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   2004年8月15日号
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インド空軍参謀長、防衛庁を表敬
津曲空幕長の招きで
 インド空軍参謀長のスリニバサプラム・クリシュナスワミ大将が7月20日、津曲義光空幕長の招きで来日、翌21日に防衛庁を訪れ、儀仗隊による栄誉礼を受け(=写真)、メモリアルパークで献花した後、石破茂防衛庁長官はじめ津曲空幕長、石川亨統幕議長らを表敬した。また、22日には小松基地を研修、23日には京都見学を行い、24日に帰国した。
 インド空軍参謀長の来日は平成9年以来2度目。

全国生徒育成会連合会
少工校48期生を激励
 陸自少年工科学校の全国生徒育成会連合会(山田實造会長)保護者66名は7月4日、少工校第3教育隊48期生の富士野営訓練激励・慰問を行った。=写真
 この野営訓練は、学生生活3年間の総合野外訓練で毎年3年生が約11日間(7月1日〜11日の間)、東富士演習場と富士山で実施しているもので、当日は、梅雨時期にしては珍しく連日晴天に恵まれ、掩体構築、昼夜間斥候・歩哨、小銃組の戦闘訓練に励んでいた。
 一木塚道近くの宿営地に移動し、第3教育隊長(隊長・中出幹児3佐)が野営訓練概要と訓練成果を写真を持って説明したあと、保護者と生徒は対面式を行い、全国育成会と熊本支部有志からの慰問品を代表者に手渡した。生徒代表(永田憲史生徒)が力強くお礼の言葉を述べ、式終了後からは時間の許す限り家族と談笑していた。生徒の迷彩服と記念写真とか、6人用天幕での生活ぶり、保護者からの携帯電話で来られなかった家族や友人などに電話する姿、差し入れてもらった飲食物等を区隊のみんなに配っている姿など、一段と日焼けし逞しさを増してきた生徒の微笑ましい光景が見うけられた。
 保護者も久しぶりの再会に安心し、また、演習が無事に終えられる事を祈り、惜しみながら演習場を後にした。後日、風雨は一両日あったものの好天に恵まれ、生徒は富士登山を含め落伍者やケガ人もなく無事終了し武山駐屯地に帰隊した。

富士学校音楽隊が山地機動訓練実施
富士山頂でイラク派遣隊員へ思いを込めて演奏
 7月9日の深夜、富士教導団長(山本麻雄将補)が言う「自衛隊に求められる多様な役割を完遂するために必要な資質を育成する」ことを目的に、富士山頂を目指して出発(富士宮口・新五合目)した富士学校音楽隊(隊長、村田1尉)は、足場の悪い岩場を一歩一歩確かめるように歩みを進め、10日未明に山頂に到着した。
 ただでさえ酸素の薄い山頂は、そこに居るだけでも息苦しさを感じ、人によっては高山病を発症するという過酷な環境の中、山頂に到着してまもなく朝日を迎えた音楽隊員は体を休めることもなく、イラク復興支援隊員にエールの意を込め、映画「ロッキー」のテーマをはじめとした全7曲を力強く演奏した。
 その左肩には、イラク派遣隊員への思いを込めて着用した黄色いリボンが、朝日に照らされ輝いていた。日頃から練成に練成を重ねた隊員も「霊峰富士」の厳しさを思い知った様子で、苦痛な表情と息づかいは一般登山客に感動と余韻を与え、一人の負傷者を出すこともなく山地機動訓練(演奏)を無事終了した。
 最後に、隊員が演奏を終えて下山する途中、一般登山客(ケガ人)を救助するというハプニングが起きた。
 また、次期第7音楽隊長となる村田1尉の富士学校音楽隊長として最後となるこの部外演奏は、遠くイラクの地で汗を流す隊員に永遠に響く演奏になったようだ。

富士本屋写真館
東富士を撮り続けて50年
シリーズ(3)
写真提供=佐藤欣一氏
写真は全て昭和天皇が攻防演習を観閲された時の情景
昭和14年、白馬の上は天皇陛下(現在の駒門周辺で)
大正11年
演習場に御到着、観閲に向かわれる天皇陛下(現在の畑岡付近で)
演習場での秩父宮殿下(左端)

