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   2006年2月1日号
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航空救難団飛行始め
百里救難隊 1尉 古澤 彰
 航空救難団(団司令・齋藤治和空将補)は、百里救難隊(隊長・鈴木尊雄2空佐以下82名)を実行部隊として1月5日の飛行始めに合わせ、百里基地で落下傘降下を含む陸上捜索救出訓練を実施した。
 訓練は、航空支援集団司令官及び航空開発集団、中部航空方面隊の各司令官、空幕人教部長、百里基地司令をはじめとする百里基地所在部隊長並びに周辺自治体の長である小川町長、鉾田市長等を迎えて例年にない盛大な規模で実施した。訓練内容は、U-125A捜索機(機長・須合俊治1空尉)が模擬遭難者を捜索して遭難者を発見後、UH-60J救助機の1番機(機長・松浦卓朗3空佐)が現場上空へ進入。ホバリングで救出できない想定の下、救難員2名(小島晴夫1空曹、和田学2空曹)が落下傘により現場へ降下し遭難者を確保、ホバリング適地まで搬送。その後UH-60Jの2番機が現場へ進入し、増援の救難員2名(清水敏明空曹長、池田武示3空曹)がラペリング降下により現場へ進出。先に進出した救難員とともに遭難者の収容にあたるというものだった。
 当日は、百里基地特有の朝方の厳しい冷え込みはあったものの天候にも恵まれ、訓練は安全かつスムーズに行われ、今年1年を占うかのような、幸先良いスタートを切ることができた。
 訓練後には、航空支援集団司令官・永岩俊道空将から「今日行ったような訓練を大事に積み重ねて実力を蓄えて欲しい。日々の訓練をみんなで手を携えて、心を一つにしてより厳しい訓練をして欲しい」との激励の言葉を頂き、隊員一同、今年1年の決意を新たにした。その後、航空救難団司令の音頭により御神酒での乾杯を行い、和やかながらも厳格な雰囲気の中、総勢82名の百里救難隊員は、今年1年の飛行安全と迅速確実な任務遂行を誓い合った。

強い「心綱(きずな)」
立川駐屯地業務隊 1尉 坂本昌美
 『pick up the Rope』(ロープを持て!)、『Take the Strain』(ロープを張れ!)、『Steady Pull』(互いに引け!)…東京都綱引連盟公認審判員の資格を持つ隊員主審のもと、平成17年9月21目、立川駐屯地綱引大会は開催されました。この大会も今年で10年目を迎え、大会にかける各部隊の意気込みは例年にないものを感じました。試合形式は、昨年同様に駐屯地所属部隊が8個チームに分かれ、リーグ戦並びに決勝トーナメント戦で戦う方式が採用され、その中で熱い戦いが数多く繰り広げられ、会場のボルテージは常にヒートアップの状態が続きました。昨今は、自衛隊においても国際ルールにのっとった「綱引」が盛んになり、各駐屯地、また、方面隊等でも大会が開催されるようになっています。綱引を英語で言うと、「Tug of War」まさに戦いであり、相手との駆け引きと日頃の錬磨が勝利に繋がる競技ということで、戦う集団「自衛隊」には最も適したスポーツなのです。
 さて、業務隊に所属する私も、今大会に監督兼選手として参加させて戴きました。私たちのチームは、会計隊、基通隊そして地連援護室との混成の業務諸隊チームです。練習では、次の2点に着意して取り組んでみました。まず第一に着意したことは、「チームの和」を一義的に考え、選手同士の意志の疎通並びに助け合いを重視した練習内容です。間を入れずに次から次へと練習テーマを与え、ただがむしゃらに引かせる辛く苦しい状況を作り、そこから生まれる連帯感に期待しました。この業務諸隊チームの平均年齢は、他の航空隊チームに比べ10歳程上でありましたが、長年鍛え上げた精神力と足腰の強さで、見事にこの期待に応えたのです。「よっしゃ〜、頑張ろうぜ!」と、共に声を掛け合い「チームの和」を育んでいきました。こうなると、もうこっちのものです! 2点目に着意したことは、技術的な練習を徹底して行い、各状況に応ずる技術的な対応方法を体に染みつけさせました。
 以上のようなことを短期間でありましたが集中して行い、いざ大会へと挑んだのです。予選リーグではエピソードがないくらいに、それは順当に勝ち上がり、準決勝でも20秒足らずで勝利を収めることができました。日頃、職場が異なるチームの隊員が、まさに昼夜を共に生活しているような息の合った試合内容には、監督である私も感動しました。そして決勝戦! 相手は、ここ数年共に優勝を分け合っている第1師団飛行隊の若いチームです。もちろん相手にとって不足なし! レーンに立った瞬間から、チーム全体が気合い充実、「絶対負けないぞ!」という集中力だったと思います。『Steady Pull』主審の号令から試合終了まで我々の集中力は見事に継続され、「優勝」を勝ち取ったのです。
 優勝の要因には、練習内容も大きなウェートを占めると思いますが、何よりも選手の気持ちが一つになり、「絆」が生まれたことが最大の要因と思います。これこそが綱引から生まれた「心綱」そのものではないでしょうか! 表彰式の後、隊内クラブで祝勝会を開催し、この「心綱」を更に深めました。
 自衛官である我々は、組織の一員として行動することにより集団としての自衛隊の任務を達成することが基本であります。私は、たかが綱引と言えど、組織の団結力育成の一端を担えた歓びを満喫できた幸せ者です。Tug of War(綱引)万歳!

