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   2007年3月1日号
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スポーツよもやま話
根岸直樹
頑張れ!森慎二投手
 2月のある日、久々に森慎二投手(33)=西武-タンパベイ・デビルレイズ=に会った。日本のプロ野球はすでにキャンプイン。南国のキャンプ地に出発した後のことだった。
 森は“古巣"の西武第二球場を借りて孤独なトレーニングを続けていたが、寡黙な性格は西武時代にも増して、ただ黙々と体を痛めつけている感じだった。
 入団当時(93年ドラフト2位、岩国工-新日鉄光-新日鉄君津)の二軍投手コーチだった西三雄氏は「必死でやっているのはわかるが、性格が暗い。すぐ考え込んでしまう。もっと明るさがほしい」と話していたが、10年たっても性格は変わっていない感じだった。
 森は昨年、9年間在籍した西武(431試合で44勝44敗50セーブ、防御率4・22)からポスティングシステムを使って米大リーグのタンパベイ・デビルレイズに移籍した。ところが、3月のオープン戦に初登板したとき、たった3球投げただけで右肩を脱臼(右肩関節損傷)して、シーズンを棒に振っている。
 ジョン・マドン監督は「ウチの投手陣に、故障者を抱えておく余裕はない」と契約を解除。それでも2年目、マイナーからの再出発し示唆して、セントビータースパーク(フロリダ州タンパ)で始まったキャンプ参加を認めた。日本での自主トレを終えた森は「ドン底からの復帰? いえ、復帰ではありません。デビューです」と言い残して渡米していった。
 大リーグのファーム組織は3A、2A、A、ルーキーと4段階に分かれているが、3Aの選手は半分がメジャー経験者。残りは順調に育ってきた20歳台の若手のバリバリ。「マイナーというよりメジャー予備軍。昇格競争の激しさは筆舌につくし難い」と関係者は話している。
 その中から、果たして森がどうやって桧舞台に登って来られるのか。最初から戦力として高く評価されている松坂(西武-レッドソックス)や井川(阪神-ヤンキース)と違い、認められなければ今度こそ間違いなく解雇が待っている。
 「桑田さん(巨人-パイレーツ)だって挑戦からのスタート。負けてはいられません。はやる気持ちを抑えて、冷静に、なるべくマイペースで仕上げていければ…。日本での成績なんて、向こうでは1銭にもなりませんからね。基本の真っすぐとフォークを鍛え直して、どこまでいけるかやってみます」。
 西元二軍投手コーチは「向こうへ行ったらまず性格を変えろ。陽気なアメリカンに負けず、明るく振る舞うことも必要なんじゃないか」とアドバイスを贈っている。森は、西武入団の頃、189cmの長身をやっと折り曲げて、小型外車のミニクーパーに乗っていた。「いい給料もらうようになったんだから、もっと大型車に乗り替えれば…」と笑って話したのを、きのうのことのように思い出す。
 ともあれ、背筋をピーンと伸ばし、胸を張って陽気に振る舞い02、03年連続優秀中継ぎ投手に輝いた当時の快投復活を期待し「頑張れ!森慎二投手」とエールを贈りたい。

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(防衛ホーム英語教室)
DON'T COUNT YOUR CHICKENS
BEFORE THEY ARE HATCHED
ドント カウント ユア チキンズ ビフォ ゼイ アー ハッチト
取らぬ狸の皮算用
 Hi! How are you doing? 皆さん、お元気でしょうか。冬にしてはあたたかい日が続いています。通勤途上の公園には、いろいろな花が咲き始め、新芽も出てきています。春の準備が着々と進められていますね。徒然草にあるような冬の朝は、そろそろ終わりなのかもしれません。

 さて、今回の表現は、“Don't count your chickens before they are hatched"「取らぬ狸の皮算用」です。よく聞くことわざですが、北朝鮮をめぐる会議で使われ、あらためて口に上るようになりました。通訳という職業はこういう古典的なことも頭に入れておかねばならず、日々精進が求められます。万が一の確率でずばりと通訳できた時の達成感、充実感は通訳冥利につきるというものです。直訳は、卵から孵化する(be hatched)前に、鶏を数える(count your chickens)な、です。日本語のことわざにたとえると「取らぬ狸の皮算用」になります。

 暖冬でいろいろなところで異変が出ています。インフルエンザ、ノロウイルス等も流行っています。さらに、すでに花粉が飛散しはじめて、花粉症が発生しているとも聞いています。まだまだ寒い日が続くと思います。風邪等の予防に万全を期して、お過ごしください。もうすぐ春です。
 それでは、皆さん。See ya! 〈スワタケル〉