<論陣>
知らなかった「監視対象国」
人身売買を根絶せよ
 外国人女性が、人身売買されて、日本国内で「売春」を強要されている。そんな話は暴力団がらみでよく耳にするが、日本が国際的に有名な「人身売買国家」に格付けされていようとは夢にも思わなかった。不法入国や、売春検挙のニュースの陰で人身売買の"実数"は明らかにされていないが、世界的にみて最低国に位置付けされていることだけは確実である。その根拠は、米国務省が、さる6月に公表した年次報告の内容である。この報告だと米国務省は、はっきりと「日本は人身売買監視対象国」であると指定している。要するに「日本当局は取締りに大甘である」と指摘しているのである。われわれとしては、まじめなつもりで運用されている日本国家が、外国の目から見ると、人の売り買い自由、外国人による売春勝手の国だったことになる。
 法務、警察、厚生労働など人身売買や売春に関係のある官庁は、さきごろ連絡会議を開いて人身売買の摘発を強化するための新しい法律や、いまの刑法を改正して"この種の犯罪"に対応するための方策を検討しはじめた。関係機関は「来年の通常国会に人身売買処罰法案を提出することを目指す」と語っている。国家にかけられた"汚名"は、早く取り払うべきであろう。
 米国務省に「監視対象国」とまで指摘されたのはなぜだろうか。その理由は明白である。いまの日本には人身売買を直接禁止する法律がないのである。よく週刊誌やニュースで「外国人女性が日本の暴力団に売り飛ばされ、パスポートをとり上げられて監禁同様の状態で売春させられた」とか「あまりの苦境に耐えられなくなった外国人女性が、警察に救いを求めた」などの記事を目にしてきた。しかし半分は話をおもしろくするための誇大記事だろう−−程度で読んでいた。
 ところが、調べてみると、本当の話だった。人身売買に関する法律は皆無なのである。そこで警察や入国管理事務所など取締り当局は、刑法の営利目的略取・誘拐罪や入管難民法の不法就労助長罪、売春防止法の管理売春罪などを応用、適用しながら取締りに当ってきた。人身売買についての直接の法律がないため、第一線の取締官たちの苦労は並大抵のものではなかった。
 例えば売春防止法の管理売春罪(第12条)は「人を自分の占有にし、または、管理する場所または自分の指定する場所に居住させ、これに売春させることを職業としたものは、10年以下の懲役および30万円以下の罰金とする」となっている。この条文は単に売春だけを罰するもので人身売買によって強制的に連れて来られ、苦境に陥った背景については管理者やブローカーから何ひとつ聞けず、これを罰することもできない仕組みになっている。それは当然のことである。かつての「公娼制度」が廃止された。以後わが国では、すべて"売春"は禁止され、それに違反したものは罰せられるようになった。その法的裏付けが「売春防止法」である。公娼時代には、よくテレビドラマに登場する売春宿があり、極貧家庭の子女が売り飛ばされ娼婦にさせられた例が多かった。公娼である以上、各都道府県知事から営業許可を受け、堂々?と店を張ったものである。それが昭和33年に廃止になった。以来、売春は犯罪になったのである。
 売られて日本に連れて来られた外国人女性が摘発されたら、連れてきたものは入管難民法の不法就労助長罪で処罪される。外国人を労働関係法に違反して不法に就労させたというものである。違法就労をさせるために外国人を雇ったり、移動させただけでは"重罪"は科せられない。
 刑法の営利目的略取・誘拐罪(第225条)。「営利、わいせつまたは結婚の目的をもって人を略取・誘拐したものは1年以上10年以下の懲役に処す」となっている。営利、わいせつ、結婚となれば一応、だましの条件には当てはまるが、女性を「売った」「買った」にはどうもぴったりこない。捜査係官の泣きどころである。最後に問題になるのは、外国人女性が被害者である以上、必ず「ブローカー」が存在するはずである。新法の狙いは人身売買事件で暗躍するブローカーの根絶であろう。そこで買った日本人だけではなく、売る国側のブローカーも逮捕できるだけの"法"にしてもらいたいものである。

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