スポーツよもやま話
根岸直樹
納得いかない
松井、井口のWBC不参加
 「団長、ヤンキースの松井は、何で日本代表にならなかったんですか」と聞かれ、答弁につまってしまった。私の関係している地元野球スポーツ少年団の練習に参加した日、休憩時間に少年たちと雑談していたときのことだ。
 ソフトバンク・王貞治監督率いるWBC(ワールドベースボール クラシック)日本代表チームのメンバーからヤンキース・松井秀喜外野手(31)がもれていることを、少年野球ファンも疑問に思っているのだ。「まあ、それぞれ事情もあることだろうしな」と言葉をにごしてその場を切り抜けたものの、私自身も最初から松井欠場には疑問を抱いていた。
 本人から王監督にてい重な断わりの私信がとどいたとはいうものの、そんなことでは納得できなかったファンも多かったのではないか。比較するのはどうかと思うが、その点イチロー(マリナーズ)は…ということになってしまう。イチローは日本代表メンバーに選ばれたとき「メジャーリーガーの誇りを持って、日本の勝利に貢献したい」とはっきり断言していた。
 「アメリカ代表を倒して、世界を制覇したい。何かを示すときは、発言よりも行動だというのがボクの考え。松井、井口(Wソックス)選手にはそれぞれ理由があるらしいけど、ボクはまず『王さんに恥をかかすわけにいかない』と思った。頑張るしかないでしょう」と。
 ――最強のチームが編成され、日本野球と日本人選手の神髄が全世界に向け発信されるものと期待していたのに松井、井口両選手の不参加は、私を含めた多くの日本の野球ファンを落胆させたと思う。ここは、どうしても代表選手たちが頑張って、王監督を胴上げしてもらいたい――そんな主旨の読者投稿を何度か目にした。両選手は、このファンの声にならない声を、どう受け止めたことか。
 それでも、王監督は多くを語ろうとしなかった。「3月はシーズンに向け微調整の難しい時期でもあるし…。打撃は水ものでやってみないとわからないが投手力、守備力では負けないと思う。どこが相手でも必勝はないだろうが、プレッシャーの中でいかにミスをしないか、点を取るかを考えたい。機動力を使い、日本式で勝負します」と、力強く宣言している。
 日本はA組で3月3日対中国、4日対台湾、5日対韓国と戦い(いずれも東京ドーム)、上位2チームがB組(米国、カナダ、メキシコ、南アフリカ)の上位2チームと対決。1、2位チームが19日からサンディエゴで行うC、D組勝者との準決、決勝に進出する。
 予想では日本(A)米国(B)プエルトリコ(C)ドミニカ共和国(D)が勝ち上がると見られているが、どうなるか。「長島さん(茂雄氏)からも"苦労は多いだろうが、頑張れ"と声を掛けていただいた。これ以上ない激励です」と決意も新たな王監督。日本代表選手たちは2月20日から行われる福岡ドームでの合宿に参集する。王ジャパンの健闘を、心から祈りたい。

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