防衛ホーム 俳句コーナー
極寒に連れもどされる夢に起き 神馬 文男
耕人の仏のごとく憩ひをり 戸部 弘美
落椿まだ咲き足らぬ顔をして 石田 和子
揚雲雀(あげひばり)サーカス小屋をはるか見て 村上 作夢
冠(かんむり)を繕ひ母の雛飾る 竹内 宗
寂しげな顔にも見えし雛納む 石田 孝子
ギター弾き老いても楽し花の下 遠藤 風琴
鴨引きて湖にのこりし空の色 水 春生
約束を果たす如く地虫出(い)づ 清水 文江
春芝に座れば小さき子の世界 藤原 あい
人混みに紛れず確と梅匂ふ 藤原 恋水
病む人の心に届け春の風 松村久美子
妻たちのガレージセールミモザ咲く 鈴木 芳江
こきと首鳴らせし空に鴨帰る 佐藤陸前子
淡雪のものに触れては消えにけり 福満千登世
椿落つそのままでよしそのままが 古賀 芳川
藪に咲きそのまま落ちてゐる 椿鶴 たけし
涅槃西(ねはんにし)風父母は心にいつもゐて 原 つたえ
大島の恋の椿の散り敷ける 今井 文和
漕ぎ放すボート吹雪ける花の中 鈴木 吟悠
  選 者 吟
椿落つ刹那を己がものとして 保坂 伸秋
(「栃の芽」誌提供)
「栃の芽」誌をご希望の方は〈栃の芽会連絡先=畠中草史氏電話042・796・0961〉へご連絡下さい。

イラク派遣を終えて シリーズ
空自第11飛行教育団 整備補給群補給隊
3空曹 田中 剛仁
過酷な14kmウォーキングに挑戦
 「クウェートに行けるか?」と小隊長に聞かれたのは、妻が妊娠6ヶ月目のときでした。
 入隊当初は独身で自衛隊という職業柄、海外派遣も強く希望していたのですが、妊娠している妻に不安な思いをさせられない、また、派遣の開始時期は生後2ヶ月という事もあり、子供の面倒を妻一人で見させる事になり、苦労をかけてしまうのではと悩んだのですが、「大丈夫だよっ!」と言う妻の言葉でイラク派遣の覚悟が決まりました。
 私は第9期イラク復興支援派遣輸送航空隊の後段要員として4月中旬〜8月下旬まで勤務しました。うわさでは聞いていたのですが、クウェートに来てみてやはり「暑いっ!」が私の第一印象でした。
 前段者が1ヶ月前から勤務しており、第9期が揃ったのを記念して、補給隊で企画した「アリ アル・サレム基地1周ウォーキング」に参加しました。この企画は「派遣期間中、暑さに負けない!」という目標のもと、1日のうちで最も過酷な日差しが差す正午に、約14kmある基地の外周をウォーキングするものでした。実は後段者がクウェートに来てはじめての休みで、体が疲れていたのですが、前段者がせっかく企画してくれたものでもあり、このコンディションで目標達成すればこの先大きな糧となると思い、両手にミネラルウォーターを持ち気合いと根性で参加しました。
 最初は「ノース地区」までで、まだ見慣れていない基地施設の風景を楽しみながら歩き、また気持ちも充実しているのでわいわい会話しながらの、アッという間の3kmでした。しかしこの暑さと湿度5%以下という極度な乾燥のせいで気がつくとペットボトルの水は1本カラになっていました。これではこの先危ないと思い、長い道のりの事を考えて、水分補給を調整するようにしました。
 約20分の休憩を終えて今度は約8km先の「ロック地区」まで休憩無しで一気に歩きました。ノース地区を越えたあたりから外周道路に入り、風景は、地平線が一面に見えるほど何もないものに変わりました。しかも乾季のせいで緑はなく、風景では気を紛らわせることができないので、一緒に歩いている仲間とたわいのない会話をしながら歩き続けました。この炎天下で会話をし続けることで喉が渇くのですが、先の長い道のりで下手に水を減らすことは出来ません。しかし会話を止めると疲れが出てしまうので、会話も止められないため、とてもつらい状況が続きました。
 しかし道中、この過酷な環境の中で頑張って咲いている花を見つけて、心を癒され、うれしく思い、勇気づけられて、体の奥底から力が湧いてくるようでした。
 ペットボトルには最後の一口を残してなんとか第2休憩所までたどり着きました。そこでペットボトルに残っていた水で最後の水分補給をし、煙草に火を付けてほっと一安心。いよいよラストの3kmに挑みました。
 ここまで来ると、全身の疲労と休憩による脱力感で思うように足が前に進まなかったのですが、ラスト1kmに入りみんなの気持ちも再び上がってきて、ついに約5時間にもおよぶウォーキングを、成し遂げました。
 この過酷な企画を脱落者が出ることなく全員が無事に成し遂げられたのは、「派遣期間中、暑さに負けない」という大きな目標があったからだと思います。また、この企画のお陰で派遣期間中、幾度も50℃を超える暑さに負けることなく無事に任務を遂行でき、大変満足のいく派遣となったのは言うまでもありません。
 最後にこの派遣に対しご支援して頂いた関係部署の方々に対し篤く御礼を申し上げますとともに、職場の方々には業務多忙の中、イラクに快く送り出して頂いたことに対して深く感謝申し上げます。

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