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   2005年6月15日号
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<空挺団>
降下60万回を達成
岡光曹長に記念品贈る
 第1空挺団(団長・木野村謙一陸将補)は5月17日、習志野演習場での練成降下訓練において、CH-47から60万回の降下(自由降下による降下を含む)を達成した。
 昭和29年10月、九州・雁の巣で衣笠初代空挺団長が自衛隊初の落下傘降下を行って以来、約51年の歳月を経ての達成である。
 この記念すべき降下者は、空挺教育隊・岡光辰彦曹長で、降下終了後、駐屯地で「60万回降下達成記念植樹」を行うとともに木野村団長から60万回降下達成の記念品が手渡された。
 岡光曹長は60万回降下達成の挨拶の中で「空挺団長をはじめ各級指揮官ご臨席のもと、60万回降下達成の認定証の授与及び白木蓮の記念植樹を実施して頂き誠に有難うございます。更に歴代の諸先輩方が築き上げられてきた歴史と伝統の一端を担うことができ、私自身大変感動しております」と語った。

創隊33周年を祝う
<第1高射特科団>
 第1高射特科団(団長・伊藤隆陸将補)は4月24日、東千歳駐屯地西体育館で「団創隊33周年記念行事」を実施した。
 行事には、千歳地方防衛協会会長の千歳市長をはじめ道内外より多数の来賓を迎え、参加隊員と共に団創隊33周年を祝った。
 伊藤団長は式辞の中で「防空戦闘の重要性を再認識し、部隊の練成に邁進しよう」、「多様な役割に適応し得る応用力と即応性を身に付けよう」など、団の目指すべき方向についての所信を述べ、最後に「防空の要としての団の更なる発展と新たな歴史の創造のため、全隊員が一丸となって努力していくことを誓う」と決意表明した。
 また、訓練展示においては、第4高射特科群の隊員38名による迫力ある徒手格闘や銃剣格闘の演舞を実施し、団の威容を部内外に示すとともに来賓の目を楽しませた。祝賀式に引き続き駐屯地第1食堂において高友会主催の「記念祝賀会食」も行われた。

叙勲伝達式・拝謁の記
元中央病院総務部長 佐々淳行事務所事務長
石井健二
 宮公庁のよき伝統と風習は公式の行事に関する時間・進行は事前に関係者にスケジュールを配布し、理解させておくことにあるように思う。
 今回の式当日のご案内や細部連絡も、約2週間前に郵送(速達)され、その案内に従い、当日集合場所に到着。受付後、関係資料の「平成17年春の中授章等叙勲伝達式等行事日程表」「祝賀昼食会配席図」が手交される。
 久しぶりに官庁用語の重厚な難しさを感じられるような表題を目にし、若干の懐かしさを覚える。
 受付からの第一印象は、さすが栄典関係業務の専門官ならびに関係諸官の対人関係への気配り、目配り、言葉遣いなど、大変行き届いたエスコートであった。その親切な対応が、十分に伝わってきた。特に、同伴の令夫人方に対しては、質問には懇切丁寧、大変行き届いていたように見受けられた。
 集合場所のホテルグランドパレスから防衛庁への移動は、大型バスを利用(陸自東方輸送隊の支援大型バス3台に安全要員6名で担当)。受章者は70歳を超え、配偶者もほぼ同年齢で、見かけと実体は不明であるが俗に言うお爺さん、お婆さんである。気は若いようでも足下がおぼつかない人も見受けられることまでを配慮し、バスの乗降の都度ステップにさらに一段踏み台を用意するなど、心憎いまでの気遣いを感じた。
 市ヶ谷移転後の防衛庁に初めて訪れた方々も多いとみえ、あちこちの席から立派な建物だ、時代の先端をいっている、設備も役所以上だ、環境がよい等、かつて六本木庁舎では聞かれなかった庁舎への絶賛の声が多く聞かれた。仕事上、私は近年の複雑多様で、かつスピードを求められる防衛行政の問題を理論的に詰め、実行の可否を決断する現役の苦悩を多少は承知しているので、複雑な思いが瞬時去来する。
