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   2005年8月15日号
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<論陣>
6者協議でも聞いてくれなかった
拉致問題を解決せねば
 注目していた北京での6者協議(日、米、中、北朝、韓、ロ)も終わった。北朝鮮の核廃絶への道は一応見い出せたが、日本が各国の協力で解決を望んでいた「拉致」事件については、結局、何の成果も生まなかった。はっきりいうと日本は"独力"で解決をしなければならないことが明確になったのである。
 6者協議は中国が議長役になったが、実質的には「北朝鮮の核」をめぐって米国と北朝鮮の2カ国協議がすべてを引っ張った形となった。
 米国代表は「死の灰を生む原爆、ウラン濃縮をふくむすべての北朝鮮の核計画を検証可能な形で廃棄する。北朝鮮が核計画を廃絶するのなら、北朝鮮に対する戦争を仕掛けるなどの危険な行動をとらず、北の安全を保証する。そして経済協力、エネルギー支援も行っていい。その上で、北朝鮮を『主権国家』として認める」と主張した(ヒル国務次官補)。
 それに対して北朝鮮の主席代表・金桂寛外務次官は「朝鮮半島の非核化が重要である。北朝鮮は確かに核開発を行っているが、これはあくまでも自衛のためである。事実、米国は韓国内に核兵器を持ち込み、北朝鮮に向けて配備している。これを引き上げるなどして朝鮮半島から米国核の影が消えたならば、北朝鮮は非核化を実施する。北代表団はこういう準備をすでに整えている」と朝鮮半島全域の非核化を主張した。
 ふたつの対立は、そのご数日間の秘密会談でも、なかなか一致点を見出せなかった。
 その間、韓国は協議を成功させるために7月に50万トンのコメを北朝鮮に援助することを決め、7月26日には、そのうちの10万トンを北朝鮮に送りつけた。さらに「北朝鮮の核問題が解決したら、直ちに200万キロワットの電力を北朝鮮に供給することを表明した。
 中国は、国際社会が新たな協議で新局面を開き、朝鮮半島の非核化と地域の平和安定を実現することが各方面の利益にかなう唯一の正確な選択であり、6カ国協議が最も有効な道である(李肇星外相)として議長役をこなした。
 ロシアのアレクセーエフ外務次官は、われわれの最終目標は朝鮮半島の非核化である。われわれは共同文書を採択し、その実現に努力すべきであると主張。
 日本の代表は佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長が出席した。日本の主張は「日朝国交正常化を図る方針に変更はない。そのためには核、ミサイル、拉致といった諸懸案が包括的に解決されなければならない。今回、具体的成果が得られなければ、6カ国協議という枠組みの有用性、信頼性が問われる」と強い口調で主張した。
 日本が他の国ぐにと違う点は、北朝鮮が実際に核兵器を運搬できる弾道ミサイルを保有し、過去に何度か日本周辺でミサイル実射テストを行っていること。そして、核については"非核三原則"を守り通してきている点。さらに国民が注視している北朝鮮への拉致問題がある。この3点を解決しなければ日朝国交正常化など実現できるはずがないのである。
 ところが、拉致問題ひとつ取り上げてみても、日本といちばん仲の良いはずの米国も"人道上の問題"としか言ってくれないし、中国、韓国にいたっては「核問題の解決が、今協議の中心。そこに拉致などを出してくると話の焦点がボケてしまう。拉致問題を議題にするのは反対」と、正面から日本の主張をはねのけてしまった。これでは、どこから見ても「日本の一人相撲」である。小泉首相が二度も訪朝し、金正日総書記から謝罪の言葉と再調査を約束させたにもかかわらず、そのご北朝鮮は他人の骨を送り付けたり、偽物と分かる死亡証明書を日本に手渡して「すべて解決済み」としている。
 横田めぐみさんの両親をはじめ拉致被害者の会の人びとは炎天下、国会周辺で座り込んだり、また支援者たち多数も活動を続けている。「あとの手段は経済制裁しかない」と悲痛な声をあげているが、6者協議も頼りにはならなかった。外国の力を借りる問題ではない。日本政府、いや、日本人自身が解決しなければならないことである。

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