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   2007年2月15日号
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士気高く大空へ
大湊航空隊が初訓練飛行
 大湊航空隊(司令・粟野諭1佐)は1月10日、新年の初訓練飛行を行った。SH-60J哨戒ヘリコプター4機が津軽海峡周辺空域を飛行、部隊の団結と士気を高揚するとともに、安全飛行に向けて決意を新たにした。
 松岡貞義総監らが搭乗したヘリは午前10時前、エプロンに降り積もった雪を吹き飛ばしながら滑走路に移動し、一斉に大空へ飛び立った。陸奥湾上空からむつ市中心部を通過後、津軽海峡上空に出た4機編隊は、雪を抱いた北海道の山並みや、眼下にフェリーなどを見ながら海峡を西に横断。大間町沖、函館市沖、白神沖、松前町、竜飛岬を経由して再び陸奥湾に戻り、約1時間半で基地に帰投した。

寒中水泳大会に隊員74名が挑戦
《海自21空群》
 1月20日、千葉県館山市北条海岸で市主催の「館山湾寒中水泳大会」が開催され、海自第21航空群(群司令・高橋忠義海将補)から隊員74名が参加した。
 この大会は、大正14年1月に旧制安房中学校(現安房高校)水泳部が行ったのが始まりで、今年は60回目を迎えた。当日は大寒の日。正午の気温は6・8度、水温12・3度、北東の風2・2m。温暖な房総半島南端とはいえ肌を刺すような寒さの中、午後1時半「ドーン、ドーン」と威勢のいい太鼓の合図により、館山市内の中高生・社会人を中心に総勢約360名が冬の荒海の中に飛び込んでいった。参加者は各学校や団体毎に円陣を組み、応援歌や校歌を歌いながら寒さに耐えていた。隊員らも一斉に海に飛び込み、全身が浸かった沖合では約10分間にわたり各隊の隊旗を振ったり、円陣を組み「ワッショイ、ワッショイ」と掛け声をかけ合いながら、海上自衛官としての心意気を大いにアピールした。
 また、毎年恒例となっている館山上曹会(会長・須山昭男海曹長)による豚汁が振る舞われ、海から飛び出した中高生らは震えながら駆け寄り、「あったかい」「美味しい」と鍋の周りを囲んでいた。中には2杯、3杯とおかわりをする人もいて、冷え切った体を温めていた。
 参加した隊員のひとりは「心身ともに鍛えられました。これで今年も様々な苦難に立ち向かえるような気がします」と新年の抱負を語った。

《論陣》
国依存体質抜けなかった夕張市
しがらみのない第三者機関で監視を
 北海道夕張市(人口、一万三千人)が本年4月から財政再建団体に転落(=移行)すると発表されたのが昨年10月。以来、全国あちこちの自治体でも、将来、我が身も「夕張化」するかも-と不安と心配をかきたてられている。実際、このままいけば、やがて財政再建団体に転落するとみられる全国の自治体は180余りある。
 ちなみに東京の奥座敷ともてはやされてきた湯の街・熱海市(人口、五万三千人)でさえ、このままいけば再建団体に落ち込む。
 これまで、全国の各自治体は、国営ともいえる産炭事業が消滅したのだから、夕張は特殊事情とみて「対岸の火事」ぐらいにしか考えていなかったのだろうが、熱海にまで火の粉が飛ぶと、どこの自治体も他人事で済まされないほど、夕張や熱海の台所事情を注目している。
 そこで夕張の超赤字自治体に的を絞ってみると、累積赤字632億円。当面分割返済していくのは20年間で360億円。
 この20年分割返済計画にしても、単なる卓上論であって実際には現状の夕張経済をみると、360億円を生み出す根拠はどこにもない。ヘタをすると20年間で返済する前の途中で、夕張市が「廃市」(または「廃村」)になる可能性があり、一般世間や東京で考えているよりももっと深刻だ。
 それではなぜ、夕張はこれほどまで大金の負債をかかえたのだろうか。大きく分類すれば(1)戦前からの「石炭は国策なり」がしみこんで、親方日の丸が存在する限り石炭産業は絶対に潰れないという妄想(2)30年前に石炭エネルギー時代が終わったにもかかわらず政府、与野党とも情にほだされて無闇(むやみ)に石炭を冠にしたわけのわからない観光補助金を毎年出し続けた悪弊(3)1人の市長(故人)が6期24年も続けたワンマン体制に、チェックすべき市議会が形骸化して機能していなかった。(4)さらに(1)に通じることでもあるが、夕張市民も同市長も同議会議員も「喰っていかれなくなれば、国がなんとかしてくれる」という他人まかせの体質。これは明治以来、北海道が中央(東京)から開拓、開発を理由づけにして予算、補助金のぶん取り合戦を演じてきた気質が抜けきれない体質。今そっくり夕張に代表されている。
 時は待たない。本年4月から夕張は市民会館はじめ30の公共施設閉鎖。市民税、上下水道、保育料のアップ。高齢者運賃の補助カット。小(7→1校)、中(4→1校)の統廃合。さらに市長給与7割カット、議員定数18人から9人に半減。
 右のような大ナタ振りは札幌を除くと、北海道の過疎地ではどこでも30年や20年前から実行したものばかりだ。しかし、夕張だけはちがった。ただ漫然とワンジェネレーション(30年)の歳月を過してきたと映る。
 夕張再起の提案としては市会議員は19人そのまま残して全員ボランティア(無料)にすべし。それがダメなら市議会に出席した日数だけの「日当払」がよい。それもイヤならアメリカやドイツのように産炭や貴金属鉱山の役目を終えた地方は「廃市」を勧める。
 米のサンフランシスコ市(人口、200万人余)は市長以下6人の市議会議員でやっていることも参考にしてほしい。また、夕張が今後、9人の市会議員で構成されたとしても、相変わらずの「利権争い」の心配が残る。こうした弊害を阻止するためにも、北都・札幌のしがらみのない大学の教授、ボランティア学長を集め、夕張の財政諮問委員会を作って、第三者による財政のチェック機能を果たすことを勧めたい。

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