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   2006年10月15日号
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萩、見島間で検診者輸送
《佐地隊》
島民の健康維持に寄与
 佐世保地方隊所属の「輸送艇1号」(艇長・大浦正宝1尉)は8月9日、11日の両日、萩市からの依頼による萩・見島間の検診車輸送に従事した。萩市沖24マイルに浮かぶ見島には充実した医療施設が無く、また検診車を輸送できるフェリー桟橋がないことから漁港のスベリを利用した検診車輸送を毎年実施している。
 初日9日は、萩市潟港から中小畑漁港のスベリに着岸後、検診車(レントゲン車)2台を搭載、穏やかな海上模様の中、一路見島へと向かい、正午前、見島本村港のスベリに着岸、検診車を陸揚げし、初日の任務を終えた。2日目の11日は、逆ルートで中小畑漁港に検診車を輸送、全任務を無事終了することができた。この間、狭い漁港内での離着岸では、艇長以下、乗員も冷や汗ものではあったものの、無事任務を終えたことに対して関係各部からの感謝の意を送られ、隊員は島民の健康維持に寄与できたことへの充実感で一杯となった。また、萩市及び自衛隊関係各部からの陣中見舞いもあり、改めて海上自衛隊への期待の大きさを痛感、乗員一同気の引き締まる、良き思い出となった。

養護施設園生88人が舞地隊を訪問
 舞鶴市内の養護施設である社会福祉法人みずなぎ学園(森下多恵子園長)の園生88人がこのほど、舞鶴地方隊を訪れた。園生はまず、舞鶴地方隊先任伍長の案内で、音楽隊の演奏を聴き「キューティーハニー」や「青春アミーゴ」といった生の音楽に、手拍子をしたり身体を動かすなど心ゆくまで楽しんでいた。
 後日、総監部宛にお礼の手紙が届き「ヘリコプターや艦艇を初めて近くで見られたので嬉しい」「初めは緊張したが、あたたかい出迎えに気持ちがほぐれた」「いつも日本を守ってくれて感謝します」等々、感激の声が寄せられた。

「みょうこう」若手隊員、三笠公園など清掃
 9月15日「みょうこう」は個艦訓練の合間を縫って横須賀に入港した。翌16日、砲術士・清永2尉、先任伍長・夏目曹長をはじめ若年隊員を中心とした51名が横須賀基地吉倉岸壁から三笠公園まで保健行軍し、記念艦「三笠」を含む三笠公園全般の清掃活動を行った。
 約1年ぶりとなった横須賀入港を機に、市民の憩いの場となっている三笠公園を清掃するとともに、記念艦「三笠」を見学し、戦艦「三笠」の歴史を学んだ。
 この日は天候にも恵まれ、約1カ月前に着任したばかりの初任海士37名は「公園を清掃するに従い、清々しい気持になり、厳粛な気持で記念艦「三笠」を見学することが出来た」と心地よい汗と達成感に満足した様子だった。
 また、幸運にもこの日、財団法人三笠保存会広報係長の講話を拝聴することができ、参加者は、日本海海戦等における戦艦「三笠」の活躍について、理解を深めた。

《論陣》
エネルギー外交は強腰に
=サハリン2の実体を見る=
 日本のエネルギー外交、エネルギー産業に対する考え方も、安倍内閣をきっかけに、いま一度、検討したほうがいい。エネルギー産出国の言いなりに資金を出し、相手の顔色をうかがう。その上、一方的に開発協力を打ち切られたら、不平は洩らすものの、強い態度にも出られない弱腰姿勢。庶民は不安とともに、腹立たしいばかりである。
 抽象的な言葉を並べても仕方がない。身近な具体例をあげて“論陣"を進めていく。
 日本とロシアとの石油、天然ガス(LNG)の開発問題がある。ロシア・サハリンの天然ガスを液化して日本に輸出するという計画が、1991年以後、日本やその他の国にもたらされた。日本政府は、この計画に乗ることを決め、三菱商事や三井物産に開発に協力してはどうか―との話を進めた。
日本の2社とロイヤル・ダッチ・シェルなどは「サハリン2」と名付けられたこの計画に参加することになり、当時のエリツィン政権との間に「生産物分与協定」を結んだ。1995年のことである。95年といえば、旧ソビエト連邦が崩壊して4年。ロシアの国家経済は大混乱し、財政的にも低下の一途をたどっていた。そして諸外国は対ロ投資をとまどう国がほとんどだった。
 日本は国内の消費エネルギーの99%を外国からの輸入に頼る“エネルギー産出小国"である。そこに、ぼう大な石油、天然ガスを埋蔵するロシアからの話。具体的にサハリン2のLNG年間生産量960万トン。協議はとんとん拍子に進んだ。もちろん利益の一定割り合いをロシアに還元するというロシアの財政を助ける条件もついていた。シェル、三菱商事、三井物産は「サハリンエナジー」という事業会社を設立し、開発に乗り出した。三菱商事、三井物産は、この事業に9000億円もの事業費を注ぎ込んだ。
 開発は比較的順調に進み、液化設備、パイプの設置など、最終段階に入っていた。ところが、ことしの夏になって、ロシア政府は一方的に「サハリン2の操業中止命令」を通告してきた。中止の理由は「操業過程での環境汚染」だった。サハリン沿岸に大量のカニや魚の死骸が打ち上げられたのは「LNG工事のせいである。だから作業の全面中止を決定した」というのである。
 この中止に対してロシア国内で激しい対立が生まれた。中央政府の中止命令に対して、地元のサハリン州政府が「中央のいう環境破壊には全く根拠がない」と反発。調査データーを添えた上、さる9月21日、サハリン州マラホフ知事名で「中止命令を取り消すよう」声明を発表した。ロシア同士の見解の相違・対立が明らかになった。
 サハリン州側や各国の情報筋の話を総合すると、ロシア中央政府は、サハリンおよびロシア国内の石油、天然ガスを近い将来、すべて“国有化しよう"との狙いが明白なのだという。その第一弾が「サハリン2」での動きである。特にあと1年そこそこでプーチン大統領の任期は切れる。その権益の一部をプーチン大統領の息がかかっているガス独占会社「ガスプロム」に譲り渡すことを決めていると伝えられている。ロシアの石油、天然ガスを戦略物資とし、国家管理しようという動きなのである。利益からある割合を「サハリン2」から受けとる条件のサハリン州としては“利益全額の国家中央への独占"には反対するのが当然である。国際政治上、ロシアが冷戦時代のように“力"を付け「強い発言力をもつ大国」になろうとする考えは分からぬわけではないが、そのために“協定"を無視したり、事業中止を命令したりの強引なやり口には日本としても賛成できないところである。
 日本は2000年にはサウジアラビアから石油の共同開発計画を拒否され、さらに10月5日、イラン国営石油会社のノーザリ総裁名で同国アザデガン油田開発にからんで「日本は権益の多くを失効した」との通告を受け困った立場になっている。産油国のほとんどが埋蔵量あと49年分の石油、天然ガスを戦略物資と位置付け、これを元に資源ナショナリズムを拡大しようという動きが明らかになってきている。
 これまで日本はエネルギー源を手に入れるために「産油国に辞を低くして輸出をたのみ、会社を通して、ばく大な資金を注ぎ込んできた」。その上、常に相手国の顔色をうかがうのが常だったように思える。
 安倍新政権には「契約は契約、実行できなければ資金は出さない。互いに紳士であるべきだ」という強い姿勢でエネルギー外交を展開してもらいたいと望む。

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