 市ヶ谷講堂に於いて、予定通り大野功統防衛庁長官からの伝達が実施される。同長官からのご祝詞も自分の言葉によるご挨拶で、人間味と暖かみが感じられた。その後、長官を囲んでの記念撮影も、グループ別に実にスムーズに展開していく。後から声をかけられて振り向くと、受章者、配偶者の後ろに庁の主要幹部も記念撮影に並んでいた。北原巖男官房長、守屋武昌次官から、お祝詞の言葉をいただく。
 つづいて、森勉陸上幕僚長主催の祝賀昼食会に臨む。同幕僚長から自分が春の園遊会で招かれた際の天皇陛下から賜ったエピソードの中に「中越地震の際や昨年の風水害の多発による災害に、自衛隊員が大活躍されたことなど、そして隊員たちの健康にまで及んだこと」が大変控えめに紹介された。要は、本日(5/24)皇居に拝謁する者たちのうちに、自衛隊員0Bが多くいるということは、陛下もご承知されており、自衛隊についてご関心がおありのように見受けられますよ、そのことをお含みおきください…というように、私は解した。
 坂下門からバスで皇居に入り、東庭で待機。予定時刻通り、春秋の間(東庭の前の建物で、東側の廊下の部分が年賀などの際国民にご挨拶される建物の中にある)に入室。拝謁者全員が4列に並ぶ。前2列が受章者たちで約120名、令夫人たちが後ろ2列でほぼ同数。その間に約2メートルの間隔を置かれる。この間隔は宮内庁の担当官の説明でわかったが、陛下がお言葉を賜ったのち、この間隔の通路を会釈されながらお通りになるとのことであった。
 予定時刻通り、陛下は侍従長の先導で南方からご入室され、登壇(ほんとうに低い壇で、約20センチ前後の高さのように見え、威圧感などは全く感じられなかった)。
 「長い間、国家・国民のために働いていただき、ありがとう。今後も身体に気をつけ、国民のために活躍されるよう希っています」というご趣旨のお言葉のように、私には理解できた。もちろん、ペーパーなしである。
 降壇後、侍従長の先導で受章者と令夫人が並ぶ真ん中の通路を、左右に軽くにこやかに会釈されながら歩まれ、列際に車いすで参列した受章者に直接お言葉をかけられたのち全員に向かって会釈をされ、北方から退室された。
 一連のことをまったく身勝手に考えてみると、陛下と受章者の年齢はほぼ同じで、昭和8〜9年生まれの者たちが多く、まさに陛下と同学年、同級生であり、ともに第二次大戦の激しい戦火と戦後の窮乏生活に耐えた世代である。そこには、人間天皇としてのご感慨もあったように、どうしても思ってしまう。こういう雰囲気の中で、陛下が一巡された際に私の位置から近い位置に並んだ数人の令夫人が、目頭にハンカチをそっと当てるのを目にした。ここはまさに感動の一瞬であった。
 南車寄せ前で記念写真撮影も完了し、乾門から退出。皇居の庭の新緑が、ひときわ目に鮮やかに残る。
 ほぼ予定通り、ホテル着。そして解散。べたべたした感情もなくお互いご苦労さん、お元気でと声を掛け合うさわやかな解散であった。
 早朝から、着慣れないモーニングと、支援業務の現役に絶対迷惑をかけてはいけないという思いから、飲料水も制限。これから開放され、平常の姿に戻ったときの水のおいしいこと。そして栄典業務、輸送支援業務の関係者の多大な労に、心から感謝したい。
 5月24日鮮明な情景と雰囲気を、記憶に残るうちに一息に記した、私個人の勝手な思いと感情と受け取り方であった旨、重ねてお断りしておきたい。
 〈本社にいただいたお礼状を石井氏の諒解で掲載しました〉

<論陣>
先物商品取引きに注意せよ
盗難キャッシュカード被害に朗報
 うまい儲け話、盗難カード被害救済話など、"お金"をとりまくいい話や悪い話が続々と登場してきている。
