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   2004年10月15日号
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空自体験飛行参加者募集のお知らせ
 航空自衛隊は、自衛隊の日頃の活動を、多くの国民の皆様にご理解いただくため、自衛隊記念日記念行事の一つとして、次のとおり体験飛行を行います。
 〈日時、場所、使用航空機、搭乗人数〉▽11月28日(日)午前10時〜午後3時(1回の飛行時間約15分)▽航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市稲荷山2-3)▽C-1ジェット輸送機:460名、CH-47J輸送ヘリコプター:540名
 (天候不良等の理由により中止させていただくことがありますのであらかじめ御了承下さい)
 この体験飛行を希望される方は次の要領でご応募下さい。(応募多数時は抽選)
 〈応募資格〉小学生以上(小学生は保護者の同伴が必要です)
 〈応募方法〉往復はがきにより左図の要領でご記入のうえ、ご応募下さい。(複数応募されてもお一人1回の搭乗とさせていただきますので御了承下さい【抽選の場合も同様】)*はがき1枚で中学生以上は2名まで応募できます。(小学生同乗の場合は、小学生2名まで・保護者2名までの計4名の応募が可能です)*小学生のみでの応募は御遠慮下さい。
 〈締め切り〉10月20日(水)必着
 〈お問い合わせ先〉防衛庁 航空幕僚監部 広報室 電話03-3268-3111内線(60092)
 〈発表〉返信用葉書の発送をもって代えさせていただきます。
 〈注意〉
(1) C-1、CH-47Jともに自衛隊機です。民間の旅客機のように、室内が明るく、静かで、乗り心地の良いものではないことをご理解のうえ、ご応募下さい。その他、両機種の特徴等については、航空自衛隊ホームページの装備品ギャラリーにも掲載していますので、そちらをご覧下さい。
(2) 体験飛行搭乗券(当選通知葉書)は、搭乗者の名簿を事前に作成するため、当選者以外の方への譲渡はできません。
(3) 入間基地では、駐車場の用意ができません。民間交通機関の利用をお勧めします。

自殺予防Q&A
〈第7回〉
防衛医学研究センター 高橋祥友
うつ病
(心の風邪を心の肺炎にしないように)
 Q:うつ病は精神が弱い人がかかる特殊な病気ではないのか? うつ病を治療することで、自殺が予防できるものだろうか?
 A:ごく大雑把に言って、うつ病とは、一生の間に10人に1人がかかる心の病である。けっして特別の人がかかる稀な病気というわけではない。頻度がこれほど多いことから、最近ではうつ病を「心の風邪」などと呼ぶこともある。
 ただし、軽く見てはいけない。「風邪は万病の元」とも言われているが、心の風邪も放置しておくと、心の肺炎になってしまって、命取りになる危険さえある。
 現在では、副作用も少なくて効果的な抗うつ薬があるし、問題を抱えた時に解決の幅が狭いという傾向に働きかけていく心理療法も開発されている。怖いのは、うつ病になったことではなくて、それに気づかずに放置しておくことなのだ。
 うつ病というと、一般の人は、気分や感情の症状をまず思い浮かべるようだが、それだけではない。思考や意欲、身体の面にもさまざまな症状が出てくる。
 気分や感情面に現われる症状としては、気分が沈む、涙もろくなる、自分を責める、後悔ばかりする、死まで思いつめるなどである。
 思考や意欲の症状としては、仕事の能率が落ちる、集中力が低下する、決断力が鈍る、物忘れが激しくなるなどが挙げられる。
 身体面に現われる症状も重要である。不眠、食欲不振、体重減少などはほとんどの例で認められる。さらに、さまざまな身体的な不調を自覚する。そのため、うつ病になっても、最初はそれに気づかずに、身体の症状を訴えて、内科などに受診している人が圧倒的に多い。実際に重症の身体の病気が隠れていては困るので、ぜひ、検査を受けてほしい。ただし、検査を繰り返しても、明らかな原因が見つからないのに、それでも不調が続く場合は、うつ病の可能性を疑って、精神科に相談に行ってほしい。
 繰り返すが、うつ病には治療法がある。それに気づかずに放置しておき、徐々に悪化してしまうことこそが怖ろしいのだ。

