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   2005年12月1日号
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雪月花
 前号の当欄でEU六カ国を10日で回ってきたことを書いたら、いい体験をしたねと言ってくれる人やいい年をして馬鹿みたいと言う知人、レンタカーで走るのが面白そうとも言われた。今回まわって一番おどろいたのはどこに行っても農地が整然と保たれていることだった。パリからスペインのバルセロナまで1,100kmの高速道路の両側は地平線の先まで農地、ブドウ畑と牧場、野菜、麦畑が続いている、よく手入れがされていた。ベルギーやドイツも同じ、農業を大切にしていることが見てとれる。日本では減反政策が施されて人は流出、農地は荒れ放題、記者の生家も同様である。何十年前になるか記者が東京に行くと言った時、猛烈に反対したのが祖母だった。「日本や東京のことは誰かにまかしとけ、この家はお前しか守る人はいないんだ、なんと言っても百姓がいちばん強い、おばあさんは戦争を知っているから」と強硬だった。EUに限らず各国とも農業を重要施策にしている。いまさら食料安保とか自給率を持ち出すつもりはないが、仮に荒れ果てた日本の農地を昔にもどすことになれば長い年月を必要とするだろう。先日の某全国紙に、中国の最底辺はいまだに農民だとのコラムがあったが、どっこい農民自身はそうは思っていないはずだ、中央の争いに敗れたとき帰るのは「地元」だと知っているから。日本でも紙幣が紙切れになったとき一番実力をもっていたのは?「国家の計は『農』にあり」と言ったのが誰だったか思い出せないが、「国をまもる」基本は今でも農業であることに間違いない。広い大地を走りながら改めて確認した。(所谷)

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