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   2007年7月15日号
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《彰古館 往来》
陸自三宿駐屯地・衛生学校

シリーズ65
先進的遊動自動車班の活躍
第一次世界大戦の記録(2)

 第一次世界大戦時のフランス陸軍衛生部の救護活動は、現在の戦時医療と比較してもほとんど遜色がありません。
 それ以前の大戦争である日露戦争と比較すると、大きな違いはやはり航空機と自動車の使用が挙げられます。特に自動車は、フォードの大量生産が軌道に乗っていた時期でもあり、連合軍としては、アメリカフォード、イギリスフォード、ルノー、プジョーといった車種が見られます。
 衛生車両として患者輸送車は当然としても、手術自動車、X線自動車がすでに実動しております。
 それどころか、歯科技工車、洗濯乾燥自動車といった現在の医療部隊でも装備化されていない器材まで車載運用されています。
 こうした先進性は、当時の陸軍医務局でも驚きを隠せなかったはずです。連合軍の軍用車両は、民間からの徴用分も含めてざっと17万台が使用されています。その頃の東京にあった自動車はたったの1600台で、しかも国産自動車はほとんど皆無という状態ですから無理もありません。
 軍用車両も、やっとフランス製のトラックを輸入して分解、スケッチのうえコピー車両を数台試作していたに過ぎなかったのです。
 ところが、フランスでは遊動自動車班というシステムが既に確立しており、こうした多種多様の衛生自動車が実際に稼動していたのです。
 こうした自動車の機動力を充分に発揮した医療活動は、残念ながら国産車両が軍用として採用される昭和初めまで実を結びませんでした。しかし、大正年間には、ライセンス生産された軍用トラックで負傷者を輸送する試験が行われた記録写真があります。やはり、この写真集の情報を検討して、衛生自動車の開発が始まったのは間違いないでしょう。


陸自が給水支援
水道水に濁り発生
《北見市》
540隊員を派遣

 6月23日早朝、北海道北見市の広郷(ひろさと)浄水場に大量の濁水が流入した。このため、水道水に濁りが発生、市では水道水の給水を停止した。
 陸上自衛隊第6普通科連隊(美幌)の連絡員2名が午前10時20分、北見市役所に向け出発。以後、市と自衛隊との連絡調整にあたった。
 次いで、10時40分、北海道知事(網走支庁長)から6普連に対して給水に係わる災害派遣要請が出されたのを受け、部隊は、すぐさま人員約20名、車両10両、水トレーラー7両で現場へ向け出発した。
 この日から、撤収要請のあった30日までの8日間にわたって、災害派遣部隊が給水支援を実施した。この間の活動部隊は、▽陸自第6普通科連隊(美幌)▽陸自第101特科大隊(美幌)▽陸自第5後方支援隊(帯広)▽陸自第2後方支援連隊(旭川)▽陸自第2化学防護隊(旭川)▽陸自第5戦車隊(鹿追)で、派遣規模(延べ)は、人員約540名、車両(水タンク車含む)190両、水トレーラー102両、給水量は475・6トンにも達した。


「防衛医学研究センター」発表会
初めて学外で開催 自衛隊衛生幹部集う
創設10周年を機に
激励の声寄せられる

 防衛医学研究センターは、集団を対象とした救命・救急医学を専門的、総合的に研究する組織として平成8年10月に防衛医科大学校内に設置されたもので、五つの研究部門から構成されている。
 今年10周年を迎えたのを機に、大勢の関係者に研究センターの存在意義とその重要性を理解してもらうことを目的に、毎年学内で行っていた研究成果等発表会を、初めて学外で開催することになった。
 5月31日午後1時30分、会場となったグランドヒル市ヶ谷には、陸・海・空幕の各衛生担当者だけでなく、技術研究本部や陸自の研究本部、化学学校の関係者など約90名の聴講者が集まり、会場に用意した椅子が不足し、担当者を慌てさせる場面も。
 また、内局の衛生監をはじめ自衛隊中央病院長、陸幕衛生部長、海・空幕首席衛生官、陸・海・空自の各医学実験隊司令ら招待者のほか、防衛医科大学校からも、早川学校長をはじめ山内管理担当副校長、菊地教育担当副校長、望月診療担当副校長、本年度新設された幹事の赤松空将など、主要幹部全員が出席し、さながら防衛省・自衛隊衛生幹部による「首脳会議」の様相を呈していた。
 発表会では最初に、本年3月まで防衛医学研究センター長であった菊地副校長から、防衛医学研究の概況説明があり、引き続き行動科学研究部門、医療工学研究部門、外傷研究部門の3部門から、それぞれ30分の持ち時間で研究成果等の発表が行われた。
 各研究部門の研究成果等の発表終了後、根本研究センター長から、今後の研究センターの研究取り組みと、今回時間の関係で発表できなかった異常環境衛生研究部門、情報システム研究部門の研究成果等の概要について説明があった。最後に、招待者の方々から今回の発表会に対する多くの激励の言葉が寄せられ、約2時間にわたる研究成果等発表会は盛況裡に終了した。


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