし、少しばかり条件がついた。
 防大出の海上自衛隊幹部候補生は「潜水艦は厳しいかもしれない」という。「どうしてか。能力に問題はあるのか」と問い詰めると、「場所が狭いからだ」と答えた。「狭い場所」が女性にきつい、というのである。肝心の技能は問題ない、のである。
 航空自衛官は「戦闘機乗りは厳しいかもしれない。アメリカではいますが」という返事である。「それ以外の飛行機は問題ない」という。そういえば自衛隊視察のおり、女性パイロットの輸送機に世話になったことがある。
 こうしたごくわずかな例外を除けば、女性隊員はなんでもできるのである。
 余談だが、先ごろ日本を訪問した2006年ノーベル平和賞をもらったバングラデシュのグラミン銀行創設者のムハマド・ユヌスさんは、こんな話をしてくれた。
 「私の銀行の借り手は700万人の女性です。彼女たちは立派にビジネスをやり遂げて利息を払います。97%の借り手が完璧に契約を履行してくれます。つまり女も男も同じ能力の持ち主なのです。差別する制度にこそ問題があるのです」
 ビジネスに限らない。機会を与えれば女性も男性と同じ仕事をすることができるのだ。自衛官さえも務まる、ということなのである。女性隊員の声も同じだった。女性の性格だって仕事柄、専守防衛の日本では光るはずだ。新潟の災害に女性隊員が大挙、救援にかけつける姿を想像してみるがいい。小池さん、考えてみてはどうですか。


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