 まず、うま過ぎる話と法規制話。「イラク戦争が続いているいま、銀の値段はまだまだ国際的に上がります。また、中国の好景気と北京オリンピック施設の建設でガソリンの値段も上昇します。わが社で銀やガソリンの商品取引きをしてください。僅かな証拠金さえ出していただければ、わが社で10倍の融資をします。商品取引きは伝票だけで1週間で倍は儲かります。絶対稼ぎどきです、チャンスをつかんでください」。これが商品先物取引きの最初の手口である。新聞の株式欄の下に載っているように、先物商品取引きは毎日行われている。正常な業者も多いが、詐欺まがいの手口の営業マンも多いし、やり口が目に余るほどの悪徳会社も多い。
 悪質な勧誘は会社ぐるみのものが圧倒的で、以前は65歳以上の高齢者が巧みな話術に乗せられて5百万円〜1千万円とだましとられる場合が多かった。ところが、最近になると、業者の狙いは次第に若くなり、30歳代〜40歳代が増えている。特に組織に喰い込んで、始めは1人か2人、儲けさせて、それを例に挙げて、次に悪の手を伸ばしていくのだという。
 では手口はどんなものか。営業マンが高校や中学の卒業生名簿の中から目ぼしいターゲットを見付け、面会を申し込んでくる。「学友の方々がみんな大儲けして喜んでおられます。商品先物取引きは危険だといわれていますが、そんなことはありません。わたしに黙って20万円出資してごらんなさい。200万円の融資を付けて、銀取引なら1週間で倍の40万円にしてみせます」。営業本部社員の身分証を胸に付けて信用させる。2、3日後、出資金を受けとると、1週間目に本当に40万円を持ってくる。「どうです」と言って、その40万円を元に次の取引き話を始める。確かに新聞の先物商品欄を見せるし、現金も見せる。信用して取引き話に乗ると「あと60万円あれば100万円です。もし、お金が手元になければ消費者金融会社を紹介します。借金は10日で返せます」。そこからが"詐欺まがい"になってくる。
 3回目くらいで「すみません。すこし損をさせてしまいました。取り戻しましょう」と4回目の取引きをさせる。もちろん金融付きである。実は3回目、4回目以後は取引きはしていない。融資金を持ってドロンなのである。社に問い合わせても「そんな社員はいません」。結局、その人は120万円の借金を背負ってしまった。
 経済産業省と農林水産省が共同で5月1日から「改正商品取引所法」を施行した。この法律は悪質な商品取引きを行った会社を行政処分するもので最高33日間、営業を停止させるというもの。もちろん、社員は当然、刑法の詐欺罪が適用されることはいうまでもない。1社にとって1カ月以上の営業停止は事実上、破産状態に陥らせることである。改正法には年収500万円以下のものを客としてはならないと書かれているが騙す方にしてみれば、相手の年収などは無関係。騙し易い人を騙すまでである。くれぐれも注意のこと。
 カードの話は、これまで、盗まれたり、偽造されたカードで、虎の子の預金が不正に引き出された被害総額9億6千8百万円だが、銀行が、その被害を補償したことはなかった。銀行側は「カード保管は、あくまで自己責任。カードが本物であり(偽造類似)、暗証番号が正しいと銀行側のATMは、引き出し手が誰であろうとキャッシュは払い戻してしまう。盗難カードを使われたからといって銀行に責任を負う義務は一切ない」と冷静そのものだった。
 しかし、最近のようにカード偽造の手口が巧妙、悪質化し、さらに暗証番号の読み盗りも、以前のように、払い戻し者のうしろからこっそり番号を盗み見るのではなく、読み盗り器や、強盗に脅されてつい数字を教えるなどの例が増えてくると「責任ありません」とばかりはいえない世の中になった」自民、公明両党が中心になって金融庁、法務省と協議、近く「盗難キャッシュカード対策法案」を作り、今国会で成立させることになった。同法が実現すると銀行は過失の程度で7割5分から全額補償することになる予定。

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