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   2006年2月1日号
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記念植樹で成人祝う
<大久保>
 大久保駐屯地(司令・小川祥一1佐)は1月10日、新成人者を祝すとともに成人者としての自覚を振起させるため、成人祝賀行事を実施した。
 今年成人を迎える隊員は63名で朝礼時に一人ひとり朝礼台に上り自己紹介をした後、代表者の挨拶、司令による祝辞、11時から桜の記念植樹、会食などを順次実施した。
 「国を守る人間として責任を果たし、部隊の期待に応えるべく自己研鑚していきたい」と成人代表者が述べたのを受け、司令は「日本という大きな船を動かしていく原動力として頑張ってもらいたい」と激励した。
 会食では、照れながらもはっきりと成人としての抱負を述べ、頼もしさを感じさせた。また、駐屯地協力会(陽融会)から成人としての自覚を持つようにと印鑑が贈られた。

八戸駐屯地にジオラマ寄贈
 八戸市在住の模型作家・島脇秀樹氏が1月16日、八戸駐屯地(司令・阿部知己1佐)を訪れ、自作のジオラマを寄贈した。
 島脇氏は、英国で開かれた「ユーロミリタリー模型展」で金賞を受賞、また、テレビ番組「TVチャンピオン」にジオラマ作成の部で出演するなど、広く活躍する模型作家で、友人である海上自衛隊0Bの山下敏氏の紹介によりこの度の寄贈となった。
 ジオラマは、「SAMAWA2004」と題してイラク復興支援群のイラクでの活躍の1コマを描いたもので、2両の軽装甲機動車とともに、防弾チョッキに身を固めて車両から降り立った隊員が通訳を交えて現地の人と街角で話をしている姿、車両上部で警戒にあたる隊員の姿等が、生き生きと細部に至るまで表現され、遠巻きに隊員を見る現地の人や、ロバの荷車で通りかかる人とあいまって、現地の情景を彷彿とさせている。寄贈時には、八戸駐屯地業務隊長・畊野1佐、第1次イラク復興業務支援隊に参加した第9施設大隊長・生田目2佐も同席し、その出来映えに感動しつつ、作成時の苦労話やサマーワでの活動談義に花を咲かせていた。
 八戸駐屯地では、駐屯地の隊員に披露した後、より多くの方々に紹介するため、陸上幕僚監部に届けるとしている。

御岳山行進で訓練始め
立川駐業隊  梅田 宏
 戌年・平成18年がスタートした1月10日、立川駐屯地業務隊(隊長・上田正文2陸佐)は、「訓練始め」として御岳山で行進訓練を実施し、部隊安全を祈願しました。
 出発前、隊長から「この訓練で休暇気分を一掃し、安全を祈願するとともに、体力・気力を養い、即応支援できる業務隊として頑張ろう」との訓辞を受け、全員気合いを入れて駐屯地を出発しました。
 滝本駅から武蔵御嶽神社(標高929m)までは、楽勝コース「ケーブルカーと徒歩」と鍛錬コース「約30度の急坂を徒歩で登る」の二つのコースがありますが、もちろん立川業務隊は鍛錬コースです。入念な準備体操の後、行進を開始しました。年末年始休暇でアルコール漬け・餅の食べ過ぎでなまった体にムチ打ちながら急坂を登っていると、次第に息遣いも「ハァーハァー」「フーフー」と荒くなり、大粒の汗も流れ始めました。木々に貼り付けてある番号札もスタート地点では800番台から少しずつ小さくなって、進んでいる実感が湧いてきます。前方の隊員との間隔を開けられまいと必死について行く。途中、登山道近くに走るケーブルカーを恨めしそうに横目で睨みながらも、「弱音を吐かずに力強く?」行進し、杉並木、宿坊、樹齢千年といわれる「神代ケヤキ(国天然記念物)」などに感嘆しながら、武蔵御嶽神社に到着しました。境内には家族連れ等も参拝に来ており賑やかな雰囲気で、我々も無事登頂しホッとして自然と笑顔に変わりました。隊は、威厳を漂わせる拝殿前において隊長を中心として整列し、平成18年の「隊務必成」及び「安全確保」の祈願を行い、一人ひとりが隊長統率方針である「サービスの向上」を「更なるサービスの向上」に「戌(ワン)」ステップアップを誓いました。
 祈願後、長尾平に向かいオプションコースに分かれました。まだまだ体力のある人は「七代の滝」コース(約50分)、少し疲れが膝・腰に来た人は「天狗の腰掛杉」コース(約20分)に分かれ行進を続けました。
 昼食後は往路コースを一部変え「産安社」の祠に寄りました。ここは安産の神様、縁結びの神様が祀ってあり、隊員の代表が前に進み祈願しました。その願いは「今年こそ良き伴侶を」「元気で丈夫な子供を」と真剣な表情でした。その後、一気に下山、膝・腰にくる疲労を気力と根性で乗り切り、約500mの高低差を30分程で下りきりました。無事に完歩した隊員の顔には、やり遂げた喜びと年頭の決意に満ちあふれ、充実した訓練始めであったことがうかがわれました。
 立川駐屯地に帰隊後、隊長から「心身とも清めることができ、訓練始めとして有意義であった」との訓辞があり、「隊の魅力化」を全員一丸となって推進する平成18年がここにスタートしました。