<彰古館往来>
陸自三宿駐屯地・衛生学校
〈シリーズ33〉
陸軍衛生と災害医療
 関東大震災でその本領を遺憾なく発揮した陸軍衛生ですが、その起源は明治21年(1888)7月15日の会津磐梯山の噴火まで遡ります。
 後に軍医学校に臨床用X線装置1号機を私費で導入する芳賀榮次郎は、任官したての三等軍医で、東京帝国大学医学部の大学院生でした。暑中休暇を返上して大学におりましたが、7月21日、同級の三輪徳寛(後の千葉帝国大学学長)と死者477名を伝える新聞を読み、何か出来ることもあるだろうと「これからすぐに現地視察に出かけよう」と夜行列車で東京を出発したのです。東北線本宮から徒歩で猪苗代まで行き、翌日早朝に到着しました。
 発足したばかりの日本赤十字社は、昭憲皇后のご英断で2日前に現地入りしており、役場に出頭した2人は佐野常民社長と会見します。「よく来てくれた。当社の3人の医員も疲労しており、当地には適当な医者も少なくて困っていた。ぜひ手伝って欲しい」2人は喜んで治療を開始します。
 しかし、翌日「若干の器材と医薬品を残してゆくので、後をよろしく頼む」と佐野社長は言い残し、日本赤十字社は僅か3日間の救護活動に幕を下ろして撤収してしまったのです。小学校で引継ぎを終えた2人は2週間、不眠不休で治療に当たりました。
 これが恐らく我が国最初のボランティアの医療活動です。2人の博愛精神に対して福島県知事は感謝の宴を開き、感謝状と金一封で、その労をねぎらいました。
 大学には無断で出発したので、現地から報告書を送っておきました。帰朝後、東京帝国大学学長の渡邊洪基から「噴火に際して学術の研究と、遭難者を救療する目的で直ちに現地に飛び目的を達し、地方官民の満足を得たのは、当校学生として用意周到と認める」と感状を授与され、てっきり怒られると思っていた2人は顔を見合わせました。
 これは、陸軍の軍医が災害派遣で救護活動を行った最初の例なのです。厳密には休暇処置であり一個人の資格ですが、非公式とは言え陸軍が一軍医の行動を許可したことは、陸軍に対して「民間への救護活動」という行動を認識させ、陸軍の新たな任務の方向性を示したに他なりません。
 芳賀軍医は東京医学会誌に「磐梯山潰裂ニ因テ生ゼシ創傷報告」を発表し、地震という特殊な状況下での臨床例を報告しています。
 明治24年(1891)の濃尾地震は死者7千200人、負傷者1万7千人の大震災でしたが、こうした前例があったので陸軍がスムーズに救護活動に出動できたのです。
 翌年の第五回赤十字国際会議の議題は「赤十字の活動は平時に及ぶか否か」でした。その席上で日本代表のシーボルトは「すでに日本では先年、会津磐梯山破裂と愛岐地震の際、陸軍と赤十字が連携して救護活動を実施している」と発言し、加盟後まだ日の浅い日本の実績が本案の可決を促し、各国を驚嘆させたのです。
 陸軍だけでなく先進各国赤十字の平時における任務を決定させたのが、会津出身の芳賀軍医の救護活動なのです。阪神淡路大震災における救護活動のルーツが、彰古館にあるのです。

シリーズ イラク派遣を終えて
空自中部航空警戒管制団 第27警戒群 3空曹 橋本邦宏
 私は第1期イラク復興支援要員としてクウェート(アリ・アルサレム空軍基地)に1月下旬から3月下旬まで会計特技員として参加しました。
 クウェートでは、イラク復興支援派遣輸送航空隊に所属し会計業務全般を担当していました。主に派遣航空輸送隊が必要とする契約及び調達を実施しました。現地では、日本のように事務用品が揃っておらず、業務が円滑に進まなくて契約にこぎ着けるまで非常に大変な思いをしました。
 砂漠ということで、見渡す限りの地平線を想像していましたが、草花も生えており、特に、クウェート市内では散水して緑地化され緑豊かでした。また、仕事でフラワーショップに寄った時に、日本と同じ種類の植物が売られているのを見つけ、親近感もわきました。
 私が滞在していた時期は、クウェートではもっとも安定した良い季節でしたが、砂嵐や猛暑にみまわれることもありました。雨は全くというほど降らず乾燥しているので飲み水は常に携帯していました。また、それほど暑くはなくても紫外線が強烈に降り注いでいるので、サングラス、帽子は必需品でした。
 朝晩は比較的過ごしやすかったので、飛行場の周り(約10キロくらい)を走って体力練成に努めていました。一時期、黄色い花が飛行場一杯に咲いていて、こんな砂漠でも逞しく生きている植物もあるんだなと感動しました。
 クウェートは禁酒国であり、酒が飲めないのはストレスが溜まると思っていましたが、そうではなく、無ければ諦めもつくものでした。(代わりに禁煙していたタバコを吸って紛らわせていました。)
 水は貴重であるため、淡水化して洗面等に使用していました。しかし、水道の蛇口を開けると最初に砂交じりの水が出てきたのでやや不安でした。特に、シャワーは温水が一定量使用すると水になることもありました。水に関しては全員が苦労したと思います。
 電気は240Vで変圧器を使用しないと日本の製品は使用できませんでした。変圧器を使用してもドライヤーは非常に熱く、時には電圧が合わないのに無理に挿し込み、火花を散らしたこともありました。電気関係はあまり分からなかったのですが、良い勉強になりました。食事はバイキング方式で(豚肉は禁止)ほとんど毎日同じようなものばかりが出て、味の濃いものが多く、いつも舌がピリピリしていました。また、漬け物があったのは良かったのですが何故かレモンが入っていて微妙?な味が楽しめました。
 このような毎日を過ごした2ヶ月間を振り返ってみて、改めて日本の良さをかみしめました。これからクウェートに派遣される方も健康に十分留意して、無事に帰隊してください。

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