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   2005年7月15日号
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新隊員〜全員が完破
25kmの徒歩行進訓練
軽快な足どり!…マメにもご注意
八戸 えびの
<八戸駐屯地>
 第4地対艦ミサイル連隊(連隊長・阿部知己1陸佐)は6月6日、教育隊長今島3佐指揮のもと80名の新隊員が八戸駐屯地と八戸演習場で25キロメートル行進を実施した(=写真)。
 この日は、気温17度で雲一つない青空で、行進には絶好の気象条件。午前8時、教育隊舎前を軽快な足どりで整斉と出発した。
 しかし、大休止地点では元気一杯だった新隊員も「マメ」には克てず。休止時間は救護陸曹に暇を与えないほど手当を受ける隊員もいた。
 午後3時、演習場から駐屯地内に入り、教育隊隊舎までの最後約500メートルをハイポートで締め、晴れやかな顔で行進を終了。1名の落伍者もなく全員が教育隊舎前に到着した。
父兄会が各ポストで応援
<えびの駐屯地>
 第24普通科連隊(連隊長・久保田芳弘1陸佐)では、3月入隊新隊員231人にとって前期教育課程の総仕上げとなる訓練検閲と25キロ徒歩行進訓練を実施した。
 訓練検閲は、6月6日〜6月9日の間戦闘訓練・歩哨訓練を霧島演習場で、武器訓練・基本教練を駐屯地隊舎教場・基本訓練場・駐屯地グランドで実施した。
 3月25日に希望と不安をいだいて着隊した当時は、まだあどけなく、どこか頼りない少年の顔付きの新隊員達だったが、区隊長・班長・班付の熱心な指導・助言のもと、体力的・精神的にも見違える成長をした。約3ヶ月間の教育総決算である戦闘訓練検閲では、日頃の教育訓練成果を十分に発揮し、「全員合格」の目標を達成した。
 6月10日は晴天に恵まれ25キロ徒歩行進訓練を実施した。
 徒歩行進は、行進規律の確行・行進能力の向上と体力・気力の充実を図る。さらに行進における基礎的事項を体得させることを目的とする。
 当日は、えびの市・小林市・高原町・野尻町・須木村の自衛隊父兄会会長以下50人が駐屯地基本訓練場で激励会を開催。父兄会を代表して野尻父兄会会長の渕上氏が激励の言葉を述べ慰問品のスポーツ飲料の贈呈が実施された。
 その後、6コの区隊は第6区隊を先頭に、午前7時30分から正門を出発し、各区隊20分の間隔で出発。
 行進コースは、駐屯地を出て、大河平台上から自然豊かな川内川上流域を巡る起伏があるコース。父兄会の計画で行進コースの各ポストに数名ずつが分かれて、新隊員に応援と激励を行った。一歩・一歩と、確実に国民の負託に応える隊員となりつつ逞しくなっていた。
 区隊長・班長等の適切な指導と行進規律の厳守、不撓不屈の精神により1人の落伍者もなく先輩隊員たちの見守るなか無事、駐屯地に帰還した。

〈訂正とお詫び〉
前号(第670号)2面「優秀広報官等氏名」の中で誤りがありましたので訂正するとともにお詫び致します。正しくは「田中裕二1等陸曹(静岡)」です。

<論陣>
夏休みは"我が子変身"のとき?
光高校事件から見た生徒心理
 インターネットの情報を元に"釘入り爆弾"を作り、隣りのクラスのいじめ同級生を殺傷しようとした山口県立光高校3年生の事件は、子をもつ親や教育関係者を驚かした。犯行が普段は目立たず、無口で無遅刻、無早退、無欠席のごく"普通の子"だったことや、クラスの大半以上の58人もの、いじめなどとは全く無関係な生徒を無差別に傷付けたことなど、いままでのように恨みがある者だけを狙ったのではないことが注目された。
 6月10日、同高校3年2組の男子生徒(18)が、かねてから恨んでいたという少年がいる隣りの3年1組にジュース瓶の中に火薬とともに釘など金属物を詰め込んだ殺傷力の強い手製の爆弾を投げ込む事件が発生した。ちょうど授業中だったので生徒35人が机について教師の話を聞いていた最中だった。恨まれていたという生徒は前の方の机に座っていたらしく、爆弾は教壇に比較的近いところで爆発。教師はほとんどけがはしなかったが、生徒のほうは飛び散ったガラスの破片や釘などで1人が重傷、クラスのほとんどがけがをしたり、一時、耳が聴こえなくなったりしたほか、爆風で割れ散った窓ガラスの破片で廊下や戸外にいた生徒など合計58人がけがをした。死者が出なかったのがなによりも幸いだった。
 学校側は、事件直後、記者会見を行い、事件の内容、犯行生徒の日頃の性格、けがをした生徒の手当て、関係生徒のカウンセリングなどを説明した。
 記者会見で気付いたことは「いつもこの種の事件の際の説明と一切変わりがない」ということだった。生徒や児童による特異な犯罪が起きた場合、学校側がまっ先に口にするのは「いじめがあったとは聞いていない」とか「事件直後、関係クラスの生徒に問い質したが、"いじめた"生徒はいなかった」である。光高校の校長の記者会見でも「いじめがあったかどうかは把握していない」とか「いじめはなかったようだ」などと語っているが、生徒たちの間では「口数が少なく一部の生徒からよくからかわれていた」との声があがっていたという。また、学校側は「こんご、こうした事件が二度と起きないように教育面でも注意していきたい」で結ぶのが一般的なスタイルである。光高校も再発防止のためのプロジェクトチームを設置し研究していくという。
 こんどの事件は、単に光高校だけの問題ではないことは明らかである。"いじめ"は、集団があれば、必ずといっていいぐらい発生するものである。十人十色、一人ひとりの性格に違いがあり、それが中学、高校と年齢が高まり、学校がエリート校視されればされるほど、個人のエリート意識というか、自意識が強まる。他人への比較感、批評感覚が高まり、それが一部でグループ化すると、"弱者いじめ"という形で表われる。いじめているほうには、それほど強いいじめ意識はないが、いじめられているものは"強いいじめ"を感じる。それが重なると、こんどは、いじめられているほうからの仇討ちという形になる場合が多い。こんどの光高校の事件の場合は「弱者?が強者に対する仇討ち」の典型ではあるまいか。学校側は、こうした細かい生徒の心理まで読んで親身になった指導をしなければ"犯罪につながるいじめ"は決してなくならないことを教師自身が自覚しなくてはならない。
 つぎにインターネット問題である。少年は「インターネットで爆弾製造法を知って実行した」と自供している。確かにパソコン情報は便利である。しかし、情報が逆に使われるとたいへんな事態をひき起こす。爆弾の作り方、自殺の仕方など不都合極まりない"情報"があまりに多くインプットされている。入れるほうは面白半分にやっているかも知れないが、探すほうにとっては"犯罪"や"生死"に直結した情報である。こんどの事件でもインターネット情報が悪用された形としかいいようがない。
 7月は夏休み開始の月である。生徒にとっては「よく遊び、よく学ぶ」期間である。しかし、自由に"情報"を知る時間帯でもある。夏期休暇開始前、教師は、このことを踏まえて「休暇中の生活指導」をするべきである。また年頃の生徒をもつ父母も"注意"しなくてはならないのは当然である。

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