<論陣>
幼い生命を消してはならぬ
凶悪化する幼児誘拐・殺人事件
 ことしこそ「小中学生が誘拐され、無残にも殺されるような犯罪」を皆無にしたい。昨年は、奈良、広島、栃木の各県で小学校低学年児童が誘拐殺人の悲惨な事件に遭ったり、女子中学生が学習塾のアルバイト講師に刺し殺されるという京都の事件などが発生した。犯行の手口を見ると、目を覆いたくなるような、文字どおり『凶行』である。この種の事件の発生を何とかして起こさせない方法はないものだろうか。
 警察庁の調べだと、ここ10年間に幼稚園児、小中学児童などが誘拐されたり、殺害された事件は192件も起きている。われわれが知っているだけでも十指は下らない。栃木県今市市の小学校1年の女子児童誘拐殺人事件も「犯人逮捕に直接結びつく情報」は、事件発生からひと月以上無かった。今市で誘拐された女子児童は、昨年12月2日に茨城県の山中に全裸で他殺体で見つかった。「なにひとつ罪のない女の子」それも「無抵抗な状態で殺害する」などは、とても『人間の仕業』とは思えない。
 この事件が発生したあと、今市の市民の間で「街全体が不安と恐怖に病みそうな」状態が起きている。地域住民が不信感に陥り、このままでいくと「身内以外は誰も信じられなくなる」という異常な『街』が出現してしまう――と心理学者は心配する。
 幼児、児童を凶悪な事件から守るために、都道府県では警察当局、教育委員会などでは、いろいろな「幼い子どもを守る対策」を研究したり、実行しようとしている。また、この正月から実施する地方自治体もある。
 東京都教育委員会は1月から「小中学生の下校のとき都立高校生に守ってもらう」という珍しい『防止策』を実施している。小中学生が放課後になったら、高校生のボランティアが、児童の勉強や遊びの相手になり、下校時には児童を登校路別のグループに分けて、高校生が付き添って帰宅させるというのである。
 そして、いまひとつは都立高校生に小中学校の要請があれば、高校生が地域ボランティアのパトロールに参加し、通学路上の危険個所の点検に協力するというものである。このふたつの『防犯作戦』は、「都立高校生の社会意識を高めることに役立つという二重の効果」も狙っている。
 さいたま市では市立の100の小学校とひとつの養護学校の計101校に民間の警備員を配置することを昨年暮れの市議会で決定し、1月から警備員配置をはじめた。この対策は、はじめは4月の新学期から始める予定だったが、子どもが被害者になる事件が続いたため、急拠、1月から実施することにしたのである。
 具体的には民間の警備会社4社と契約し、全学校の登下校時間に合わせて1日8時間の警備を実施。それにかかる経費は市の予算から支出する。警備員は単に学校やその周辺を警備するだけでなく、通学路の危険個所の巡回など幅広い警戒をさせる。
 関西、九州、東北、北海道などの各教育委員会でも『対策』は実行に移されている。共通しているのは「防犯パトロール」が強化されている点である。これまでパトロールといえば、空き巣や強盗、痴漢などの被害防止が主目的だったが、いまは、これに『幼児保護』が加えられ、幼稚園児や、小中学児童を変質者や凶悪犯から守ることも重要目的になってきている。
 街の人たちと警察当局、それに各学校とのコミュニケーションも防犯対策の大切な要因である。PTAや地域の人たちだけが力を合わせても100%の防犯効果を生むものではない。そこに警察当局、各学校との連携が加わって活動の波が広がれば、「120%の防犯効果を生む」と専門家は語る。
 学校当局は自己責任で守ることだけを考えず、校内にある情報、例えば「どこそこに不審者が出没している」「常に刃物を持ち歩いている」というような細かい情報などを警察や地域の防犯協力会などに知らせることで『防犯意識』が一層高まり、凶悪犯罪を未然に防止できる確率も高まるのである。とにかく、ことしは『幼い命を守る』ことに力を注いでもらいたい。
 もう二度と起きてもらいたくない幼女連続誘拐殺人事件の犯人・宮崎勤被告は去る1月17日に最高裁第三小法廷で死刑が確定した。

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